「マーケティングとは 簡単に」

「マーケティングはどうやってやるの?」

どちらも、Googleで実際に検索されている言葉です。前者は月に約1,300回検索され(出典: ラッコキーワード、2026年10月4日取得)、後者はGoogle検索の「関連する質問」に表示されます。

ところが、公式の定義を読んでも、すぐにはつかめません。日本マーケティング協会が2024年に34年ぶりに改めた定義は、80字を超える一文だからです。

では、マーケティングを一言でつかみ、自社で何をすればいいかまで知るには、どう読めばいいのでしょうか。

手がかりは、定義を「価値をつくる」「価値を広める」「関係を育てる」という一続きの手順として読むことにあります。

この記事では、日本マーケティング協会の定義をもとに、マーケティングとは何かを簡単な言葉に言い換え、やり方を8ステップのワークシートと作例つきで解説します。

この記事でわかること

  • マーケティングの意味(一言で言うと何か、公式の定義、営業や広告との違い)
  • マーケティングの全体像
  • やり方の8ステップ(ワークシートと記入例つき)
  • 最初の1か月でやること

Table of Contents

マーケティングとは「売れ続ける仕組みをつくること」

マーケティングとは、顧客が求める価値を見つけて商品にし、知ってもらい、買ってもらい、また選んでもらう仕組みをつくることです。

  • 一言で言うと:売れ続ける仕組みづくり
  • 簡単に言うと:誰に、何を、どうやって届けるかを決めて、実行して、結果を見て直すこと

広告や営業は、その仕組みの一部分です。商品を企画する段階から、2回目の購入や紹介までが範囲に入ります。この言い換えの裏づけとして、公式の定義を3つ見ていきます。

日本マーケティング協会の定義(2024年改定)

日本マーケティング協会は2024年、1990年以来34年ぶりに定義を改めました。新しい定義は次のとおりです。

顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。

(出典: 公益社団法人日本マーケティング協会「34年振りにマーケティングの定義を刷新」2024年)

定義には3つの注が付いています。

注 原文 中小企業にとっての意味
注1 主体は企業のみならず、個人や非営利組織等がなり得る。 小さな会社も個人事業主も対象
注2 関係性の醸成には、新たな価値創造のプロセスも含まれている。 売って終わりではない。顧客との関係から次の商品が生まれる
注3 構想にはイニシアティブがイメージされており、戦略・仕組み・活動を含んでいる。 広告などの「活動」だけでなく、「戦略」と「仕組み」までが範囲

定義の言葉を分けると、やることが3つ見えてきます。

  • 価値をつくる(創造する):顧客が求めるものを見つけ、商品やサービスにする
  • 価値を広める(浸透させる):必要な人に知ってもらい、理解してもらう
  • 関係を育てる(関係性を醸成する):買ってもらい、使い続けてもらい、また選んでもらう
マーケティングの定義を3つの動きに分けた図

アメリカマーケティング協会(AMA)の定義

アメリカマーケティング協会(AMA)は、次のように定義しています。

Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large.

(出典: American Marketing Association「Definitions of Marketing」)

訳すと「顧客・取引先・パートナー・社会全体にとって価値のあるものを、つくり、伝え、届け、交換するための活動、制度、プロセス」です。

日米の定義に共通するのは、価値を「つくる」から「届ける」までを1つの流れとして扱っている点です。

ドラッカーの言葉「マーケティングの理想は、販売を不要にすること」

経営学者のピーター・ドラッカーは、「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである」と書きました。出典は『マネジメント【エッセンシャル版】』(ダイヤモンド社、2001年)です。

営業がいらなくなる、という意味ではありません。顧客を理解し、商品を顧客に合わせることで、押し売りをしなくても売れる状態をつくる、という考え方です。

裏を返すと、営業が毎回ゼロから商品の良さを説明しなければ売れない状態は、マーケティングがまだ働いていないサインです。

営業・広告との違い

マーケティングは「売れる仕組み」全体をつくる活動です。営業・広告・販促・広報・ブランディングは、その仕組みの中の一部を受け持ちます。

活動 主な役割 相手
マーケティング 誰に・何を・どう売るかを決め、売れる仕組みをつくる 市場・顧客全体
営業(セールス) 個別の相手に提案し、契約を決める 目の前の見込み客
広告 お金を払って媒体の枠を使い、商品を知ってもらう 不特定多数〜絞った層
販売促進 キャンペーンや割引で購入を後押しする 購入を迷っている人
広報(PR) 報道やメディアを通じて会社や商品を知ってもらう 社会・報道機関
ブランディング 「この会社といえば〇〇」という印象を育てる 市場・顧客全体
マーケティングと営業・広告の関係

営業との分担は、次のように整理できます。

  • マーケティング:誰に、何を、どう伝えれば買いたくなるかを決め、見込み客を連れてくる
  • 営業:連れてきた見込み客に個別に提案し、契約を決める

マーケティングが弱いと、営業は見込みの薄い相手にも一から説明することになります。

言葉が広く使われるぶん、一部分だけを指して「マーケティング」と呼ぶこともよくあります。次の3つは、どれも全体の一部です。

  • 広告だけではない:商品が顧客の求めとずれていれば、広告を出しても売れません
  • 市場調査だけではない:調べた結果をもとに売り方を決め、実行し、効果を測るところまでが範囲です
  • 大企業だけのものではない:日本マーケティング協会の定義は、注1で「主体は企業のみならず、個人や非営利組織等がなり得る」としています

