高校生に内定を出したあと、入社まで半年ほど連絡が途切れてしまう。内定者が本当に入社してくれるか不安になる。入社しても、早いうちに辞めてしまう。高卒採用に取り組む会社の多くが、こうした悩みを抱えています。
高卒の内定者フォローには、大卒の内定者フォローとは違う点があります。学校を通じた採用であること、内定者の多くが高校在学中で未成年を含むこと、保護者との関わりも欠かせないことです。
この記事では、高卒の内定者フォローの進め方を、9月の内定から4月の入社まで時期別に整理します。内定通知で書面にすること、18歳未満の内定者を入社前に働かせるときの注意、内定取消しのルール、入社後の定着の工夫もまとめました。
高卒採用のスケジュールと内定者フォローの期間
高卒採用は、全国で共通のスケジュールに沿って進みます。全国高等学校長協会、主要経済団体、文部科学省、厚生労働省の協議により、毎年度、選考スケジュール等が取りまとめられています(出典:厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」)。

令和8年度(令和9年3月卒業予定者)のスケジュールは次のとおりです(出典:厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」)。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 6月1日 | ハローワークによる求人申込書の受付開始 |
| 7月1日 | 企業による学校への求人申込及び学校訪問開始 |
| 9月5日(沖縄県は8月30日) | 学校から企業への生徒の応募書類提出開始 |
| 9月16日 | 企業による選考開始及び採用内定開始 |
高校生を対象とした求人は、ハローワークで内容を確認したのち、学校に提出されます(出典:厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」)。応募書類も学校から企業へ提出されるため、高卒採用では学校の先生との関係が欠かせません。
9月中旬以降に内定を出し、翌年4月に入社する場合、内定者フォローの期間はおよそ半年です。この間、内定者は高校生活を送りながら卒業と入社の準備を進めます。
高卒の内定者フォローが大切な理由
高卒の採用は、求人が多く、生徒の数が限られています。令和9年3月に高校を卒業する生徒について、令和8年7月末現在のハローワーク求人の求人倍率は3.60倍でした。求人数は約45万9千人、求職者数は約12万7千人です(出典:厚生労働省「令和8年度『高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況』取りまとめ(令和8年7月末現在)」)。
内定を出したあとも、入社後に定着してもらうための取り組みが必要です。厚生労働省の集計では、令和5年3月に高校を卒業して就職した人の就職後3年以内の離職率は36.9%でした(出典:厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」)。内訳は、1年目が17.4%、2年目が11.0%、3年目が8.5%で、1年目の離職が最も多くなっています(出典:厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」)。

同じ集計で、令和5年3月に大学を卒業して就職した人の3年以内の離職率は31.2%でした(出典:厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」)。高卒就職者の3年以内の離職率は、平成31年3月卒が35.9%、令和2年3月卒が37.0%、令和3年3月卒が38.4%、令和4年3月卒が37.9%と、3割台後半で推移しています(出典:厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」)。
この離職率は、ハローワークに提出された雇用保険の加入届をもとに、新規学卒者と推定される就職者の離職を集計したものです(出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」)。業種や事業所の規模によっても差があります。
1年目の離職が多いことから、内定から入社直後までの関わり方が、定着を左右すると考えられます。内定者フォローは、内定辞退を防ぐだけでなく、入社後の不安を減らす準備の期間と考えることが大切です。
内定を出すときに書面で伝えること
内定者フォローは、内定の伝え方から始まります。厚生労働省の指針は、採用内定について次のように定めています。
採用内定者に対しては、書面の交付等により、採用の時期、採用条件、採用内定の取消事由等を明示するとともに、採用内定者が学校等を卒業することを採用の条件としている場合についても、内定時にその旨を明示するよう留意すること。
