電話での問い合わせに、担当者によって答えが違う。取り次ぎに時間がかかり、お客様を待たせてしまう。言葉づかいは丁寧なのに、なぜか苦情が減らない。電話応対の品質に、こうした悩みを抱える会社は少なくありません。

電話応対の品質は、話し方の研修だけでは上がりにくいものです。何を良い応対とするかの基準、応対を聞いて評価する仕組み、評価をもとに話し合う場がそろって、はじめて改善が続きます。

この記事では、電話応対の品質を改善する方法を、品質の考え方、評価項目の決め方、モニタリングとフィードバックの進め方、マニュアルと研修、仕組みの整え方の順に整理します。

公的機関で行われた評価の例や、改善を始める前のチェックリストもまとめました。社内で取り組むときの材料として使ってください。

電話応対の品質とは|話し方と中身の両方で決まる

電話応対の品質というと、敬語の使い方や声の明るさを思い浮かべがちです。もちろん話し方は大切ですが、品質はそれだけでは決まりません。

お客様にとって良い電話応対とは、知りたいことに正しく答えてもらえる、用件が早く片付く、気持ちよく話せる、の3つがそろった状態です。そのため、品質は次の3つの面から考えると整理しやすくなります。

面主な内容品質が低いときに起きること
話し方名乗り、敬語、相づち、話す速さ、聞き取りやすさ印象が悪くなり、内容が正しくても不満が残る
内容用件の聞き出し、回答の正確さ、案内の適切さ誤った回答や再度の問い合わせが増える
進め方保留、折り返し、取り次ぎ、記録と引き継ぎ待ち時間が長くなり、たらい回しが起きる

電話はお客様と直接つながる接点で、会社の印象を左右します。消費者庁は、消費者の声を起点に、企業価値の向上と社会課題の解決を同時に目指す「消費者志向経営」を推進しています(出典:消費者庁「消費者志向経営の推進」)。電話で寄せられる声は、商品やサービスを見直す材料にもなります。

電話応対の品質が下がる主な原因

品質が下がる原因は、担当者の話し方だけにあるとは限りません。原因を個人と仕組みに分けて考えると、手を打つべき場所が見えてきます。

個人に関わる原因

  • 電話応対の経験が少なく、基本の流れが身についていない
  • 商品やサービスの知識が足りず、その場で答えられない
  • 忙しい時間帯に電話を受け、応対が雑になる

仕組みに関わる原因

  • 良い応対の基準が決まっておらず、担当者ごとにやり方が違う
  • よくある質問の回答がまとまっておらず、人によって答えが変わる
  • 取り次ぎの手順が決まっておらず、保留や転送が長くなる
  • 過去の応対の記録がなく、同じことを何度も聞いてしまう

実際には、仕組みに関わる原因のほうが大きいことも多くあります。担当者を注意するだけでは同じ問題が繰り返されるため、評価の結果から仕組みの問題を見つけることが大切です。

評価項目の決め方|公的機関の例を参考にする

品質を改善するには、まず何を良い応対とするかの基準を決めます。参考になるのが、公的機関が行った電話応対の評価の例です。

社会保険庁(当時)は、年金電話相談センターなどの応答記録を抽出し、16の項目を「大変良い」から「悪い」までの5段階で評価するモニタリングを行い、結果を公表していました(出典:社会保険庁「年金電話相談センター等の応答記録モニタリング結果(平成18年3月実施)」)。

公的な電話相談の応答記録モニタリングで使われた16の評価項目の内訳を示す棒グラフ。内容8項目、応対7項目、挨拶1項目

16の項目は、所属や氏名を名乗っているかといった挨拶、相談者が何を聞きたいかを聞き出しているか、適正な回答をしているか、保留や折り返しの案内が適正かといった内容、敬語や相づち、話す速さ、親切で丁寧な対応かといった応対に分かれていました(出典:社会保険庁「年金電話相談センター等の応答記録モニタリング結果(平成18年3月実施)」)。