目的は「顧客に選ばれ続けること」

マーケティングの目的は、目の前の1件を売ることではありません。次の4つがそろった、顧客に選ばれ続ける状態をつくることです。

  1. 顧客が何に困っているかを、会社が知っている
  2. その困りごとに合う商品やサービスを用意できている
  3. 必要な人に、商品の存在と価値が伝わっている
  4. 一度買った顧客が、また選んでくれる・人に勧めてくれる

日本マーケティング協会の定義に「関係性を醸成し」とあるのは、4番目までを範囲に入れているためです。

考え方の移り変わり(コトラーのマーケティング1.0〜5.0)

経営学者のフィリップ・コトラーらは、マーケティングの中心が「製品」から「顧客」「価値」、そして「テクノロジーの活用」へ移ってきたと整理しています。

段階 中心となる考え方
1.0 製品中心。製品をつくって売る
2.0 消費者志向。顧客満足と顧客のニーズを重視する
3.0 価値主導。機能や感情に加えて、精神的な満たされ方や社会への貢献も求められる
4.0 スマートフォン時代。3.0の考え方を、ブランドや商品の戦略として実行する
5.0 テクノロジーの活用。AIなどの技術を、顧客が商品を知ってから買うまでの道筋に組み込む

出典: 1.0〜3.0は紀伊國屋書店『コトラーのマーケティング3.0』出版社内容紹介、4.0は同『マーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』の内容紹介、5.0は朝日新聞出版のプレスリリース(2022年4月)

5.0の本では、AI、自然言語処理、センサー、ロボット、複合現実、IoTの6つの技術が挙げられています。2024年の日本マーケティング協会の定義が「顧客や社会と共に価値を創造」としているのも、3.0以降の流れと重なります。

マーケティングの全体像:R-STP-MM-I-Cと8ステップ

マーケティングの全体の流れは、コトラーが示した「R-STP-MM-I-C」の5段階で整理できます。

段階 意味 やること
R Research(調査) 市場・競合・自社を調べる
STP Segmentation・Targeting・Positioning 市場を分け、狙う層を選び、競合との違いを決める
MM Marketing Mix 商品・価格・流通・販促(4P)を組み立てる
I Implementation(実施) 施策を実行する
C Control(管理) 結果を測り、次に生かす

(出典: 帝国データバンク「マーケティングの基本プロセス『R・STP・MM・I・C』」。原典は中野明『今日から即使える コトラーのマーケティング戦略54』朝日新聞出版、2011年)

この5段階は業種や規模を問わず使えます。ただ、そのまま進めると2か所で手が止まりがちです。

  • 最初:何のために調べるのか(目標)が決まらないまま調査を始めてしまう
  • 途中:4Pを決めた後、どの施策を、誰が、いつやるのかが決まらない

そこでこの記事では、5段階の前に「目標設定」を、途中に「価値提案」「施策選定」「実行計画」を足した8ステップで進めます。

ステップ やること 対応する段階
1 目標を数字にする 売上目標から必要な問い合わせ数を逆算する 前提
2 環境を調べる 社会・市場・競合・自社・顧客を調べる R
3 狙う顧客を決める 市場を分け、狙う層を選び、立ち位置を決める STP
4 選ばれる理由を言葉にする 顧客に約束する価値を1文にする STP
5 売り方を組み立てる 商品・価格・流通・販促を決める MM
6 届け方を選ぶ 買うまでの道筋に施策を置く MM
7 実行計画を立てる 誰が、いつ、何をやるかを決めて動かす I
8 測って直す 数字を見て、弱いところから直す C
マーケティングのやり方8ステップ

マーケティングのやり方8ステップ

マーケティングのやり方は、目標を数字にするところから始め、測って直すところまでの8ステップで進めます。

各ステップは同じ順で書いています。

  • 目的:このステップで何を決めるか
  • 手順:何をするか
  • ワークシート:自社の内容を書き込む表
  • 作例:架空の会社に当てはめた記入例
  • つまずきやすい点:手が止まりやすいところと対処

紙とペン、または表計算ソフトを用意して、自社に当てはめながら読んでください。作例は8ステップを通して同じ会社を使います。

作例の会社: 神奈川県でオフィスビルの日常清掃を請け負う「A社」。従業員15名。顧客はビルの管理会社。新規の取引は紹介頼み。

※作例の会社・数字・顧客の声は、すべて架空です。

ステップ1:目標を数字にする(売上から逆算する)

目的: 「売上を増やしたい」を、「月に何件の問い合わせが必要か」まで落とし込みます。数字がないと、後のステップで何を優先するかを決められません。

手順

  1. 1年後に増やしたい売上(年額)を決める
  2. 1契約あたりの売上(年額)で割り、必要な新規契約数を出す
  3. 商談から契約になる割合(成約率)で割り、必要な商談数を出す
  4. 問い合わせから商談になる割合(商談化率)で割り、必要な問い合わせ数を出す
  5. 12で割り、月あたりの数にする