出典:厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」
同じ指針は、採用内定を行うに当たっては、採否の結果を明確に伝えるとともに、確実な採用の見通しに基づいて行うよう努めることとしています(出典:厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」)。口頭や電話だけで済ませず、書面で条件をはっきり伝えると、内定者と保護者の安心につながります。
内定通知とあわせて、次の内容を書面で渡しておくと、その後のやり取りがスムーズです。
- 入社日と、配属の予定(決まっている範囲で)
- 給与、勤務時間、休日など、求人票で示した労働条件
- 卒業できなかった場合など、内定の取消事由
- 入社までに提出してもらう書類と、その時期
- 入社までの連絡の窓口(担当者の名前と連絡先)
未成年の内定者と保護者への配慮
民法は、年齢18歳をもって成年とするとしています(出典:e-Gov法令検索「民法」)。高校3年生で内定を受ける生徒には、まだ18歳になっていない人もいます。未成年者が法律行為をするには、原則として法定代理人の同意を得なければなりません(出典:e-Gov法令検索「民法」)。
内定承諾書などの書類を受け取る際は、内定者が未成年かどうかを確かめ、必要に応じて保護者の同意欄を設けるなどの配慮をします。なお、労働基準法は、親権者又は後見人は未成年者に代わって労働契約を締結してはならないと定めています(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」)。契約の当事者はあくまで本人であることを踏まえ、本人と保護者の両方に丁寧に説明します。
時期別|高卒の内定者フォローの進め方
高卒の内定者フォローは、学校生活の予定に合わせて、時期ごとに内容を変えると無理がありません。

| 時期 | 主なフォロー | 気をつけること |
|---|---|---|
| 9月下旬から10月(内定直後) | 内定通知書の送付、学校と保護者へのあいさつ、担当者の紹介 | 内定のお礼と、今後の予定を早めに伝える |
| 11月から12月 | 会社の行事や職場見学への招待、社内報や会社の近況の送付 | 学校行事や試験の時期を避けて日程を決める |
| 1月から2月 | 入社書類の案内、入社前の説明会、同期の顔合わせ | 卒業に向けた学校の予定を優先する |
| 3月(卒業から入社前) | 入社日の持ち物と流れの案内、通勤経路の確認、住まいの準備の支援 | 一人暮らしを始める内定者には生活面の情報も伝える |
| 4月以降(入社後) | 入社時研修、先輩社員による相談役、定期的な面談 | 1年目の離職が多いことを踏まえ、こまめに声をかける |
内定直後:学校と保護者への連絡
内定を出したら、まず学校の進路指導の先生に連絡し、内定のお礼と今後の予定を伝えます。高卒採用では、学校との関係が翌年以降の採用にも影響します。内定者本人への連絡の方法やタイミングについても、学校に相談しておくと安心です。
保護者には、会社の概要や入社までの流れを書面で伝えます。保護者にとっても、子どもの就職は大きな出来事です。会社のことを知ってもらい、不安を減らしておくことは、内定者本人の安心にもつながります。
秋から冬:会社を知ってもらう機会をつくる
会社の行事への招待、職場見学、社員との座談会などで、入社後の様子を具体的に知ってもらいます。厚生労働省の指針は、事業主が青少年の職場への定着促進のために講ずべき措置として、次のように定めています。
青少年が採用後の職場の実態と入職前の情報に格差を感じることのないよう、職場で求められる能力・資質、キャリア形成等についての情報を明示すること。
出典:厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」
入社前に、仕事の大変なところも含めて伝えておくと、入社後の「思っていたのと違う」を減らせます。学校の授業や行事、試験の時期を避けて日程を組み、参加を強制しないことも大切です。
卒業前後:入社の準備を一緒に進める
1月以降は、入社に必要な書類の案内や、入社前の説明会を行います。卒業式の前後は学校の予定が多いため、提出物の締め切りには余裕を持たせます。
県外から入社する内定者や、寮や社宅に入る内定者には、住まいの準備、通勤の方法、生活に必要な手続きなども案内します。働き始める前の生活の不安を減らすことも、内定者フォローの一部です。
入社前研修やアルバイトをさせるときの注意
入社前に研修を行ったり、アルバイトとして働いてもらったりする場合は、注意が必要です。
まず、高校生活が優先です。学校の授業や行事に支障がないよう、参加は任意とし、日程は学校とも相談して決めます。研修への参加を内定の条件にするような扱いは避けます。
内定者が18歳未満の場合は、労働基準法の年少者に関する規定にも気をつけます。
使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。