話し方の項目だけでなく、内容の項目に多くの数が割かれている点が参考になります。

この評価では、拠点ごとの結果の差の理由も示されていました。挨拶の項目で評価が低かった拠点について、資料は次のように説明しています。

茨城の評価が悪いのは事務所転送分の応答の際に名前を名乗っていないためである。

出典:社会保険庁「年金電話相談センター等の応答記録モニタリング結果(平成18年6月実施)」

転送された電話を受けたときに名乗らないという問題は、個人の意識だけでなく、転送の手順やルールにも関わります。評価の結果を項目ごとに見ると、こうした仕組みの問題が見つかります。同じ評価では、拠点別の総合評価が2.9から3.4の範囲だったことも示されています(出典:社会保険庁「年金電話相談センター等の応答記録モニタリング結果(平成18年6月実施)」)。

自社で評価項目を決めるときは、次の点に注意します。

  • 項目は10〜20程度に絞り、1つの項目で1つのことだけを見る
  • 「丁寧か」のようなあいまいな表現ではなく、「最初に会社名と名前を名乗ったか」のように、聞けば判断できる形にする
  • 段階ごとに、どんな応対ならその評価になるかの例を決める
  • 業務の目的に合わせて項目を選ぶ(受注の電話と、問い合わせの電話では重視する点が違う)

品質改善の進め方|4つの手順を繰り返す

評価の項目が決まったら、次の4つの手順を、決まった間隔で繰り返します。

電話応対の品質を改善する4つの手順として、基準を決める、聞いて評価する、話し合う、仕組みを直すを示した図

手順1:基準を決める

評価の項目と段階を決め、良い応対の例を共有します。実際の応対の中から良い例を選び、何が良かったのかを言葉にしておくと、担当者がまねしやすくなります。

手順2:聞いて評価する

録音や同席で応対を聞き、基準に沿って評価します。評価する人が複数いる場合は、同じ応対を全員で評価して、評価のずれを確かめておきます。

評価の対象は、特定の担当者の失敗した応対だけに偏らないよう、期間を決めて抽出します。公的機関の例でも、調査対象の月の範囲から応答を任意に抽出していました(出典:社会保険庁「年金電話相談センター等の応答記録モニタリング結果(平成18年3月実施)」)。

手順3:話し合う

評価の結果は、点数だけを伝えるのではなく、本人と一緒に応対を聞きながら話し合います。良かった点を先に伝え、直す点は1〜2つに絞ると、受け止めやすくなります。

「もっと丁寧に」ではなく、「保留の前に、どれくらい待つかを伝える」のように、次から何をすればよいかが分かる形で伝えることが大切です。

手順4:仕組みを直す

評価の結果から、個人の問題ではなく仕組みの問題が見つかったときは、マニュアル、よくある質問の回答、取り次ぎの手順などを直します。同じ指摘が複数の担当者に出ている項目は、仕組みの問題である可能性が高いと考えられます。

改善の効果を確かめる|評価と数字の両方を見る

改善の取り組みを続けるには、効果を確かめる方法も決めておきます。評価の点数だけでなく、電話の結果に関わる数字も合わせて見ると、改善が実際に役立っているかが分かります。

見るもの主な例確かめたいこと
評価の点数項目ごとの平均、段階ごとの割合基準どおりの応対が増えているか
電話の結果折り返しの件数、取り次ぎの回数、同じ用件での再度の問い合わせ用件が一度で片付いているか
お客様の声苦情や感謝の件数、アンケートの結果お客様の受け止め方が変わっているか

評価の点数は、評価する人や時期によってぶれることがあります。点数の上下だけで判断せず、同じ用件での再度の問い合わせが減ったか、取り次ぎの回数が減ったかといった数字と合わせて見ることが大切です。