成約率と商談化率は、過去1年の実績から出します。記録がなければ、直近10件を思い出して数えます。

ワークシート:逆算シート

項目 計算 自社の数字
① 増やしたい売上(年額) 決める 円
② 1契約あたりの売上(年額) 実績から 円
③ 必要な新規契約数 ①÷② 件
④ 成約率(商談→契約) 実績から %
⑤ 必要な商談数 ③÷④ 件
⑥ 商談化率(問い合わせ→商談) 実績から %
⑦ 必要な問い合わせ数(年) ⑤÷⑥ 件
⑧ 月あたりの問い合わせ数 ⑦÷12 件

作例:A社の逆算(架空)

項目 A社
① 増やしたい売上 1,200万円
② 1契約あたりの売上 120万円(月10万円の契約)
③ 必要な新規契約数 10件
④ 成約率 25%(過去の商談20件のうち5件が契約)
⑤ 必要な商談数 40件
⑥ 商談化率 50%(問い合わせの半分が面談に進んだ)
⑦ 必要な問い合わせ数 80件
⑧ 月あたり 約7件
売上目標から問い合わせ数を逆算する作例

A社の今の新規問い合わせは、紹介による月1件ほどです。足りない月6件分の入口をつくることが、A社のマーケティングの目標になります。

つまずきやすい点

  • 目標が大きすぎる:逆算した問い合わせ数が今の何十倍にもなるなら、目標か期間を見直します。届く数字に置き直したほうが、ステップ6で選ぶ施策も現実的になります。
  • 実績の数字がない:仮の数字で計算して先に進み、ステップ8で実績に置き換えます。

ステップ2:環境を調べる(R:調査)

目的: 自社を取り巻く状況を、「社会の変化」「市場と競合」「顧客の本音」の順に調べ、最後に打ち手の候補にまとめます。ここで集めた材料が、ステップ3以降の判断の土台です。

2-1 社会の変化を見る:PEST分析

PEST分析は、自社では変えられない外の変化を洗い出す方法です。政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)の4つの視点で見ます。

視点 見ること A社の記入例(架空)
政治 法改正、規制、補助金 最低賃金の引き上げで人件費が上がる
経済 景気、物価、金利 物価上昇で、管理会社がコストを見直している
社会 人口、働き方、価値観 清掃スタッフの採用が難しくなっている
技術 新しい技術、デジタル化 清掃ロボットや報告書のアプリ化が出てきた

自社で書くときは、ニュースや業界団体の発表など、出どころを確かめられる情報を使います。

2-2 市場・競合・自社を見る:3C分析

3C分析は、顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つを並べて見る方法です。次の問いに答える形で埋めます。

対象 答える問い
顧客 顧客は誰か。何に困り、何を基準に選び、誰が決めるのか
競合 顧客が自社の代わりに選びうるのはどこか。何を強みに、いくらで売っているか
自社 顧客に選ばれている理由は何か。競合より弱いところはどこか

競合は同業他社だけではありません。A社の場合、「管理会社が自前でスタッフを雇う」ことも、顧客にとっての選択肢です。

2-3 顧客の本音を聞く:顧客インタビュー

「顧客が何を基準に選んでいるか」は、社内で考えても分かりません。今の顧客に直接聞きます。

進め方

  1. 直近で契約した顧客や、長く取引している顧客を3〜5社選ぶ
  2. 「サービス改善のために30分ほどお話を聞かせてください」と依頼する
  3. 下の10問で聞き、答えは相手の言葉のままメモする
  4. 複数の顧客から同じ言葉が出たら、それを「選ばれる理由」の候補にする

質問リスト(10問)

  1. 当社を知る前は、この業務をどうしていましたか
  2. 何がきっかけで見直そうと思いましたか
  3. どんな方法で探しましたか(検索、紹介、展示会など)
  4. 当社以外に、どこを検討しましたか
  5. 最終的に当社に決めた理由は何でしたか
  6. 決めるまでに迷ったこと、不安だったことは何ですか
  7. 社内で最終的に決めたのは誰ですか
  8. 使ってみて、良かったことは何ですか
  9. 物足りないところ、直してほしいところはありますか
  10. 同じことで困っている知り合いに勧めるなら、何と言いますか

10問目の答えは、顧客が自分の言葉で語った価値です。そのまま広告やWebサイトの言葉に使えることがあります。

A社の記入例(架空)

3社のうち2社が、前の清掃会社をやめた理由に「担当者がよく変わり、そのたびに品質が落ちた」を挙げた。A社に決めた理由は「担当者が変わらないと言われたから」だった。

2-4 材料をまとめる:SWOT分析とクロスSWOT

調べた内容を、強み(Strength)・弱み(Weakness)・機会(Opportunity)・脅威(Threat)に分けます。強みと弱みは自社の内側、機会と脅威は外側の話です。

プラス マイナス
内側 強み:担当者を固定できる。離職が少ない 弱み:Web集客の経験がない。営業担当がいない
外側 機会:管理会社が品質の安定を重視し始めた 脅威:採用難で業界全体の人件費が上がる

(A社の記入例。架空)