出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
あわせて、満18歳に満たない者を使う場合は、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければなりません(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」)。変形労働時間制や時間外労働に関する一部の規定も、満18歳に満たない者には適用されないとされています(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」)。入社前のアルバイトで夜のシフトや残業を任せることはできないと考えておきます。
研修やアルバイトで実際に働いてもらう時間は、労働時間として賃金を支払う必要がある場合があります。扱いに迷う場合は、労働基準監督署や社会保険労務士に確かめてください。
内定取消しと内定辞退への対応
内定取消しは、原則として慎重に
内定を出したあとに取り消すことは、内定者の人生に大きな影響を与えます。採用内定によって労働契約が成立したと認められる場合、内定取消しは解雇と同じように扱われることがあります。労働契約法は、解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効とすると定めています(出典:e-Gov法令検索「労働契約法」)。
厚生労働省の指針も、採用内定者について労働契約が成立したと認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定の取消しは無効とされることに十分留意し、取消しを防止するため最大限の経営努力を行うよう求めています(出典:厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」)。
厚生労働省の公表によると、令和8年3月に卒業して就職を予定していた新卒者の採用内定取消しは、29事業所で80人でした(出典:厚生労働省「令和8年3月新卒者採用内定取消し等の状況を公表します」)。この集計は、職業安定法施行規則に定める様式により通知された事項をもとにしています(出典:厚生労働省「令和8年3月新卒者採用内定取消し等の状況を公表します」)。
内定辞退をさせないための圧力は禁物
内定辞退を防ぎたいからといって、内定者に圧力をかけることはできません。同じ指針は、労働契約が成立したと認められる場合に、自由な意思決定を妨げるような内定辞退の勧奨は違法な権利侵害に当たるおそれがあるとし、また採用内定と引き替えに他の事業主への就職活動を取りやめるよう強要することなど、青少年の職業選択の自由を妨げる行為は行わないこととしています(出典:厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」)。
内定者フォローの目的は、引き止めることではなく、不安を減らして納得して入社してもらうことです。連絡の頻度が多すぎたり、入社の意思を何度も確かめたりすると、かえって負担に感じる内定者もいます。
入社後の定着につなげる工夫
内定者フォローは、入社したら終わりではありません。1年目の離職が多いことを踏まえ、入社後もしばらくは手厚く関わります。
- 先輩社員を相談役として決め、仕事以外のことも相談できるようにする
- 入社後1か月、3か月、半年などの節目に面談を行う
- 仕事を覚える順番と、1年後の目標を本人と共有する
- 社会人としての基本や、労働のルールを入社時研修で伝える
厚生労働省の指針は、青少年の労働法制に対する理解促進は事業主にとっても職場環境の改善やトラブルの防止等に資するとして、新入社員研修の機会等を捉え、労働法制の基礎的な内容の周知を図ることが望ましいとしています(出典:厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」)。
また、若者を募集する会社は、応募者に対して、募集・採用の状況や職場への定着の促進に関する取組の実施状況などの青少年雇用情報を提供する仕組みがあります(出典:e-Gov法令検索「青少年の雇用の促進等に関する法律」)。定着の取組を整えておくことは、次の年の採用で会社を知ってもらう材料にもなります。
高卒の内定者フォロー|チェックリスト
自社の内定者フォローを点検するときは、次の項目を確かめます。
- 内定の条件、入社日、取消事由を書面で伝えているか
- 学校の先生と保護者に、内定と今後の予定を伝えているか
- 入社までの連絡の窓口と担当者が決まっているか
- 行事や研修の日程が、学校の予定と重なっていないか
- 18歳未満の内定者を働かせる場合、深夜や残業をさせない体制になっているか
- 仕事の大変なところも含めて、入社前に伝えているか
- 入社後の相談役と、面談の予定が決まっているか
自社で進めるか、外部の支援を使うかの判断基準