数字を集めるために、記録の作業が増えすぎないよう注意します。最初は、すでに記録している数字の中から2〜3個を選び、毎月同じ形で並べて比べるところから始めると、無理なく続けられます。

たらい回しを防ぐ取り次ぎのルール

電話応対の不満で多いのが、取り次ぎの繰り返しです。担当が分からないまま転送を重ねると、お客様は何度も同じ説明をすることになります。

厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルは、電話対応の基本について次のように示しています。

基本的には、第一受信者が責任を持ち、問い合わせ案件のたらい回しにしない。

出典:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」

最初に電話を受けた人が責任を持つというルールは、不満を大きくしないためにも役立ちます。具体的には、次のようなルールを決めておきます。

  • 担当者に取り次ぐときは、用件を先に伝え、お客様に同じ説明をさせない
  • 担当者がすぐに出られないときは、保留を続けず、折り返しの時間を伝える
  • 折り返しを約束したら、誰がいつまでに折り返すかを記録する
  • 担当が分からない問い合わせは、最初に受けた人が確認して回答する

このルールを守るには、過去の応対の内容を誰でも確かめられることが前提になります。お客様が以前に何を問い合わせたかが分かれば、取り次ぎの回数を減らせます。

マニュアルと研修|全員が同じ基準で応対する

基準と評価の仕組みができたら、マニュアルと研修で、全員が同じ基準で応対できるようにします。

マニュアルには、名乗り方や保留の仕方といった基本の流れと、よくある質問への回答をまとめます。回答は一度作って終わりではなく、評価や問い合わせの内容から、足りないものを追加していきます。

研修について、厚生労働省のマニュアルは次のように述べています。

研修等については、全員が受講し、かつ定期的に実施することが重要です。

出典:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」

新しく入った社員だけでなく、経験のある社員も含めて、全員が定期的に学ぶ場をつくることが大切です。研修では、実際の応対の録音を使い、良い例と直したい例を聞き比べると、基準が具体的に伝わります。

電話応対の品質は、厳しい要求を受けたときの対応とも関わります。労働施策総合推進法等の改正により、カスタマーハラスメントの防止のための措置が事業主の義務となり、令和8年10月1日から施行されています(出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」)。品質の改善と合わせて、担当者を守るための対応の手順も確かめておきます。

録音と履歴で品質改善を支える

品質の改善を続けるには、応対を聞き返せることと、応対の記録を共有できることが欠かせません。

厚生労働省のマニュアルは、電話対応の準備として、通話内容を録音できるようにしておくことを挙げています(出典:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」)。録音は、トラブルの防止だけでなく、評価や研修の材料としても使えます。

録音や履歴の仕組みを選ぶときは、次の点を確かめます。

  • 録音を探しやすいか(日時、相手、担当者で探せるか)
  • 応対の内容のメモと録音をひもづけられるか
  • かかってきた電話の相手と、過去の応対の内容を画面で確かめられるか
  • 誰がどの録音や記録を見られるかを設定できるか

電話の通話を録音・保存し、内容の確認や共有をしやすくしたい場合は、ツナグバ掲載のAIを活用した通話録音・管理ツールも比較の候補になります。応対品質の確認やトラブル防止に役立つツールです。

録音や応対の記録には、相手の名前や用件などの情報が含まれます。個人情報保護委員会のQ&Aでも、通話内容の録音と相手方への通知や、録音記録の個人情報への該当性が取り上げられています(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A)。保存の期間や見られる人の範囲を決め、情報の管理のルールも整えておきます。社内の情報管理は、IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」も参考になります(出典:IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」)。

品質改善を始める前のチェックリスト

最後に、品質改善を始める前に確かめておきたい項目をまとめます。すべてをそろえてから始める必要はありません。足りないものから一つずつ整えてください。

電話応対の品質を改善する前に確かめたい8つの項目を並べたチェックリスト
  • 評価の項目と段階を決めた
  • 良い応対の例を共有した
  • 応対を聞く方法(録音や同席)を決めた
  • 評価する人と頻度を決めた
  • 最初に受けた人が責任を持つルールがある
  • よくある質問の回答をまとめた
  • 応対の記録を共有できる
  • 研修を全員が受けられる

