現場の人員配置と段取りは、仕事の出来と利益を大きく左右します。人が足りなければ工期が遅れ、余れば人件費が無駄になります。それでも多くの会社で、配置はベテランの経験と勘に頼っているのが実情です。この記事では、人員配置と段取りを仕組みとして回すための考え方、具体的な手順、前日までに確認するチェックリスト、システムを使うかどうかの判断基準をまとめます。

現場の段取りと人員配置は何を決める仕事か

段取りとは、作業を始める前に、必要なものと人と順番をそろえておくことです。人員配置は、その中でも「誰を、どの現場に、何人、いつ送るか」を決める部分にあたります。

段取りで決めることを分解すると、次のようになります。

決めること内容の例決まっていないと起きること
作業内容と順番今日どこまで進めるか、どの作業から始めるか現場で指示待ちが起きる
必要な人数(人工)作業量から見た必要な人数と日数人が余る、または足りない
必要な資格・技能作業に必要な資格、経験の有無資格者がいない作業が止まる
担当者の割り当て誰をどの現場に入れるか二重手配、偏った負担
車両・機材・資材運ぶもの、使う機械、搬入の時間現場で待ち時間が発生する
関係者への連絡協力会社、施主、近隣への連絡当日の中止や手戻りが起きる

人員配置だけを切り出して考えるとうまくいきません。作業内容、資格、機材とセットで決めることで、配置の精度が上がります。

人員配置で押さえたい法令上のポイント

人員配置には、会社の判断だけでは決められない部分もあります。代表的なものを確認しておきます。

資格が必要な作業と作業主任者

労働安全衛生法では、一定の危険を伴う作業について、免許を受けた人や技能講習を修了した人の中から作業主任者を選び、作業の指揮などを行わせることを事業者に求めています(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」)。危険・有害な業務に就かせるときの特別の教育も定められています(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」)。足場の組立てや玉掛け、高所作業車の運転などが、こうした規定に関わる作業の例です。

資格のない人を就かせてはならない業務もあります。同法第61条第1項の規定です。

事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」

配置表では、その日の作業に必要な資格者の名前を先に埋め、そのあとにほかの人を割り当てる順番にすると、この規定に反する配置を防ぎやすくなります。どの業務にどの資格が必要かは政令や省令で決まっているため、作業の内容ごとに確認してください。

主任技術者・監理技術者の配置

建設業法第26条第1項は、主任技術者の配置を次のように定めています。

建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。

出典:e-Gov法令検索「建設業法」

一定の場合には、監理技術者を置くことも定められています(出典:e-Gov法令検索「建設業法」)。2024年の法改正では、遠隔通信の活用などを例に、現場技術者の専任義務の合理化も盛り込まれました(出典:国土交通省「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」概要)。誰をどの現場の技術者とするかは、人員配置の前提になります。具体的な要件は工事の内容や請負金額によって異なるため、建設業法の条文や国土交通省の資料で確認してください。

時間外労働の上限

2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。原則は月45時間以内かつ年360時間以内です。特別条項を結んだ場合も、年720時間以内、休日労働を含めて月100時間未満などの上限があります(出典:厚生労働省「はたらきかたススメ」建設業の時間外労働の上限規制)。この上限は労働基準法に定められています(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」)。特定の人に作業を集中させる配置は、この上限を超える原因になります。

厚生労働省は、建設業の長時間労働の改善に向けたポータルサイトで、関係法令などの情報をまとめています(出典:厚生労働省「建設業従事者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」)。法令の当てはめに迷う場合は、労働基準監督署や社会保険労務士、行政書士などの専門家に相談してください。

人員配置と段取りを仕組みにする6つの手順

経験と勘を否定する必要はありません。大切なのは、それを誰でも使える形に置き換えることです。次の順番で整えると進めやすくなります。

人員配置と段取りを仕組みにする手順を4段階で示す図
  1. 作業ごとの必要人工を見積もる基準をつくる
  2. 人ごとの資格・技能・経験を一覧にする
  3. 現場ごとの予定と、人ごとの予定を同じ場所で管理する
  4. 配置を決める優先順位を決める
  5. 応援・振り替えのルールを決める
  6. 実績と見積もりのずれを振り返る

