高校生の採用を始めようとすると、最初に向き合うのが求人票です。

高卒採用では、多くの場合、生徒は学校に届いた求人票を見て応募先を選びます。会社説明会やWebサイトで情報を集める大卒の就職活動とは違い、求人票の内容が会社の第一印象を大きく左右します。

この記事では、高卒向け求人票の書き方を、項目ごとに整理しました。高校生や進路指導の先生に伝わる書き方のコツ、書いてはいけないこと、提出前のチェックリストまで、順に解説します。

高卒向けの求人票とは

高卒向けの求人票は、高校を卒業する生徒を採用するために、ハローワークに申し込んで作成する求人票です。

ハローワークに求人を申し込むと、内容の確認を経て、受理された求人票が返されます。企業はこの求人票を使って、高校に求人を出します。ハローワークの資料では、受理印がない求人票は無効になると案内されています(出典:ハローワーク大曲「高卒求人作成のポイント」)。

一般の求人や大卒の求人と比べると、次のような違いがあります。

項目高卒向けの求人票一般の求人・大卒の求人
申込み先ハローワーク(受理後に高校へ)ハローワーク、求人サイト、自社サイトなど
読む人高校生、進路指導の先生、保護者求職者本人
時期申込み、交付、選考の開始日が決まっている時期の決まりは比較的少ない
応募書類全国高等学校統一用紙の履歴書・調査書企業が指定する書類
内容の変更原則としてできない必要に応じて変更しやすい

特に注意したいのは、一度受理された求人票の内容は、原則として変更できない点です。ハローワークの資料では、高卒求人の内容変更は原則できないこと、求人票に記載された選考方法以外の選考も行えないことが案内されています(出典:ハローワーク渋谷「新規高卒求人申込について」)。提出前の確認が、ほかの求人以上に大切です。

高卒求人のスケジュールと求人票

高卒求人は、全国で決められたスケジュールに沿って進みます。

たとえば、2027年3月に卒業する生徒の募集では、ハローワークでの求人申込みの受付は6月1日から、求人票の交付(返戻)は7月1日以降、学校からの推薦は9月5日以降、選考の開始は9月16日以降と案内されています(出典:ハローワーク青梅「令和9年3月新規学校卒業者の募集・採用を予定されている事業主の皆様へ」)。

求人票は、7月に高校に届いてから、生徒が夏休みに職場見学をして応募先を決めるまでの間、何度も読まれます。6月の申込み開始に間に合うよう、5月ごろから準備を始めると余裕を持てます。

高卒求人の現状|求人倍率は約4倍

求人票の書き方が大切な理由の一つは、高校生の採用が企業同士の競争になっていることです。

2026年3月卒業予定の高校生の求人数約48万3千人と求職者数約12万3千人を比べた棒グラフ

厚生労働省の取りまとめでは、2026年3月に卒業する高校生について、2025年9月末時点の求人数は約48万3千人、求職者数は約12万3千人で、求人倍率は3.94倍でした(出典:厚生労働省「令和7年度 高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況 取りまとめ(9月末現在)」)。

その前年、2025年3月に卒業した高校生では、3月末時点の求人倍率が4.10倍、就職内定率は99.0%でした(出典:厚生労働省「令和6年度 高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況 取りまとめ(令和7年3月末現在)」)。

就職を希望する生徒1人に対して、4件ほどの求人がある計算です。生徒や先生は、たくさんの求人票の中から応募先を選びます。仕事の内容や働き方が具体的に分かる求人票ほど、選ばれやすくなります。

求人票の書き方|項目別の記入ポイント

ここからは、求人票の主な項目ごとに、書き方のポイントを解説します。

高卒求人票の主な項目ごとに、書き方のポイントをまとめた表

仕事の内容

高校生が、入社後にどんな仕事をするのかを思い浮かべられるように書きます。

専門用語や社内の言葉は、分かりやすい言葉に置き換えます。ハローワークの資料では、記入に迷う場合は、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)で、近い職種の仕事の説明を参考にする方法も紹介されています(出典:ハローワーク大曲「高卒求人作成のポイント」)。

