デジタルマーケティングとは何か、そしてWebマーケティングと何が違うのか。言葉はよく聞くものの、明確に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。

社内で「うちもデジタルマーケティングを強化しよう」と言われ、何から手をつけるべきか迷っている方も多いはずです。

結論からお伝えすると、デジタルマーケティングとは「デジタル技術とデータを使って、売れる仕組みをつくる活動の総称」です。

Webサイトを中心とするWebマーケティングを内側に含む、より広い概念だと理解すれば、両者の関係はすっきり整理できます。

この記事では、デジタルマーケティングの意味を簡単に解説したうえで、Webマーケティングとの違い、主な手法、進め方のステップ、外部の会社に依頼する場合の考え方まで紹介します。

読み終えれば、自社が今どこから始めるべきかを判断できるようになります。

筆者はBtoB・BtoCの現場でデジタル施策を実践し、人材系事業で半年で売上1.5億円、SEO経由で半年で5,000万円の売上をつくってきた実務家です。現場目線で分かりやすくお伝えします。

この記事の要点まとめ図解

デジタルマーケティングとは?簡単にわかりやすく解説

デジタルマーケティングとは?簡単にわかりやすく解説

デジタルマーケティングとは、デジタル技術やデータを活用して、顧客との接点づくりから購入・リピートまでの仕組みを設計する活動全般を指します。

もっと簡単に言えば、「デジタルで得られるあらゆる接点とデータを、売れる仕組みづくりに使うこと」です。

対象となるチャネルはWebサイトだけではありません。次のようなものがすべて含まれます。

  • Webサイト・ブログ・SEO・Web広告・SNS
  • スマートフォンアプリ・プッシュ通知
  • メール・LINEなどのメッセージ配信
  • MA(マーケティングオートメーション)やCRMなどのツールによるデータ活用
  • デジタルサイネージ、店舗のPOSデータや会員データの活用

ポイントは、単に「デジタル媒体に広告を出すこと」ではなく、「顧客の行動データを取得・分析して施策に活かすこと」まで含む点です。誰がいつサイトを見て、どのメールを開き、何を買ったか。

こうしたデータをつなげて顧客理解を深め、一人ひとりに合ったアプローチをすることが、デジタルマーケティングの本質と言えます。

身近な例を挙げましょう。あるアパレル通販では、会員アプリで顧客の閲覧履歴と購入履歴を把握し、「以前見ていた商品の再入荷通知」や「購入品に合うコーディネート提案」を自動で配信しています。

顧客にとっては便利なお知らせであり、企業にとっては売上機会の創出です。このように、データを使って「一人ひとりに合った提案」を仕組みで行うのがデジタルマーケティングのイメージです。

言葉の由来としては、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、従来のマス広告中心のマーケティングと区別する形で広まった言葉です。

明確な国際的定義があるわけではなく、企業や文脈によって指す範囲が多少異なる点は知っておきましょう。

デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い

デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い

両者の違いは「範囲の広さ」です。Webマーケティングは、WebサイトやSEO、Web広告など「Web」を中心とした施策を指します。

デジタルマーケティングは、それに加えてアプリ、店舗データ、MAツールでの顧客管理など、デジタル全般を扱います。つまり、Webマーケティングはデジタルマーケティングに含まれる一部分です。

比較項目Webマーケティングデジタルマーケティング
範囲Webサイト中心デジタル接点・データ全般
主なチャネルサイト、SEO、Web広告、SNS左記+アプリ、メール配信基盤、店舗データ等
主な目的Web経由の集客・CV獲得データ活用による顧客体験全体の最適化
使うデータアクセス解析が中心行動・購買・顧客データを統合
代表的なツールアクセス解析、広告管理画面MA、CRM、CDPなど

もう少し具体的に言えば、Webマーケティングが「サイトに人を集めて成果につなげること」を主戦場にするのに対し、デジタルマーケティングは「集めた後の顧客データをどう活かすか」までを射程に入れます。

たとえば、展示会で交換した名刺をデータ化してメール配信につなげる活動は、Webサイトが主役ではないためWebマーケティングとは呼びにくいですが、デジタルマーケティングには含まれます。

ただし実務では、両者の線引きに神経質になる必要はありません。中小企業の場合、デジタルマーケティングの入り口は実質的にWebマーケティングであることがほとんどです。

まずWebで集客とCVの仕組みをつくり、顧客データが貯まってきた段階で、メール配信やMAなどデータ活用へ広げるのが現実的な順番です。

「自社はどちらから学ぶべきか」と迷う方もいますが、結論はシンプルです。まだWeb経由の集客が確立していないなら、Webマーケティングから始めてください。

すでにWeb集客が回っていて、顧客データが蓄積されているなら、メール配信やMAなどデータ活用の領域に進むタイミングです。言葉の定義よりも、自社の段階に合った打ち手を選ぶことが重要です。

なお、求人や部署名の文脈では「デジタルマーケティング」がWeb広告運用やSNS運用を指していることも多く、実務上は両者がほぼ同義で使われる場面もあります。文脈によって指す範囲が変わる言葉だと覚えておくと、混乱しません。