1. 必要人工を見積もる基準をつくる

人工(にんく)とは、1人が1日働いた作業量を1とする単位です。過去の現場の実績から、作業ごとに「この規模ならこのくらいの人工」という目安を残しておきます。最初は粗くてかまいません。記録を続けるうちに、見積もりの精度が上がります。

2. 資格・技能・経験の一覧をつくる

誰がどの資格を持ち、どの作業が得意かを一覧にします。資格の有効期限や、講習の受講予定もあわせて管理すると安心です。この一覧があれば、ベテランの手配担当者が不在でも、代わりの人が配置を考えられます。

3. 現場の予定と人の予定を同じ場所で管理する

現場ごとの予定表しかないと、二重手配が起きやすくなります。現場の切り口と人の切り口の両方から、同じ情報を見られる状態をつくることが重要です。

4. 配置を決める優先順位を決める

人が足りないとき、どの現場を優先するかを決めておきます。たとえば、工期が迫っている現場、資格者がいないと進められない現場、施主との約束がある現場の順、といった考え方です。

5. 応援・振り替えのルールを決める

天候による中止や、急な欠員は避けられません。中止になった現場の人員をどこへ回すか、欠員が出たら誰に声をかけるかを、事前に決めておきます。近い現場から応援を出すなど、移動時間も考えた決め方が現実的です。

6. 実績と見積もりのずれを振り返る

見積もった人工と、実際にかかった人工を比べます。ずれが大きい作業は、見積もりの基準を見直します。この振り返りが、次の段取りの精度を上げます。

配置を決めるときの判断基準

同じ人数でも、誰をどこに置くかで現場の進み方は変わります。建設業では働き手そのものが減っており、限られた人をどう置くかの重みが増しています。

建設業の就業者数が1997年の685万人から2022年の479万人に減ったことを示す棒グラフ

国土交通省の資料によると、建設業の就業者数は1997年の685万人から、2022年には479万人に減りました。同じ2022年の年間労働時間は、建設業が2,022時間、全産業が1,954時間です(出典:国土交通省「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」概要)。人を増やしにくい前提で、配置を決めるときに見る観点を整理します。

観点確認すること
作業との適合必要な資格・技能を持っているか
負荷の偏り直近の稼働時間が特定の人に偏っていないか
移動の効率自宅や前の現場からの移動時間は妥当か
育成若手をベテランと組ませて経験を積ませられるか
チームの相性継続案件で、施主や協力会社とのやり取りに慣れた人か
リスク1人しかいない資格者を遠方の現場に固定していないか

特に見落としやすいのが、負荷の偏りと育成の観点です。できる人に仕事が集中すると、その人の労働時間が長くなり、ほかの人の経験が積み上がりません。長い目で見ると、配置の選択肢が狭くなる原因になります。

負荷の偏りを確かめるときは、予定表の割り当てだけでなく、タイムカードなどの記録で実際の労働時間を見ます。厚生労働省のガイドラインも、始業・終業時刻は客観的な記録を基礎として確認し、記録することを原則の一つとしています(出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)。

人を増やす前に確認すること

人が足りないと感じたとき、すぐに採用や外注を考えがちです。その前に、今の人員がどこで時間を使っているかを確認します。現場への移動、資材を取りに戻る時間、作業の待ち時間、事務所への確認の電話など、作業以外の時間が積み重なっていることは少なくありません。

段取りを見直して移動や待ち時間が減れば、同じ人数で回せる現場が増える場合があります。逆に、段取りを整えても足りないのであれば、それは本当に人手が不足しているサインです。採用や協力会社の拡大を検討する根拠にもなります。

人員配置表に入れる項目の例

配置の情報をまとめる表をつくるときは、項目をそろえておくと、誰が見ても同じように読めます。Excelでつくる場合も、システムを使う場合も、考え方は同じです。

項目入れる内容の例使い道
日付・時間帯作業日、集合時刻、終了予定当日の動きの確認
現場現場名、住所、責任者担当者への案内
作業内容工種、その日の到達目標必要な資格・人数の判断
担当者氏名、役割(職長・作業員など)二重手配の防止
資格者その日に必要な資格と、それを持つ人配置漏れの防止
協力会社会社名、人数、作業範囲応援の把握
車両・機材車両番号、運転者、使う機械機材の取り合いの防止
備考施主への連絡、駐車場所、注意点当日のトラブル防止