SWOTは並べて終わりにせず、組み合わせて打ち手に変えます。これをクロスSWOTと呼びます。

組み合わせ 考える問い A社の打ち手(架空)
強み×機会 強みで機会をつかむには 「担当者固定」を前に出し、品質重視の管理会社に絞って提案する
強み×脅威 強みで脅威をかわすには 離職の少なさを示し、価格以外で選ばれる
弱み×機会 弱みを補って機会を逃さないには Webに事例ページをつくり、紹介以外の入口を用意する
弱み×脅威 最悪の事態を避けるには 問い合わせへの対応手順を決め、社長1人に頼らない

つまずきやすい点

  • 調査に時間をかけすぎる:調査の目的は、ステップ3〜5の判断材料を集めることです。顧客インタビューが終わったら次へ進みます。
  • 社内の想像で埋める:「選ばれる理由」は、必ず顧客本人に聞いた言葉で書きます。

ステップ3:狙う顧客を決める(STP)

目的: 「誰にでも売る」をやめ、「この顧客に、この立ち位置で売る」を決めます。狙いを絞ると、伝える言葉も選ぶ施策もはっきりします。

STPは、セグメンテーション(市場を分ける)、ターゲティング(狙う層を選ぶ)、ポジショニング(立ち位置を決める)の頭文字です。

3-1 市場を分ける(セグメンテーション)

共通の特徴を持つグループに、市場を分けます。

切り口 会社が顧客(BtoB)の例 個人が顧客(BtoC)の例
地理 地域、拠点の数 住む地域、都市か地方か
属性 業種、従業員数、売上規模 年齢、家族構成、職業
課題 抱えている課題、今使っているサービス 生活の悩み、きっかけとなる出来事
行動 発注の頻度、誰が決めるか 購入頻度、情報の集め方

A社は、「管理会社の規模」と「重視していること(価格か、品質の安定か)」の2つで市場を分けました。

3-2 狙う層を選ぶ(ターゲティング)

分けたグループを、次の4つの問いで比べます。

問い 見ること
規模 十分な数の顧客がいるか
成長 これから増えるか、減るか
競合 同じ層を狙う競合は多いか
自社との相性 自社の強みで、その層の課題を解決できるか

A社は、インタビューとクロスSWOTから「品質の安定を重視する中堅の管理会社」を選びました。

3-3 狙う顧客を1人の人物にする(ペルソナ)

狙う層の典型的な1人を、具体的な人物として書き出します。これをペルソナと呼びます。社内で「誰に向けて書くか」をそろえるための道具です。

ペルソナシートの項目

  • 会社(業種、規模、地域)と、その人の役職
  • 担当している仕事と、評価される基準
  • 今の困りごと(インタビューで聞いた言葉で)
  • 情報の集め方(検索、業界紙、紹介、展示会など)
  • 購入を決めるときに気にすること、社内で説明する相手

A社の記入例(架空)

横浜市の中堅管理会社でビル管理を担当する課長。担当ビルは12棟。テナントからのクレームが減ると評価される。困りごとは「清掃の担当者が変わるたびに、テナントからクレームが来る」。情報は業界紙と同業者の紹介で集める。清掃会社を変えるときは、部長に「品質が安定する根拠」を説明する必要がある。

3-4 立ち位置を決める(ポジショニング)

狙う顧客から見て、自社が競合とどう違うかを決めます。ポジショニングマップを使うと整理できます。

  1. 顧客が会社を選ぶ基準を、インタビューの答えから2つ選ぶ
  2. 2つの基準を縦軸と横軸にとる
  3. 自社と競合をマップの上に置く
  4. 競合が少なく、狙う顧客が求める場所に立てるかを確かめる

A社は、縦軸を「品質の安定(担当者が変わらない⇔よく変わる)」、横軸を「価格(高い⇔安い)」にとりました。大手は安定しているが高く、小さな会社は安いが担当者がよく変わる配置になりました。A社は「品質が安定していて、価格は中くらい」という空いた位置に立てます。

ポジショニングマップの作例

つまずきやすい点

  • 絞るのが怖い:絞ることは、ほかの顧客を断ることではありません。伝える言葉と施策を狙う層に合わせることです。ほかの層から問い合わせが来れば、これまでどおり対応できます。
  • ペルソナが想像の人物になる:ペルソナは、インタビューで聞いた言葉で書きます。

ステップ4:選ばれる理由を言葉にする(価値提案)

目的: 狙う顧客に「なぜ他社ではなく自社なのか」を1文で言えるようにします。この1文が、Webサイト、営業資料、広告の言葉の元になります。

手順

  1. 顧客インタビューから、顧客が「決めた理由」として話した言葉を集める
  2. 狙う顧客の、いちばん大きな困りごとを1つ選ぶ
  3. その困りごとを、自社ならどう解決できるかを書く
  4. 競合ができていない、または言っていない点を1つ加える
  5. 下の型に当てはめて1文にする

ワークシート:価値提案の型

【狙う顧客】が抱える【困りごと】を、【自社のやり方】で解決し、【得られる結果】をもたらす。ほかの会社と違うのは【違い】である。

作例:A社の価値提案(架空)

品質を重視する中堅の管理会社が抱える「担当者が変わるたびにテナントからクレームが来る」という困りごとを、担当者の固定と毎月の品質報告書で解決し、クレーム対応の手間を減らす。ほかの会社と違うのは、担当者を原則変えないことを契約で約束している点である。