「製造業務全般」のような書き方では、何をするのかが伝わりません。「自動車部品を機械で加工し、寸法を測って検査する仕事です」のように、扱うもの、使う道具、1日の流れが分かる書き方にします。

賃金(基本給・手当・固定残業代)

基本給と手当を分けて書き、毎月決まって支払われる額が分かるようにします。

固定残業代(あらかじめ一定時間分の残業代を賃金に含める仕組み)がある場合は、特に注意が必要です。厚生労働省は、固定残業代を賃金に含める場合は適切に表示するよう求めています(出典:厚生労働省「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について」)。ハローワークの資料では、次のような記載例が示されています。

固定残業代は、時間外労働時間の有無に関わらず、 固定残業代として支給し、( a )時間分を超える時間外労働分は追加で支給

出典:ハローワーク渋谷「新規高卒求人申込について」

何時間分の残業代が含まれているのか、その時間を超えた分は別に支払うのかを、はっきり書きます。固定残業代を含めた総額だけを大きく見せる書き方は、入社後のトラブルにつながります。

就業時間・休日

始業と終業の時刻、休憩時間、交替制の有無を書きます。休日は、曜日、年間休日数、長期休暇の時期が分かるようにします。

残業がある場合は、月の平均的な時間の目安を書いておくと、生徒や保護者が働き方をイメージしやすくなります。

就業場所

実際に働く場所を書きます。就業場所が複数ある場合の書き方は、ハローワークの案内に沿って、代表の場所と、そのほかの場所を補足事項などで示します(出典:ハローワーク渋谷「新規高卒求人申込について」)。

転勤の可能性がある場合は、その範囲も書いておきます。高校生にとって、自宅から通えるかどうかは、応募先を選ぶ大きな基準です。

試用期間

試用期間がある場合は、期間と、その間の労働条件が本採用後と違うかどうかを書きます。ハローワークの資料では、試用期間中の賃金が異なる場合も、時間あたりの額が最低賃金を下回らないよう注意が促されています(出典:ハローワーク渋谷「新規高卒求人申込について」)。

福利厚生・教育訓練

加入している保険、退職金や賞与の有無、寮や社宅、通勤手当などを書きます。教育訓練の欄には、入社後の研修の期間と内容、資格の取得支援の有無を具体的に書きます。

初めて社会に出る高校生と保護者にとって、入社後に誰がどのように教えてくれるかは、安心して応募できるかどうかを決める大切な情報です。

青少年雇用情報(採用・定着の状況)

求人票には、過去3年間の新卒者の採用や定着の状況など、職場に関する情報を記入する欄(青少年雇用情報)があります。若者雇用促進法に基づいて、若者に職場の情報を伝えるための欄です(出典:厚生労働省「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について」)。

ハローワークの資料では、この欄は原則として全項目を入力するよう案内されています(出典:ハローワーク渋谷「新規高卒求人申込について」)。離職者がいる場合も、隠さずに書いたうえで、定着のために取り組んでいることを補足事項で伝えるほうが、先生や保護者の信頼につながります。

選考方法・応募書類

選考は、書類選考だけで決めず、面接などを行うよう案内されています。応募書類は、学校から届く全国高等学校統一用紙の履歴書と調査書を使います(出典:ハローワーク大曲「高卒求人作成のポイント」)。

面接の回数、筆記試験や適性検査の有無、選考にかかる日数を具体的に書きます。求人票に書いた以外の方法で選考することはできないため、実際に行う選考の内容をもれなく書いてください。

補足事項・特記事項

求人票の決まった欄に書ききれない情報は、補足事項や特記事項の欄に書きます。研修の内容、資格取得の支援、寮や社宅、先輩社員の様子など、生徒が働く姿をイメージできる情報を入れると効果的です。