表の形は、現場を縦に並べる形と、人を縦に並べる形の2通りがあります。手配する側は現場を軸に、作業員は自分の名前を軸に見たいことが多いため、両方の見方ができると便利です。手作業で2つの表を維持するのは手間がかかるため、どちらかを正として、もう一方は確認用にとどめる方法もあります。

繁忙期と閑散期の人員の波にどう備えるか

現場の仕事には、季節や年度末などによる波があります。繁忙期には人が足りず、閑散期には手が空くという偏りは、多くの会社に共通する悩みです。

波を先に見える化する

過去1〜2年の現場数や人工の実績を月ごとに並べると、自社の波の形が見えてきます。繁忙期が分かっていれば、協力会社への声かけや、休暇の取り方を早めに調整できます。

閑散期の使い方を決めておく

手が空く時期には、資格の取得や講習の受講、機材の点検、若手の教育などを計画的に入れる方法があります。閑散期を「次の繁忙期への準備期間」として位置づけると、人員の波を平らにしやすくなります。

協力会社との関係を平時から保つ

繁忙期だけ協力会社に頼ると、相手の都合がつかないことがあります。平時から一定の仕事を依頼し、連絡の形式をそろえておくと、急な応援も頼みやすくなります。

朝の確認で段取りを仕上げる

前日に確定した段取りも、当日の朝にもう一度確認します。天候、体調、道路状況など、前日には分からなかったことがあるからです。多くの現場では、朝礼で作業内容と分担、危険のポイントを全員で確認します。危険予知(KY)の活動とあわせて行うと、安全面の確認も漏れにくくなります。

厚生労働省の公表によると、2024年の労働災害による死亡者は全産業で746人、そのうち建設業が232人でした。事故の型では、全産業で墜落・転落による死亡が188人でした(出典:厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況を公表」)。高所作業の有無や必要な保護具を朝の確認項目に入れておくと、配置と安全の確認を一度に行えます。

朝の確認で変更が出た場合は、その場で予定表を直し、関係者に知らせます。口頭だけで変更を済ませると、事務所の予定表と現場の実態がずれていきます。

前日までに確認する段取りチェックリスト

翌日の作業を確定する前に、次の項目を確認します。会社の業種に合わせて項目を足し引きしてください。

翌日の作業を確定する前に確認する段取りのチェックリスト
  • 作業内容と、その日の到達目標が決まっている
  • 必要な人数がそろい、担当者が確定している
  • 必要な資格者が配置されている
  • 担当者に、現場の住所、集合時間、作業内容が伝わっている
  • 車両と運転者が決まっている
  • 機材・資材の手配と搬入時間が決まっている
  • 協力会社に、日時と作業範囲を伝えている
  • 施主や管理者への連絡が必要な場合、済んでいる
  • 天候による中止の判断基準と、連絡の時刻が決まっている
  • 中止や欠員のときの振り替え先が決まっている
  • 特定の人の稼働が続きすぎていない

このリストを紙に印刷して使うことでも、確認漏れを減らしやすくなります。毎回同じ項目を見ることで、段取りが担当者の記憶ではなく手順になります。

段取りがうまくいかない会社によくある状況

次のような状況が続いている場合は、仕組みを見直すタイミングです。

  • 手配担当者が、毎日夕方から夜まで電話をかけている
  • 誰がどこにいるのか、事務所で即答できない
  • 資格者がいないことに、現場に着いてから気づく
  • 同じ人ばかりが休日に出勤している
  • 協力会社から「連絡が直前すぎる」と言われる

多くの場合、原因は担当者の能力ではなく、情報がまとまっていないことにあります。情報の置き場所を1つにし、確認の手順を決めることが、最初の改善策になります。

システムで人員配置を管理するかの判断基準

人員配置と段取りは、仕組みを整えればExcelや紙でも回せます。一方で、現場と人の数が増えると、手作業での管理には限界があります。現場の予定管理に特化したスケジュール管理システムのように、現場作業の予定や人員の割り当てを一つの画面で管理し、電話や紙での調整の手間を減らすことを目的にしたサービスもあります。