短くすると、Webサイトの見出しや広告の言葉になります。

例:「担当者が変わらない日常清掃。テナントからのクレームを減らします」

できた1文を確かめる3つの問い

  1. 顧客が求めているか:インタビューで、顧客自身がその困りごとを話していたか
  2. 自社が実際にできるか:約束したことを、今の体制で守れるか
  3. 競合と違うか:競合のWebサイトで、同じことを言っていないか

1つでも「いいえ」なら、ステップ2の材料に戻って書き直します。

つまずきやすい点

  • 「品質が高い」「丁寧」で止まる:どの会社も言える言葉は、選ばれる理由になりません。担当者固定や毎月の報告書のように、仕組みや数字で違いを示します。
  • 自社が言いたいことを書く:価値提案は、顧客が得る結果から書きます。自社の歴史や設備は、困りごとを解決する根拠になるときだけ書きます。

ステップ5:売り方を組み立てる(4P・4C)

目的: ステップ4で決めた価値を、実際に売れる形にします。マーケティングの4Pとは、商品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販売促進(Promotion)の4つです。4つを同じ価値提案に沿ってそろえます。

4Pで決めること(チェックリスト)

P 決めること
商品 何を提供するか。標準とオプション。品質をどう保証するか。入口となる小さな商品はあるか
価格 いくらにするか。何を基準に決めるか(原価、競合、顧客が感じる価値)。支払い方法と契約期間
流通 どこで、どうやって買ってもらうか(直接、代理店、Web)。対応できる地域
販売促進 どうやって知らせるか(Web、広告、展示会、紹介、営業)。何を伝えるか(ステップ4の言葉)

4つのうち1つでも価値提案とずれると、全体がちぐはぐになります。たとえば「品質の安定」を売りにしながら業界最安値を打ち出すと、「安いのに品質は大丈夫か」という疑問を顧客に持たせます。

顧客の側から見直す:4C

4Pは売る側から見た枠組みです。同じ4つを買う側から見直すのが4Cです。

4P(売る側) 4C(買う側) 確かめる問い
商品 顧客にとっての価値 この商品で、顧客の何が解決するか
価格 顧客の負担 価格以外に、手間や切り替えの負担はないか
流通 入手のしやすさ 顧客は迷わず申し込めるか
販売促進 対話 一方的に伝えるだけでなく、顧客の声を聞く場があるか

作例:A社の4P(架空)

P A社の決定
商品 日常清掃(担当者固定)+毎月の品質報告書。入口として「1日無料の清掃品質チェック」
価格 月額制。大手より低く、小さな会社より高い価格帯
流通 直接契約のみ。対応エリアは横浜市・川崎市
販売促進 業界紙の広告、Webの事例ページ、無料資料「清掃会社を切り替える前に確認する10項目」

4Cで見直したA社は、「切り替えの手間」が顧客の負担になると考えました。そこで、前の清掃会社からの引き継ぎをA社が代わりに進めることを、商品に加えました。

つまずきやすい点

  • 価格を競合に合わせるだけで決める:価格は、ステップ3で決めた立ち位置に合わせて決めます。
  • 販売促進から先に決める:「とりあえずSNSを始める」のように販促から決めると、何を伝えるかがぶれます。商品・価格・流通を先に決めます。

ステップ6:届け方を選ぶ(カスタマージャーニーと施策選定)

目的: 狙う顧客が自社を知ってから買うまでの道筋を書き出し、どこにどの施策を置くかを決めます。

6-1 買うまでの道筋を書く(カスタマージャーニー)

顧客が商品を知ってから、買って、また選ぶまでの段階を書き出します。各段階の疑問は、インタビューの答えをもとに書きます。

段階 顧客の疑問(A社の例・架空) 置く施策
1 気づく このままでいいのか 業界紙の広告、Web記事
2 調べる どんな選択肢があるのか 検索で見つかる記事、事例ページ
3 比べる どこが自社に合うのか 比較用の資料、無料の診断、セミナー
4 決める 上司にどう説明するか 導入事例、見積もり、上司向けの説明資料
5 使い続ける 選んでよかったか 定期報告、フォローの連絡
6 勧める 人に勧めても大丈夫か 紹介のお願い、紹介しやすい資料
カスタマージャーニーの作例

6-2 施策の候補:主なマーケティング手法

施策の候補は、考え方と場所で分けると整理できます。

考え方による分類

手法 内容 向いている場面
マスマーケティング テレビ・新聞などで不特定多数に一斉に届ける 幅広い層に一度に知ってもらいたい
ダイレクトレスポンスマーケティング 資料請求や問い合わせで反応した人に、個別に働きかけて販売につなげる 反応の数を見ながら改善したい
コンテンツマーケティング 記事・動画・資料などの役立つ情報で見込み客を集め、関係を深める 検討期間が長い商品
インバウンドマーケティング 検索や記事を通じて、顧客に見つけてもらう 売り込み型の営業を減らしたい
ABM 狙う企業を絞り、その企業に合わせて働きかける 取引額が大きいBtoB
CRMマーケティング 顧客データをもとに関係を長く続ける リピートや継続契約を増やしたい