書き方の例|伝わりにくい表現と伝わる表現

同じ内容でも、書き方によって伝わり方は大きく変わります。次の表は、求人票でよく見られる表現を、高校生に伝わる書き方に直した例です。

項目伝わりにくい例伝わる例
仕事の内容製造業務全般自動車部品を機械で加工し、寸法を測って検査する仕事です
仕事の内容営業事務注文の電話やメールを受け、パソコンで伝票を作る仕事です
研修研修制度あり入社後1か月は先輩と2人1組で作業し、手順を覚えます
資格資格取得支援ありフォークリフトの免許を、入社1年目に会社の費用で取得できます
職場の様子アットホームな職場20代の社員が半数で、高校卒業後に入社した先輩も働いています

※表の「伝わる例」は書き方の例です。実際の求人票には、自社の事実に合わせて書いてください。

ポイントは、抽象的な言葉を、事実と数字に置き換えることです。「アットホーム」「やりがい」のような言葉は、読む人によって受け取り方が違います。何人の職場で、誰に教わり、何ができるようになるのかを書くと、具体的に伝わります。

高校生と先生に伝わる書き方のコツ

求人票は、生徒本人に加えて、進路指導の先生や保護者も読みます。次の点を意識すると、伝わる求人票になります。

  • 専門用語や略語を使わず、高校生が分かる言葉で書く
  • 入社後1年目の仕事の内容と、教えてもらえる体制を書く
  • 資格の取得支援や研修など、成長できることを具体的に書く
  • 先輩社員の出身校や年齢層など、身近に感じられる情報を入れる
  • 職場見学の受け入れ時期と方法を明記する
  • 良いことだけでなく、体力が必要、夜勤があるなど、事前に知っておいてほしいことも書く

入社後に「聞いていた話と違う」と感じることは、早期の離職の原因になります。働く条件を正直に、具体的に書くことが、採用後の定着にもつながります。

求人票と一緒に準備したいこと

求人票を出した後は、生徒や先生からの問い合わせ、職場見学、学校訪問への対応が続きます。求人票の準備と同時に、次のことも決めておきます。

  • 職場見学の受け入れ日程、案内する人、見せる場所
  • 学校を訪問する時期と、訪問する高校の一覧
  • 求人票を補う会社案内の資料(仕事の様子が分かる写真など)
  • 応募書類が届いてから、選考の結果を伝えるまでの日程

学校訪問は7月1日以降が基本で、学校の了承があれば6月1日から可能と案内している地域もあります。採否は速やかに決め、学校と本人に知らせることも求められています(出典:ハローワーク大曲「高卒求人作成のポイント」)。地域によって運用が違うことがあるため、管轄のハローワークで確認してください。

求人票と選考で書いてはいけないこと

求人票の内容や選考の方法は、公正な採用選考の考え方に沿っている必要があります。厚生労働省は、採用選考の基本的な考え方を次のように示しています。

採用選考は 応募者の基本的人権を尊重すること・応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと の2点を基本的な考え方として実施することが大切です。

出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」

同じページでは、本籍や出生地、家族、住宅状況など本人に責任のない事項や、宗教や支持政党など本来自由であるべき事項を把握しないよう示されています(出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。求人票の応募条件や、面接での質問に、これらを含めないよう注意してください。

応募書類の作り方についても、公正さが求められます。ハローワークの資料では、次のように案内されています。

履歴書の作成方法の違いによって採用選考に有利不利が生じないよう、応募者の適性・能力に基づいた公正な採用を行ってください。

出典:ハローワーク大曲「高卒求人作成のポイント」

また、求人を出すときには、業務の内容や賃金、労働時間などの労働条件を明示することが職業安定法で定められています(出典:e-Gov法令検索「職業安定法」第5条の3)。求人票の内容は、入社後の労働条件の約束として読まれることを意識して書きましょう。

求人票を提出する前のチェックリスト

内容を変更できない高卒求人では、提出前の確認が欠かせません。次の項目を確認しましょう。

高卒求人票を提出する前に確認したい8つの項目をまとめたチェックリスト
  • 仕事の内容を、高校生が分かる言葉で具体的に書いた
  • 基本給と手当を分けて書いた
  • 固定残業代がある場合、時間数と超過分の支払いを書いた
  • 就業時間、休憩、休日、年間休日数を書いた
  • 就業場所と、転勤の有無と範囲を書いた
  • 試用期間の有無と、その間の条件を書いた
  • 青少年雇用情報の欄をすべて記入した
  • 選考方法を、実際に行う内容どおりに書いた
  • 職場見学の受け入れ時期と方法を書いた
  • 本人に責任のない事項などを、応募条件に含めていない