デジタルマーケティングの主な手法一覧

デジタルマーケティングの主な手法一覧

デジタルマーケティングで使われる代表的な手法を、目的別に整理します。

目的主な手法概要
認知拡大SNS運用・SNS広告・動画まだ自社を知らない層に知ってもらう
集客SEO・リスティング広告検索する見込み客をサイトに集める
見込み客獲得LP・ホワイトペーパー問い合わせや資料DLで連絡先を得る
育成メール配信・MA・LINE見込み客に情報を届け購買意欲を高める
顧客維持CRM・アプリ・会員施策購入者のリピートとファン化を促す
分析アクセス解析・データ統合数字から課題を見つけ改善する

この表は上から下へ、顧客の検討段階の流れに対応しています。

自社の課題が「そもそも知られていない」なら認知施策、「問い合わせが少ない」なら集客〜獲得施策、「一度買った客が戻らない」なら維持施策と、課題の場所に合わせて手法を選びます。

すべてを一度にやる必要はありません。予算と人手が限られる場合は、「集客」と「見込み客獲得」の2つから始めるのが定石です。

この2つが機能すれば売上への道筋が見え、社内の理解と予算も得やすくなるからです。

筆者の経験では、BtoB企業で特に効果が大きいのは「獲得→育成」の連携です。ホワイトペーパーで得た見込み客にメールで情報を届け続ける仕組みをつくったところ、営業に渡せる商談数が数か月で約2倍になった例があります。

1つの手法単体より、手法同士をつなげたときに成果が伸びるのがデジタルマーケティングの特徴です。

手法同士をつなげる際の考え方は、「顧客の次の一歩を用意しておくこと」です。記事を読んだ人には資料ダウンロードを、資料を読んだ人にはセミナー案内を、セミナー参加者には個別相談を。

顧客の温度感が一段上がるたびに、次の受け皿が自然に現れる設計を目指します。この設計図があるかないかで、同じ施策でも成果は大きく変わります。

デジタルマーケティングが重要になっている3つの背景

デジタルマーケティングが重要になっている3つの背景

なぜ今、多くの企業がデジタルマーケティングに取り組むのでしょうか。背景は大きく3つあります。

顧客の情報収集がデジタル中心になった

商品を買う前にスマートフォンで検索し、SNSや口コミを確認するのが当たり前になりました。BtoBでも、営業に会う前に候補企業をWebで比較検討するのが一般的と言われます。

顧客がいる場所がデジタルに移った以上、売り手もそこに接点を持つ必要があります。

実際、何かを買う前に検索や口コミ確認をする行動は、BtoCだけでなくBtoBでも標準になりました。海外では「買い手は営業に会う前に検討の半分以上を終えている」という調査結果も知られています。

会う前に選ばれる状態をつくれるかどうかが、営業効率を大きく左右します。

行動データが取得できるようになった

紙のチラシでは「誰が読んだか」は分かりません。デジタルなら、どのページが読まれ、どこで離脱したかまで数字で分かります。

データに基づいて改善を繰り返せることが、従来のマーケティングとの決定的な違いです。

少額から始められ、中小企業でも戦える

テレビCMのような大予算がなくても、数万円の広告費やブログ記事から始められます。工夫次第で大手と同じ土俵に立てるのは、中小企業にとって大きなチャンスです。

こうした背景から、企業のデジタル活用は年々進んでいると言われます。一方で、中小企業では「必要性は感じているが、人材がいなくて手をつけられていない」という声が依然として多いのが実情です。

裏を返せば、競合より一歩早く取り組むだけで差別化になる余地が、まだ十分に残っているということです。

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デジタルマーケティングの進め方5ステップ

デジタルマーケティングの進め方5ステップ

自社で取り組む場合の進め方を、5つのステップで紹介します。大がかりなツール導入から入らないことがポイントです。

  1. 目的とKPIを決める:「1年で問い合わせを月20件に」など、目指す数字を明確にする
  2. 顧客の行動を書き出す:顧客が認知から購入までにたどる行動と接点を洗い出す
  3. 接点の現状を棚卸しする:サイト・SNS・メールなど既存接点の数字と課題を確認する
  4. 優先施策を1〜2個に絞って実行する:最も弱い接点を補強する施策から着手する
  5. データを見て改善を繰り返す:月1回は数字を確認し、施策の継続・修正を判断する
デジタルマーケティングの進め方5ステップのフロー図解

よくある失敗は、ステップ1〜3を飛ばして「まずMAツールを導入する」パターンです。ツールは仕組みを効率化するものであって、仕組みそのものを生み出してはくれません。

見込み客が月に数件しか取れていない段階で高機能なMAを入れても、配信する相手がいないため宝の持ち腐れになります。

ステップ2の「顧客の行動を書き出す」は、簡単なようで効果の大きい作業です。

たとえばBtoBなら「課題を認識→検索で情報収集→資料請求→比較検討→問い合わせ→商談」といった流れを書き出し、各段階で自社がどんな接点を持てているかを確認します。