場所(チャネル)による分類

場所 主な施策
Web SEO(検索対策)、Web広告、SNS、メールマガジン、ステップメール、ウェビナー
オフライン 展示会、セミナー、DM、チラシ、業界紙・雑誌の広告、交流会
人を通じて 紹介、代理店・提携先、テレアポ、フォーム営業、プレスリリース

BtoBとBtoCの違い

項目 BtoB(会社が顧客) BtoC(個人が顧客)
決める人 担当者・上司・決裁者など複数 本人(または家族)
向く施策の例 事例、資料、セミナー、展示会 SNS、口コミ、キャンペーン

BtoBでは、決める人が複数います。そのため、担当者が上司に説明するための事例や資料が効きます。

6-3 施策を選ぶ

段階ごとに使える施策はたくさんあります。全部はできないので、次の4つの問いで選びます。

問い 見ること
狙う顧客がいるか ペルソナが、その媒体や場所を実際に使っているか
費用 始めるのにいくら、続けるのに毎月いくらかかるか
効果が出るまでの時間 すぐ反応が出るか、時間をかけて効いてくるか
資産として残るか 止めたら効果が消えるか、続けるほど積み上がるか

広告は費用をかければすぐ反応が出ますが、止めると反応も止まります。Web記事や事例ページは効果が出るまで時間がかかりますが、公開した後も残ります。すぐ効く施策と、積み上がる施策を組み合わせるのが基本です。

施策の種類ごとの費用・速さの比べ方と、自社に合う選び方は、「集客とは?8種類の方法を費用と速さで比べ、自社に合う選び方を解説」で詳しく解説しています。

作例:A社が選んだ施策(架空)

A社は月6件の新しい問い合わせが必要で、動けるのは社長1人です。施策を3つに絞りました。

施策 段階 選んだ理由
業界紙の広告 1 気づく ペルソナが業界紙で情報を集めているため。すぐ効く
無料資料「切り替える前に確認する10項目」 3 比べる すぐには契約しない見込み客とつながるため
Webの事例ページ 2〜4 担当者が上司に説明する材料になるため。積み上がる

ポイントは、いきなり契約を求めないことです。資料のように契約より小さな「次の一歩」を用意すると、今すぐは契約しない見込み客ともつながれます。つながった相手には定期的に役立つ情報を送り、検討の時期に思い出してもらいます。

見込み客とつながったあと、何をどの順番で届ければ受注になるかは、無料動画講座で詳しくお話ししています。無料動画講座を見る

つまずきやすい点

  • 流行っている施策から選ぶ:選ぶ基準は流行ではなく、狙う顧客がそこにいるかです。
  • 施策を一度に増やす:人が限られる会社は2〜3個に絞ります。増やすのは、ステップ8で効果を確かめてからです。

ステップ7:実行計画を立てる(I:実施)

目的: 選んだ施策を「誰が、いつまでに、何をするか」まで決めて動かします。計画がないと、日々の仕事に押されて手が止まります。

7-1 90日計画を立てる

最初の計画は90日で区切ります。長いと途中で計画が古くなり、短いと効果を確かめられないためです。

ワークシート:90日計画表

期間 やること 担当と完了の基準
1〜2週目
3〜4週目
2か月目
3か月目
90日目 振り返り(ステップ8)

作例:A社の90日計画(架空)

期間 やること 担当と完了の基準
1〜2週目 無料資料の原稿を書く 社長/原稿の完成
3〜4週目 資料のデザインと申し込みページを外注する 外注先/ページの公開
2か月目 事例ページを2件つくる。業界紙に広告を出す 社長・外注先/事例2件の公開、広告の掲載
3か月目 資料を申し込んだ人に連絡し、面談を設定する 社長/全員に連絡済み
90日目 数字を振り返り、次の90日を計画する 社長/次の計画表の完成

7-2 マーケティングの仕事を分け、社内でやることと外に出すことを決める

マーケティングの仕事は、8ステップに沿って「調べる」「決める」「伝える」「測る」の4種類に分けられます。

種類 主な業務 対応するステップ
調べる 市場調査、競合調査、顧客インタビュー 2
決める 狙う顧客、価値提案、商品・価格の設計 1・3・4・5
伝える 広告運用、Webサイト・記事・SNS、展示会、資料づくり 6・7
測る 数字の集計、効果測定、改善の提案 8

(業務の分け方は当記事の整理)

担当者がいない会社が全部を社長1人でやろうとすると、止まります。「決める」は社内に残し、「伝える」「測る」の作業から外に出します。

社内に残す(決めること) 外に出せる(作業)
誰に売るか(ステップ3) Webサイト・LP・資料のデザインと制作
選ばれる理由(ステップ4) 広告の運用
価格(ステップ5) 記事やSNS投稿の作成
施策をどれに絞るか(ステップ6) 数字の集計
続けるか、やめるか(ステップ8)
社内でやることと外に出すことの分け方

決めることまで外に出すと、外注先が事業を理解しないまま進めてしまいます。中小企業のマーケティング担当者への調査でも、外注先への不満の上位に「事業・サービス理解が不足していた」が挙がっています。