導入を検討したほうがよいケース

  • 同時に動く現場が多く、全体の配置を一目で把握できない
  • 予定の変更が多く、連絡に毎日まとまった時間がかかっている
  • 二重手配や資格者の配置漏れが繰り返し起きている
  • 手配を特定の担当者しかできない

導入しなくてもよいケース

  • 現場と人の数が少なく、朝礼などで全員がそろって確認できる
  • 予定の変更がほとんどない
  • 人工の基準や資格一覧など、管理の土台がまだない。この場合は先に土台をつくる

費用の考え方

システムの費用は、利用する人数や機能によって変わります。利用人数に応じた月額料金の形が多く見られますが、初期費用や協力会社の利用の扱いはサービスごとに異なります。比べるときは、手配担当者が調整に使っている時間や、配置のミスによるやり直しの回数を数え、その手間と月額費用を比べると判断しやすくなります。正確な金額は見積もりで確認してください。

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ツナグバで、現場の人員配置に使えるサービスを比べる

ツナグバは、法人向けサービスを無料で比べられる掲載サイトです。気になるサービスの資料を、まとめて無料で請求できます。

人員配置と段取りに関連するサービスとして、現場の予定管理に特化したスケジュール管理システムを掲載しています。現場作業の予定や人員の割り当てを、一つの画面で管理できるシステムです。電話や紙での調整の手間を減らします。現場作業の段取りが多い企業に向いています。

今の配置の決め方と比べながら、資料で確認してみてください。

こんな課題があれば

  • 現場ごとの予定と人の割り当てを、電話と紙で調整していて手間がかかっている
  • 急な予定変更が作業員に伝わらず、現場で行き違いが起きている
  • 誰がどの現場に入っているか、事務所に戻らないと分からない

掲載サービスでできること

  • 予定と人員の割り当てを一つの画面で見られる:現場ごとの予定と、誰が入るかを一覧で確認できます。空いている人や重なっている予定を見つけやすくなります。
  • 変更をその場で共有できる:予定を変えると、関係する人の画面にも反映される仕組みが一般的です。電話で一人ずつ連絡する手間を減らせます。
  • スマートフォンから確認できる:外出中や現場にいるときも、手元の端末で予定を見られるものが多くあります。対応する端末は製品によって違うため、資料で確認してください。

資料で確かめたいこと

  • 利用人数ごとの月額料金と、初期費用の有無
  • 作業員が使う端末(スマートフォン・タブレット)で動くか
  • いま使っている勤怠管理や見積もりのツールと連携できるか
  • 導入時の設定や、使い方の説明を手伝ってもらえるか
  • 契約期間の縛りと、解約の条件

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よくある質問

Q. 人員配置が属人化しています。何から始めればよいですか?

A. まず、人ごとの資格・技能・経験の一覧をつくることをおすすめします。手配担当者が頭の中で判断している材料を書き出すことで、ほかの人も配置を考えられるようになります。次に、予定の置き場所を1つにまとめます。

Q. 人工の見積もりの精度を上げるにはどうすればよいですか?

A. 見積もった人工と実際にかかった人工を、現場ごとに記録して比べることです。作業の種類ごとにずれの傾向が見えてくれば、基準を直せます。最初から正確な基準をつくろうとせず、記録を続けることが大切です。

Q. 応援を頼む協力会社とは、どう情報を共有すればよいですか?

A. 日時、場所、作業範囲、必要な人数と資格を、毎回同じ形式で伝えるのが基本です。連絡が直前にならないよう、確定の期限を決めておきます。予定を共有する仕組みを使う場合は、協力会社に見せる範囲も決めておきます。

Q. 若手の育成と効率のよい配置は両立できますか?

A. 両立は可能ですが、意識して配置しないと難しくなります。ベテランと若手を組ませる現場を計画的に決める、資格取得の予定を配置に反映する、といった工夫が考えられます。短期の効率だけで配置を決め続けると、できる人が限られたままになります。

Q. 配置を決める担当者は何人いればよいですか?

A. 決まった人数はありませんが、1人に任せきりにしない体制が望ましいです。主担当と副担当を決め、副担当も配置を組めるようにしておくと、休暇や急な不在のときにも業務が止まりません。

参考資料