市場調査(マーケティングリサーチ)のやり方が分からず、「なんとなくの感覚」で商品づくりや集客を進めていませんか。市場調査とは、顧客や市場、競合の実態をデータで把握し、事業の意思決定の精度を高める活動です。

本記事では、市場調査とマーケティングリサーチの違いから、調査の種類、具体的な方法、実務で使えるやり方5ステップ、無料でできる調査例、調査会社の費用相場までをまとめて解説します。

読み終える頃には、自社に必要な調査を自分で設計できる状態になります。

筆者はBtoB・BtoCの現場でマーケティングを実践し、人材系事業で半年で売上1.5億円、SEOで半年で5,000万円の売上をつくってきた実務家です。現場で実際に使っている調査のコツも交えてお伝えします。

この記事の要点まとめ図解

Table of Contents

市場調査(マーケティングリサーチ)とは?目的をわかりやすく解説

市場調査(マーケティングリサーチ)とは?目的をわかりやすく解説

市場調査とは、市場の規模や動向、顧客のニーズ、競合の状況などを、データに基づいて把握する活動です。勘や経験だけに頼らず、事実をもとに「売れる可能性」を見極めるために行います。

目的は大きく3つあります。第一に、新商品・新規事業の需要を事前に確かめること。

第二に、既存商品の改善点や顧客の不満を発見すること。第三に、広告や価格などの施策の効果を検証することです。

いずれも「意思決定の失敗コストを下げる」ことが本質です。

市場調査とマーケティングリサーチの違い

両者はほぼ同じ意味で使われますが、厳密には範囲が少し異なると言われます。市場調査は市場の現状(規模・シェア・動向)を把握することを指し、マーケティングリサーチは顧客心理や将来の需要予測まで含む、より広い概念とされます。

ただし実務では、言葉の定義よりも「何を知りたいのか」を明確にする方がはるかに重要です。本記事では両者をまとめて「市場調査」と呼び、実践的なやり方に焦点を当てます。

市場調査の種類|定量調査と定性調査の使い分け

市場調査の種類|定量調査と定性調査の使い分け

市場調査の種類は、大きく「定量調査」と「定性調査」に分かれます。まずこの2つの違いを押さえると、手法選びで迷わなくなります。

項目定量調査定性調査
分かること数値・割合(What・How many)理由・心理(Why・How)
代表的な手法ネットアンケート、統計データ分析インタビュー、行動観察
対象人数数百〜数千人と多い数人〜十数人と少ない
向いている場面需要の大きさや傾向の把握、仮説の検証ニーズの発掘、仮説づくり

使い分けの原則は「定性で仮説をつくり、定量で確かめる」です。例えば、まず顧客インタビューで「選ばれる理由」の仮説を見つけ、その仮説がどれくらいの人に当てはまるかをアンケートで検証する、という順番が王道です。

また、データには自社で集める「一次データ」と、統計やレポートなど既存の「二次データ」があります。二次データで大枠をつかみ、核心部分は一次データで確かめる、という組み合わせが基本です。

市場調査の主な方法と具体例

市場調査の主な方法と具体例

次に、実務でよく使われる方法を具体例とあわせて紹介します。自社の目的と予算に合うものを選びましょう。

ネットリサーチ(Webアンケート)

調査会社のモニターに回答してもらう、現在最も主流の方法です。数日で数百人分のデータが集まり、費用も比較的抑えられます。

例えば「30代女性の化粧品選びの基準」を500人に聞く、といった使い方をします。

なお、ネットリサーチでは回答の質に注意が必要です。すべて同じ選択肢に付けるような不誠実な回答も混ざるため、矛盾チェック用の設問を入れる、回答時間が極端に短いデータを除くなどの対策が一般的です。

インタビュー調査(デプスインタビュー・グループインタビュー)

対象者と直接対話し、行動の理由や本音を深掘りする方法です。1対1のデプスインタビューは本音を引き出しやすく、複数人のグループインタビューは意見の広がりを得やすい特徴があります。

インタビューで本音を引き出すコツは、「なぜ」を重ねることです。「なぜその商品を選んだのですか」「なぜそれが重要だったのですか」と2〜3回掘り下げると、本人も意識していなかった本当の選択理由にたどり着けます。