高卒採用を外部に相談したほうがよいケース

初めて高卒採用を行う場合や、これまで応募が集まらなかった場合は、外部の支援を使う方法もあります。

  • 初めて高卒採用を行い、手順や時期が分からない
  • 求人票を出しても、応募や職場見学の申込みがない
  • 高校への訪問や、先生との関係づくりに手が回らない
  • 採用した高卒社員が、早い時期に辞めてしまう

高校を卒業して就職する人材の採用を支援する高卒の新卒採用の支援サービスのように、高卒採用の手順や時期に沿って進められるサービスもあります。

一方で、毎年継続して高卒採用を行っていて、学校との関係もできている場合は、自社で十分に対応できることも多くあります。その場合は、求人票の見直しや、職場見学の内容の改善から始めるのが現実的です。

あわせて読みたい

ツナグバで、高卒採用の支援サービスを比べる

ツナグバは、法人向けサービスを無料で探し、複数のサービスの資料をまとめて請求できるサイトです。

採用支援の分野では、高校を卒業して就職する人材の採用を支援するサービスを掲載しています。高卒採用の手順や時期に沿って進められるサービスで、高卒の新卒採用を考えている企業に向いています。対応地域は全国です。

支援の内容や料金は、資料で確認できます。採用したい人数や時期をまとめたうえで、資料で詳細を確認してください。

こんな課題があれば

  • 高卒採用の進め方や、学校とのやり取りの決まりが分からない
  • 求人を出しても応募がなく、どこに原因があるのか分からない
  • 若手を採用したいが、大卒の採用では応募が集まりにくくなっている

掲載サービスでできること

  • 高卒採用の流れに沿って進められる:高卒採用には、求人票を出す時期や応募の受け付け方などに決まりがあります。その流れに沿って、準備から選考までを相談しながら進められます。
  • 求人票や会社の伝え方を相談できる:高校生や先生に伝わるよう、求人票や会社の紹介の仕方を相談できます。どこまで作成を手伝うかは事業者によって違うため、資料で確認してください。
  • 学校とのやり取りについて相談できる:高卒採用では、学校の先生との関係づくりが大切になります。学校への訪問や連絡の進め方について相談できる場合があります。

資料で確かめたいこと

  • 支援の範囲(求人票の作成、学校訪問、選考の支援など)
  • 費用が定額か、採用できたときにかかるのか
  • 自社の地域の高校とのつながりがあるか
  • 採用の時期に合わせて準備を始められるか
  • 入社後の定着支援があるか

ほかの分野のサービスも見る

よくある質問

高卒の求人票は、いつまでに準備すればよいですか?

2027年3月に卒業する生徒の募集では、求人申込みの受付開始は6月1日と案内されています(出典:ハローワーク青梅「令和9年3月新規学校卒業者の募集・採用を予定されている事業主の皆様へ」)。

内容の検討や社内の確認にかかる時間を考えて、5月ごろから準備を始めると余裕を持てます。日程は年度や地域によって異なるため、管轄のハローワークで確認してください。

提出した後に、求人票の内容を直せますか?

高卒求人の内容は、原則として変更できないと案内されています。

誤りがあると、そのまま高校に届いてしまいます。提出前に、複数の担当者で確認してください。

自社のWebサイトにも同じ求人を載せてよいですか?

ハローワークの受付印が押された求人票を使って求人活動を行うよう、案内されています(出典:ハローワーク渋谷「新規高卒求人申込について」)。

自社のWebサイトに載せる場合も、求人票の受理後に、求人票と同じ内容で掲載してください。

離職者が多い場合、青少年雇用情報はどう書けばよいですか?

事実を正しく記入したうえで、補足事項などで、定着のために取り組んでいることを伝えます。

研修の見直しや、先輩社員による相談の体制など、具体的な取り組みを書くと、生徒や先生に伝わりやすくなります。

参考資料