つまずきやすい点

  • 担当と期限がない:「Webを整える」では進みません。誰が、何を、いつまでにやるかまで書きます。
  • 完璧になるまで公開しない:資料や事例ページは、まず公開してから反応を見て直します。

ステップ8:測って直す(C:効果測定と改善)

目的: 結果を数字で確かめ、弱いところを見つけて直します。ここで1周です。直したら、ステップ2〜7のどこかに戻ります。

8-1 見る数字と計算式

指標 意味 計算式
問い合わせ数(リード数) 見込み客が手を挙げた数 資料請求・問い合わせ・相談申し込みの合計
CVR(コンバージョン率) ページを見た人のうち申し込んだ割合 申し込み数÷訪問数
商談化率 問い合わせのうち商談に進んだ割合 商談数÷問い合わせ数
成約率 商談のうち契約になった割合 契約数÷商談数
CPA(獲得単価) 1件の申し込みを得るのにかかった費用 費用÷申し込み数
LTV(顧客生涯価値) 1社が取引期間全体でもたらす売上 月の売上×平均の取引月数
ROAS(広告費用対効果) 広告費に対する売上 広告からの売上÷広告費

最初から全部を見る必要はありません。逆算シートで使った「問い合わせ数」「商談化率」「成約率」の3つから始めます。

8-2 どこが弱いかを見つける:ファネル診断

目標と実績を並べると、どの段階で止まっているかが分かります。

止まっている場所 起きていること 見直すステップ
問い合わせが少ない 狙う顧客に届いていない、または魅力が伝わっていない 6(施策)、4(言葉)
商談にならない 狙っていない層から来ている、または連絡が遅い 3(狙う顧客)、7(対応手順)
契約にならない 価値が伝わりきっていない、または価格や条件が合わない 4(価値提案)、5(4P)
契約が続かない 約束した価値を届けられていない 5(商品)
どこで止まっているかを見つけるファネル診断

作例:A社の90日後(架空)

指標 目標(3か月) 実績
新しい問い合わせ数 18件 15件
商談化率 50% 27%(4件)
成約率 25% 25%(1件)

問い合わせ数は目標に近い一方、商談化率は目標の半分ほどでした。A社は、資料を申し込んだ人への最初の連絡が1週間後になっていたことに気づきました。次の90日は、申し込みの翌営業日に連絡すると決めました。

8-3 改善の進め方

  1. 毎月1回、30分の振り返りを予定に入れる
  2. 目標と実績を並べ、差がいちばん大きい段階を1つ選ぶ
  3. その段階で直すことを1つだけ決める
  4. 翌月、その結果を確かめる

一度に直すのは1つだけにします。複数を同時に変えると、どれが効いたのか分からなくなるためです。

つまずきやすい点

  • 数字を見ずに「効果がない」と判断する:止まっている段階を見ずにやめると、効いていた部分まで捨ててしまいます。
  • 短い期間で判断する:Web記事のような積み上がる施策は、広告と判断の時期を分けます。

最初の1か月でやること

8ステップを一度に進める必要はありません。最初の1か月は、逆算シート・顧客インタビュー・価値提案の3つだけに絞ります。

1か月目にやる3つのこと

  1. 逆算シートを埋める(ステップ1):月に何件の問い合わせが必要かを出す
  2. 顧客3社にインタビューする(ステップ2):10問の質問リストを使い、答えは相手の言葉のまま残す
  3. 価値提案を1文にする(ステップ4):インタビューの言葉を型に当てはめる

3つとも、予算をかけずに社長1人で始められます。終われば、どの施策を選び、何を外に頼むかを自分で判断できる材料がそろいます。

この3つから始める理由

中小企業のマーケティングが止まりやすいのは、人と、戦略の設計です。従業員10〜299名の中小企業のマーケティング担当者200人への調査では、専任部署があるのは38.0%でした。課題(複数回答)の上位は次の3つです。

  1. 人員・リソースが不足している(42.0%)
  2. マーケティング戦略の設計が十分にできていない(38.5%)
  3. 専門知識・ノウハウが不足している(37.0%)

出典: 株式会社PLAN-B「中小企業のマーケティング体制と外注活用の実態調査」(従業員10〜299名の中小企業のマーケティング担当者200人、2025年3月27日〜28日、インターネット調査)

経営者への調査でも、新規顧客・販路を開拓するうえでの課題の1位は「開拓に必要な人材の不足」(41%)でした。

出典: 大同生命保険「大同生命サーベイ(2023年4月度調査)」(全国の企業経営者8,389社、2023年4月3日〜28日、営業職員の訪問またはZoom面談。本設問の回答6,869社)

人が足りない会社でも、戦略の設計にあたるステップ1〜4は、外に頼まず社内で決められます。最初の3つをステップ1・2・4から選んでいるのは、このためです。ここが決まれば、人が足りない分は、ステップ7の表に沿って作業から外に出せます。

マーケティングとはについてのよくある質問

マーケティングとは、簡単に言うと何ですか?

顧客が求める価値を見つけて商品にし、知ってもらい、買ってもらい、また選んでもらう仕組みをつくることです。一言で言うと「売れ続ける仕組みづくり」です。

マーケティングはどうやってやるのですか?