誘導にならないよう、こちらの仮説は最後まで伏せて聞くのが鉄則です。

デスクリサーチ(既存データの調査)

政府統計や業界レポート、公開されている調査資料を集めて分析する方法です。費用がかからず短期間でできるため、どんな調査でも最初のステップになります。

筆者も新しい施策を検討する際は、必ずデスクリサーチから着手します。半日ほど公開情報を集めるだけで、市場の伸び縮みや競合の顔ぶれが見え、その後の調査で確かめるべき論点が絞れるからです。

デスクリサーチで市場の全体像をつかみ、足りない情報だけを一次調査(アンケートやインタビュー)で補う、という順番にすると、時間も費用も最小限で済みます。

その他の方法

店頭での行動観察調査、覆面調査(ミステリーショッパー)、会場で商品を試してもらう会場調査(CLT)、一定期間試用してもらうホームユーステストなどがあります。

SNSの投稿や口コミを分析するソーシャルリスニングも、近年存在感を増しています。

市場調査のやり方5ステップ

市場調査のやり方5ステップ

市場調査は、手法から選ぶと失敗します。目的から順に設計するのが鉄則です。

実務では次の手順で進めます。

市場調査の進め方

  1. 調査目的を一文で定める(何の意思決定に使うか)
  2. 知りたいこと(調査項目)と仮説を書き出す
  3. 調査手法と対象者を決める(定性か定量か)
  4. 調査を実施し、データを集める
  5. 結果を分析し、意思決定と打ち手に落とし込む
市場調査のやり方5ステップのフロー図解

最重要はステップ1です。「30代向け新サービスの価格を月額いくらにするか決めるため」のように、意思決定とセットで目的を書いてください。

目的が曖昧な調査は、集計して終わりの「やっただけ調査」になりがちです。

ステップ2では、先に仮説を立てることがポイントです。仮説なしに質問を並べると、分析段階で「結局何も言えない」データになります。

筆者も新規事業の調査では、必ず「顧客はAという理由でBを選んでいるはず」と仮説を書いてから質問を設計しています。

ステップ5では、数字を打ち手に翻訳します。例えば「価格が高いと答えた人が6割」で終わらせず、「では価格を下げるのか、価値の伝え方を変えるのか」まで議論して初めて調査が役立ちます。

また、調査で得た顧客の生の言葉は、そのままマーケティングの資産になります。ヒアリングで出てきた表現を広告コピーやサイトの見出しに使うと、「自分のことだ」と感じてもらいやすくなり、反応率の改善につながります。

調査は分析のためだけでなく、言葉集めの場でもあると意識しておくと、得られる価値が倍増します。

市場調査の結果を分析するときの3つの視点

市場調査の結果を分析するときの3つの視点

データが集まったら、集計して眺めるだけでなく、次の3つの視点で読み解くと発見が増えます。

視点1:クロス集計で「誰が」を見る

全体の平均だけでは、実態が見えないことがあります。年代別・利用頻度別などで区切って集計(クロス集計)すると、「全体では満足度が高いが、20代だけ極端に低い」といった打ち手につながる差が見つかります。

視点2:少数意見を切り捨てない

定量調査では多数派に目が行きがちですが、自由記述の少数意見に次のヒット商品の種が眠っていることがあります。特に、強い感情がこもった不満は、まだ誰も解決していないニーズのサインです。

視点3:他のデータと突き合わせる

アンケート結果を、売上データやアクセス解析、顧客の声と突き合わせて確認します。複数のデータが同じ方向を指していれば、その仮説の確度は高いと判断できます。

逆に食い違う場合は、どちらかの取り方に偏りがある可能性を疑いましょう。

無料でできる市場調査の方法|お金をかけない具体例

無料でできる市場調査の方法|お金をかけない具体例

予算がなくても、工夫次第で十分に使える調査は可能です。筆者が実際によく使う無料の方法を紹介します。

  • 政府統計(e-Statなど):人口動態や産業規模など、市場の大きさの把握に使えます
  • Googleトレンド:キーワードの需要の推移や季節性が分かります
  • キーワードプランナー:検索ボリュームからニーズの量を推定できます
  • SNS・口コミサイト:顧客の生の不満や願望が見つかります
  • 既存顧客へのヒアリング:最も価値が高い一次情報です