接点が空白になっている段階が、そのまま次の施策の候補になります。

また、KPIは1つの施策につき1〜2個に絞りましょう。見る数字が多すぎると、どれも中途半端になり、改善の焦点がぼやけます。

「今期はサイト経由の問い合わせ数だけを追う」くらいの割り切りが、初期はうまくいきます。

社内の巻き込みも忘れてはいけません。デジタルマーケティングは、営業やカスタマーサポートなど他部門のデータと連携してこそ力を発揮します。

小さくても成果が出たら数字で共有し、協力者を増やしながら範囲を広げていきましょう。

デジタルマーケティングの活用イメージ|BtoB・BtoCの例

デジタルマーケティングの活用イメージ|BtoB・BtoCの例

取り組みの具体像をつかむために、BtoBとBtoCの2つの例を紹介します。

BtoBの例:製造業の見込み客育成

ある製造業では、技術資料をホワイトペーパーとしてサイトに置き、ダウンロードした見込み客にメールで導入事例を届ける仕組みをつくりました。営業は、メールの開封や資料閲覧が多い企業から優先的にアプローチします。

やみくもな飛び込み営業に比べて商談化率が改善しやすい、典型的な成功パターンです。

BtoCの例:店舗ビジネスの再来店促進

ある飲食店では、来店客にLINE登録を案内し、雨の日限定クーポンや新メニュー情報を配信しています。ポイントは、割引だけに頼らず「今日行く理由」をつくっている点です。

新規集客の広告費が高騰する中、既存客の再来店をデジタルで促す取り組みは、費用対効果が高い施策の代表例です。

筆者が人材系事業で半年で売上1.5億円をつくった際も、特別な最新ツールは使っていません。検索経由の集客、応募ページの改善、応募者への迅速なメール対応という基本の組み合わせを、データを見ながら磨き続けただけです。

デジタルマーケティングの成果は、派手な技術ではなく基本の積み重ねから生まれます。

2つの例に共通するのは、「顧客にとって嬉しい体験」と「企業の売上」が両立している点です。データ活用が単なる売り込みの自動化になると、配信解除や顧客離れを招きます。

顧客の役に立つ情報提供を軸に据えることが、長く機能する仕組みの条件です。

なお、個人情報や行動データを扱う際は、個人情報保護法や各ツールの規約に沿った運用が前提です。同意の取得やプライバシーポリシーの整備など、守りの部分もセットで進めましょう。

デジタルマーケティング会社に依頼する場合の選び方

デジタルマーケティング会社に依頼する場合の選び方

社内に人材がいない場合、外部の会社に支援を依頼する選択肢もあります。依頼先は大きく3タイプに分かれます。

  • 総合支援会社:戦略から施策実行まで一括で支援。費用は高めだが丸ごと任せられる
  • 専門特化会社:SEO、広告運用など特定領域に強い。施策が決まっているなら効率的
  • 顧問・伴走型:戦略立案や壁打ちを継続的に支援。実行は自社で行うため費用を抑えやすい

選ぶ際は、実績だけでなく「自社の規模・業界に近い支援経験があるか」「レポートだけでなく次の打ち手まで提案してくれるか」を確認しましょう。また、何を任せたいのかが曖昧なまま発注すると、費用対効果を判断できなくなります。

依頼前に、この記事のステップ1〜3(目的・顧客・現状の整理)だけでも自社で行っておくことをおすすめします。

費用の目安は、広告運用代行で広告費の20%前後、SEO支援で月10万〜50万円程度、総合的なコンサルティングで月30万円以上が一般的な相場と言われます。ただし、金額よりも「自社に残るものがあるか」という視点が重要です。

レポートを受け取るだけの関係より、社内にノウハウが蓄積される伴走型のほうが、長期的には安くつきます。

また、契約前に「最初の3か月で何をどこまでやるか」を具体的に確認しましょう。成果物と数値目標が曖昧なまま始まる契約は、後から評価のしようがなくなり、ずるずると費用だけが出ていく原因になります。

「どのタイプに頼むべきかすら分からない」という段階なら、まず低コストの相談型サービスで課題を整理してから、必要な専門会社を選ぶ方法もあります。

まとめ:デジタルマーケティングとはデータで売れる仕組みをつくること

最後に、この記事の要点を整理します。

  • デジタルマーケティングはデジタルとデータ活用の総称
  • Webマーケティングはデジタルの中の一部分
  • 手法は顧客の検討段階に合わせて選ぶ
  • ツール導入より目的とKPIの整理が先

まずはWebでの集客とCV獲得から着手し、データが貯まったら育成・維持へ広げていく。この順番を守れば、中小企業でも無理なくデジタルマーケティングを形にできます。

デジタルマーケティングは、一度仕組みができれば継続的に成果を生み続ける、蓄積型の投資です。完璧な計画が固まるのを待つより、小さな一歩を今月から始めることをおすすめします。

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