次の8ステップで進めます。

  1. 目標を数字にする
  2. 環境を調べる
  3. 狙う顧客を決める
  4. 選ばれる理由を言葉にする
  5. 売り方を組み立てる
  6. 届け方を選ぶ
  7. 実行計画を立てる
  8. 測って直す

最初は、売上目標から必要な問い合わせ数を逆算するところから始めます。

マーケティングの4Pとは何ですか?

商品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販売促進(Promotion)の4つで売り方を組み立てる枠組みです。買う側から見直す4C(顧客にとっての価値・負担・入手のしやすさ・対話)とあわせて使います。

マーケティングの仕事内容は何ですか?難しい仕事ですか?

調べる(市場・競合・顧客)、決める(狙う顧客・価値提案・商品と価格)、伝える(広告・Web・展示会)、測る(効果測定と改善)の4種類です。範囲が広く、日本マーケティング協会の「マーケティング検定2級」の出題は16の領域に及びます。担当者がいない会社では、「決める」を社長が受け持ち、「伝える」「測る」の作業を外に出す分け方が現実的です。

マーケティングと営業の違いは何ですか?

マーケティングは、誰に・何を・どう売るかを決めて、見込み客を連れてくる仕組みをつくる活動です。営業は、連れてきた見込み客に個別に提案し、契約を決める活動です。

マーケティングのフレームワークは、どれを使えばいいですか?

使う場面で選びます。

  • 社会の変化を見る:PEST分析
  • 市場・競合・自社を見る:3C分析
  • 材料から打ち手を考える:SWOT分析
  • 狙う顧客を決める:STP分析
  • 売り方を組み立てる:4P分析

マーケティングはどうやって学べばいいですか?

体系を学ぶことと、自社で手を動かすことを並行させます。体系を学ぶなら、日本マーケティング協会の「マーケティング検定」(3級・2級・1級)が目安になります(出典: 日本マーケティング協会「マーケティング検定2級」)。古典では、ドラッカー『マネジメント【エッセンシャル版】』と、コトラーらの『コトラーのマーケティング3.0〜5.0』が土台になります。手を動かすなら、8ステップのワークシートに自社の内容を書き込むところから始めます。

中小企業でもマーケティングは必要ですか?

日本マーケティング協会の定義は、主体を企業に限らず、個人や非営利組織も含むとしています。人とお金が限られる会社ほど、どこに力を使うかを決めるマーケティングの考え方が役に立ちます。

まとめ:まず逆算シートを埋め、顧客3社に話を聞く

マーケティングとは、顧客が求める価値を見つけて商品にし、知ってもらい、買ってもらい、また選んでもらう仕組みをつくることです。広告・市場調査・営業は、その一部分です。

やり方は、次の8ステップです。

  1. 目標を数字にする(逆算シート)
  2. 環境を調べる(PEST・3C・顧客インタビュー・SWOT)
  3. 狙う顧客を決める(STP・ペルソナ・ポジショニングマップ)
  4. 選ばれる理由を言葉にする(価値提案の型)
  5. 売り方を組み立てる(4P・4C)
  6. 届け方を選ぶ(カスタマージャーニー・施策選定)
  7. 実行計画を立てる(90日計画・社内と外注の分担)
  8. 測って直す(指標の計算式・ファネル診断)

最初の一歩は2つです。今週中に逆算シートを埋め、今月中に顧客3社へ「なぜうちを選んだか」を聞いてください。その答えが、ステップ3以降の判断の材料になります。

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参考文献・出典一覧

  • 公益社団法人日本マーケティング協会「34年振りにマーケティングの定義を刷新」https://www.jma2-jp.org/home/news/916-marketing (2024年/確認日 2026-10-04)
  • American Marketing Association「Definitions of Marketing」https://www.ama.org/the-definition-of-marketing-what-is-marketing/ (確認日 2026-10-04)
  • 株式会社PLAN-B「中小企業のマーケティング体制と外注活用の実態調査」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000385.000068228.html (調査 2025年3月/確認日 2026-10-04)
  • 大同生命保険株式会社「大同生命サーベイ 2023年4月度調査レポート」https://www.daido-life.co.jp/knowledge/survey/pdf/202304.pdf (2023年/確認日 2026-10-04)
  • 株式会社帝国データバンク「マーケティングの基本プロセス『R・STP・MM・I・C』」https://www.tdb.co.jp/report/biz-knowledge/marketing02/ (確認日 2026-10-04)
  • 公益社団法人日本マーケティング協会「マーケティング検定2級」https://www.jma-jp.org/marken/level2 (確認日 2026-10-04)
  • 紀伊國屋書店『コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則』出版社内容紹介 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0459814 (確認日 2026-10-04)
  • ヨドバシ.com『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』商品説明 https://www.yodobashi.com/product/100000086600560830/ (確認日 2026-10-04)
  • 朝日新聞出版「『コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略』発売」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001451.000004702.html (2022年4月/確認日 2026-10-04)
  • ラッコキーワード「マーケティングとは」サジェストキーワード(2026年10月4日取得)
  • P.F.ドラッカー(上田惇生 編訳)『マネジメント【エッセンシャル版】』ダイヤモンド社、2001年
  • 中野明『今日から即使える コトラーのマーケティング戦略54』朝日新聞出版、2011年