特におすすめは既存顧客へのヒアリングです。「なぜ選んでくれたのか」「他にどこと比較したか」を5人に聞くだけで、高額な調査に劣らない発見が得られることは珍しくありません。

実際、筆者が支援した企業でも、顧客5人への電話ヒアリングから広告の訴求を変え、問い合わせが増えた例があります。

検索キーワードの調査も、立派な市場調査になります。例えば「腰痛 ストレッチ」の検索が多ければ、まず自分で対処したい人が多いと分かります。

顧客がどんな言葉で悩みを検索しているかは、そのまま広告コピーや商品説明の言葉選びにも活かせます。

サービス資料を無料ダウンロード

市場調査を会社に依頼する場合の費用相場と選び方

市場調査を会社に依頼する場合の費用相場と選び方

自社での実施が難しい場合や、大規模な調査が必要な場合は、市場調査会社への依頼を検討します。費用の目安は次のとおりです。

調査手法費用の目安備考
ネットリサーチ10万〜100万円程度設問数とサンプル数で変動
グループインタビュー30万〜100万円程度1グループあたりで算出されることが多い
デプスインタビュー数万〜十数万円/人程度対象者の条件が難しいほど高い
覆面調査・会場調査数十万円〜会場費・謝礼などで変動

会社選びでは、価格だけでなく「設問設計まで支援してくれるか」を重視してください。調査の品質は集計技術よりも設問の質で決まります。

自社業界での調査実績があるかも、確認しておきたいポイントです。

外注する場合は、2〜3社から見積もりを取り、金額だけでなく「こちらの目的をどれだけ深く聞いてくれたか」を比べてください。目的を確認せずに手法と価格の話から入る会社は、調査が目的化しやすい傾向があります。

納品物がレポートだけか、打ち手の提案まで含むかも事前に確認したいポイントです。

市場調査で失敗しないための注意点3つ

市場調査で失敗しないための注意点3つ

最後に、市場調査にありがちな落とし穴を3つ紹介します。

注意点1:都合の良いデータだけを集めない

人は自分の仮説を支持する情報を集めがちです。仮説に反するデータこそ意思決定の価値が高いと捉え、反証となる情報も意識的に探しましょう。

注意点2:アンケートの回答を鵜呑みにしない

「買いたい」と答えた人が実際に買うとは限りません。意向データは実際の行動より楽観的に出ると言われます。

可能なら、先行予約や小規模販売など「実際の行動」で確かめるのが確実です。

注意点3:調査に時間をかけすぎない

市場は動き続けるため、完璧な調査を待つより、6〜7割の確度で小さく試して学ぶ方が結果的に早く正解へたどり着きます。調査は意思決定を助ける道具であり、目的ではありません。

市場調査の具体例|シーン別の活用イメージ

市場調査の具体例|シーン別の活用イメージ

やり方の解像度を上げるために、よくある3つのシーンでの具体例を紹介します。自社の状況に近いものを参考にしてください。

具体例1:新サービスの需要を確かめたい場合

まずデスクリサーチで市場規模と競合の数を把握し、「戦う価値のある市場か」を確認します。次に、想定顧客5〜10人にインタビューし、その課題に今どう対処しているか、いくらなら払うかを聞きます。

最後に、簡易的なサービス紹介ページを作り、少額の広告を出して反応率を見る方法も有効です。アンケートで「欲しい」と言われるより、実際に問い合わせボタンが押されるかどうかの方が、はるかに確度の高いデータになります。

具体例2:既存商品の売上が伸び悩んでいる場合

この場合は、新規顧客より既存顧客と離脱顧客の調査が先です。購入を続けている顧客には「選び続ける理由」を、離れた顧客には「やめた理由」を聞きます。

両者の答えのギャップに、改善のヒントが隠れています。

あわせて口コミやレビューを収集し、不満の頻出パターンを数えます。筆者の経験では、社内で想定していた不満と、実際に多かった不満が食い違うことは珍しくありません。

具体例3:価格を決めたい場合

価格調査では、PSM分析(価格感度分析)という手法がよく使われます。「高すぎて買えないのはいくらか」「安すぎて品質が不安なのはいくらか」など4つの質問から、受け入れられる価格帯を推定する方法です。