電話の件数が少なく、担当者が1〜2人で、応対の内容も限られている会社では、大がかりな評価の仕組みは必要ないこともあります。その場合は、月に数件の応対を一緒に聞き返し、気づいた点を話し合うだけでも改善のきっかけになります。

費用の考え方も整理しておきます。品質改善にかかる費用は、評価や研修にかける社内の時間、録音や履歴の仕組みの利用料、外部の研修を使う場合の費用に分けて考えます。金額は、電話の件数、担当者の人数、必要な機能によって変わるため、複数のサービスの資料を取り寄せて、自社の条件で比べることが大切です。

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ツナグバで、電話応対の品質改善に役立つサービスを比べる

ツナグバは、法人向けサービスを無料で探し、複数のサービスの資料をまとめて請求できるサイトです。

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また、かかってきた電話の相手や過去の応対内容を画面で確認し、社内で共有できるクラウド型の電話システムも掲載しています。電話対応の引き継ぎや、顧客対応の質の向上に役立ちます。

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こんな課題に向いています。

  • 電話でのやり取りが記録に残らず、言った言わないのトラブルになる
  • 新人の電話対応を確認したくても、横で聞く時間が取れない
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主な特徴は次のとおりです。

  • かかってきた瞬間に、相手と過去のやり取りが分かる:着信と同時に、相手の名前や前回の対応内容をパソコンの画面に表示します。電話に出る前に状況が分かるので、「どちら様でしょうか」から始めずに済みます。
  • 対応の記録を、社内で共有できる:通話ごとの対応メモが相手ごとにたまっていきます。担当者が休みの日や、担当が変わったときも、ほかの人が経緯を見て引き継げます。
  • 今の電話番号のまま使える場合が多い:この種のサービスは、今使っている電話番号や電話機を変えずに導入できるものが一般的です。導入時の手間や、取引先への番号変更の連絡を抑えられます。

資料で確かめたいことの例です。

  • 今の電話回線・電話機のまま使えるか(工事や機器の入れ替えが必要か)
  • 顧客管理システムなど、いま使っているツールと連携できるか
  • 1台あたり・1拠点あたりの月額料金と、初期費用の有無

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よくある質問

電話応対の評価は、どれくらいの頻度で行えばよいですか?

決まった頻度はありませんが、月に1回など、決まった間隔で続けることが大切です。

最初は1人あたり数件の応対から始め、評価にかかる時間を見ながら、件数や頻度を調整します。

評価する人は、誰が担当すればよいですか?

電話応対の経験があり、評価の基準をよく理解している人が担当します。上司だけでなく、経験のある社員が交代で担当する方法もあります。

評価する人が複数いる場合は、同じ応対を全員で評価し、評価のずれをなくしておきます。

録音を評価に使うことを、社員にどう伝えればよいですか?

録音を使う目的が、個人を責めることではなく、応対の基準をそろえ、仕組みを改善することだと説明します。

評価の結果を本人と一緒に聞きながら話し合う場を設けると、録音への抵抗感は小さくなりやすいでしょう。

電話の件数が少ない会社でも、品質改善は必要ですか?

件数が少なくても、電話は会社の印象を左右する接点です。大がかりな仕組みは必要ありませんが、名乗り方や取り次ぎのルールを決め、ときどき応対を聞き返すだけでも改善につながります。

評価項目は、一度決めたら変えないほうがよいですか?

同じ項目で続けることで、変化を比べやすくなります。ただし、業務の内容や問い合わせの傾向が変わったときは、項目を見直してください。

見直すときは、変えた時期を記録しておくと、前後の結果を比べるときに混乱しません。

参考資料