高卒の内定者フォローは、自社だけでも進められます。採用人数が少なく、担当者が学校や内定者と直接やり取りできる場合は、自社で進めるほうが関係を築きやすいこともあります。
一方で、初めて高卒採用に取り組む場合や、求人を出しても応募がなく、どこに原因があるか分からない場合は、高卒採用の流れに詳しい外部の支援を使う方法もあります。高卒採用の手順と時期に沿って、準備から選考まで相談できる支援として、ツナグバ掲載の高校生の新卒採用の支援があります。
外部の支援を比べるときは、支援の範囲(求人票の作成、学校訪問、選考の支援など)、費用が定額か採用できたときにかかるのか、自社の地域の高校とのつながり、入社後の定着支援の有無を確かめます。
あわせて読みたい
- 求人票のNG表現とは|禁止される性別・年齢の書き方と言い換え例
- 高卒求人票の書き方|項目別の記入ポイントと高校生に伝わるコツ
- 若手採用が難しい理由と手法7選|自社に合う選び方の基準
- ハローワークの求人の出し方|申込みの手順と応募が集まる書き方
ツナグバで、高卒採用の支援サービスを比べる
ツナグバは、法人向けサービスを無料で探し、複数のサービスの資料をまとめて請求できるサイトです。
採用支援の分野では、高校を卒業して就職する人材の採用を支援するサービスを掲載しています。高卒採用には求人票を出す時期や応募の受け付け方などに決まりがあり、その流れに沿って、準備から選考までを相談しながら進められます。高校生や先生に伝わる求人票や会社の紹介の仕方、学校とのやり取りについて相談できる場合があります。
どこまで手伝うかは事業者によって違います。支援の範囲、費用、入社後の定着支援の有無は、資料で確認できます。
こんな課題があれば
- 高卒採用の進め方や、学校とのやり取りの決まりが分からない
- 求人を出しても応募がなく、どこに原因があるのか分からない
- 若手を採用したいが、大卒の採用では応募が集まりにくくなっている
掲載サービスでできること
- 高卒採用の流れに沿って進められる:高卒採用には、求人票を出す時期や応募の受け付け方などに決まりがあります。その流れに沿って、準備から選考までを相談しながら進められます。
- 求人票や会社の伝え方を相談できる:高校生や先生に伝わるよう、求人票や会社の紹介の仕方を相談できます。どこまで作成を手伝うかは事業者によって違うため、資料で確認してください。
- 学校とのやり取りについて相談できる:高卒採用では、学校の先生との関係づくりが大切になります。学校への訪問や連絡の進め方について相談できる場合があります。
資料で確かめたいこと
- 支援の範囲(求人票の作成、学校訪問、選考の支援など)
- 費用が定額か、採用できたときにかかるのか
- 自社の地域の高校とのつながりがあるか
- 採用の時期に合わせて準備を始められるか
- 入社後の定着支援があるか
よくある質問
高卒の内定者フォローは、いつから始めればよいですか?
内定を出した直後から始めます。高卒採用の選考と内定は9月16日以降に始まるため、9月下旬から10月にかけて、内定通知書の送付と、学校・保護者への連絡を行うのが一般的な流れです。
内定者に連絡するときは、学校を通すべきですか?
内定後の連絡の方法は、学校によって考え方が違うことがあります。内定を出した時点で進路指導の先生に相談し、本人への直接の連絡でよいか、学校を通すべき内容は何かを確かめておくと安心です。
入社前研修は、必ず行う必要がありますか?
必ず行う必要はありません。高校生活が優先されるため、行う場合も参加は任意とし、学校の予定と重ならないよう配慮します。研修より、職場見学や先輩社員との座談会など、入社後の様子を知ってもらう機会を重視する会社もあります。
内定者が卒業できなかった場合はどうなりますか?
卒業を採用の条件としている場合は、そのことを内定時に書面で明示しておく必要があります。卒業できる見込みについて不安がある場合は、早めに学校と相談し、本人の状況を確かめてください。
参考資料
- 厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」
- 厚生労働省「令和8年度『高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況』取りまとめ(令和8年7月末現在)」
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」
- 厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」
- 厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第406号)
- 厚生労働省「令和8年3月新卒者採用内定取消し等の状況を公表します」
- e-Gov法令検索「労働契約法」
- e-Gov法令検索「労働基準法」
- e-Gov法令検索「民法」
- e-Gov法令検索「青少年の雇用の促進等に関する法律」