簡易的には、競合の料金表を並べて相場の分布を把握し、自社の提供価値がどの位置にあるかで判断する方法もあります。重要なのは、社内の希望ではなく顧客の感じる価値から価格を考えることです。

より確実なのは、実際の価格で小さく売ってみるテストです。例えば期間限定で2つの価格プランを提示して反応率を比べれば、アンケートよりも信頼できる答えが得られます。

値付けは一度で決めるものではなく、検証を重ねて調整していくものと捉えてください。

アンケート設問設計のコツ4つ

アンケート設問設計のコツ4つ

アンケートは、設問の作り方ひとつで結果の信頼性が大きく変わります。最低限、次の4つを守ってください。

  • 誘導しない:「高品質な当社商品を魅力に感じますか」のような聞き方は避ける
  • 1問1テーマ:「価格と品質に満足ですか」と2つを同時に聞かない
  • 行動を聞く:意向より「直近で実際に買ったもの」など事実を聞く
  • 設問数を絞る:長いアンケートは途中離脱と適当な回答を招く(10問前後まで)

特に「行動を聞く」は重要です。人は未来の意向には楽観的に答えますが、過去の行動は嘘をつきにくいからです。

「買いたいですか」ではなく「最近同じ目的で何を買いましたか」と聞く癖をつけましょう。

市場調査のよくある質問(Q&A)

市場調査のよくある質問(Q&A)

最後に、市場調査についてよく受ける質問に答えます。

アンケートのサンプル数はどれくらい必要ですか?

統計的には、全体の傾向をつかむ目安として400サンプル程度が一つの基準と言われます。ただし、中小企業の実務では100サンプルでも十分に意思決定の参考になります。

属性別(年代別など)に比較したい場合は、比較したいグループごとに最低30〜50ずつ確保するのが目安です。

自社でやるべきか、調査会社に外注すべきですか?

判断基準は「調査の失敗が許されるかどうか」です。日常の改善や仮説探しなら、無料の方法と簡易アンケートで自社実施がおすすめです。

一方、大きな投資判断(新工場、大型の新規事業など)に関わる調査は、設問設計の誤りが致命傷になるため、専門会社の力を借りる価値があります。

調査にはどれくらいの期間がかかりますか?

デスクリサーチなら数日、ネットリサーチは設計から集計まで2〜4週間、インタビュー調査は対象者の募集を含めて1〜2か月が目安と言われます。意思決定の期日から逆算し、間に合う手法を選ぶことも設計の一部です。

調査結果が仮説と違ったときはどうすべきですか?

まず、その結果を歓迎してください。事業を始めた後に気づくより、はるかに安く済んだということだからです。

その上で、仮説のどの部分が違ったのか(ターゲットか、課題か、価格か)を切り分け、仮説を修正して再度小さく確かめます。調査は一発勝負ではなく、仮説と検証の往復で精度を上げる活動です。

まとめ:市場調査は「目的→仮説→手法」の順で小さく始めよう

市場調査・マーケティングリサーチは、大企業だけのものではありません。無料の方法からでも、意思決定の精度は確実に上げられます。

要点を振り返ります。

  • 市場調査は意思決定の失敗コストを下げる活動
  • 定性で仮説をつくり、定量で検証するのが王道
  • やり方は目的→仮説→手法→実施→打ち手の5ステップ
  • 顧客ヒアリングなど無料の方法でも成果は出せる

まずは既存顧客5人へのヒアリングと、無料統計でのデスクリサーチから始めてみてください。それだけでも、次の一手の解像度が大きく変わります。

あわせて読みたい

無料で集客を相談する|集客相談窓口

集客相談窓口では、月5万円・チャットで、いつでもマーケティングや集客の相談ができます。

「どんな調査をすべきか」「調査結果をどう打ち手に変えるか」といった段階からでも、無料の初期コンサルで課題の特定からお手伝いしていますので、お気軽にご相談ください。