新規開拓の営業メールは、相手にとって知らない会社からの連絡です。読まれずに終わることも多く、送り方によっては迷惑メールと受け取られることもあります。
この記事では、新規開拓の営業メールの書き方を、送る前に確かめたい法律のルール、基本の構成、件名の付け方、文例、返信がないときのフォローに分けて整理します。メールで新規開拓をしなくてよいケースや、ツールを使うかどうかの判断の基準もまとめました。
新規開拓の営業メールの考え方
新規開拓の営業メールの目的は、1通で契約を取ることではありません。相手に「話を聞いてみてもよい」と思ってもらい、次の一歩につなげることです。資料の送付、短いオンラインでの打合せ、情報交換など、相手が受け入れやすい次の行動を1つ決めておきます。
もう一つ大切なのが、送る相手を絞ることです。同じ文面を多くの会社に送るより、自社のサービスが役に立ちそうな会社と担当者を選び、相手に合わせて書くほうが、読まれる可能性は高まります。相手の会社のWebサイトや公開している情報を読み、なぜその会社に連絡したのかを1文で説明できるようにします。
担当者だけでなく、判断する立場の人に届くかどうかも、商談につながるかを左右します。決裁者の情報を含む企業データベースを使って、連絡する相手を選ぶ方法もあります。ツナグバでは、商談につながりやすい相手に直接アプローチできる決裁者に直接アプローチできる企業データベースを掲載しています。
送る前に確かめたい法律のルール
営業目的のメールを送るときは、特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)のルールを確かめます。広告や宣伝を目的としたメールには、送ってよい相手と、メールに表示する項目の決まりがあります。
原則としてあらかじめ同意した者に対してのみ広告宣伝メールの送信が認められる「オプトイン方式」が導入されています。
出典:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」
ただし、同意がなくても送信できる例外があります。総務省の資料では、「名刺などの書面により自己の電子メールアドレスを通知した者に対して送信する場合」「取引関係にある者に送信する場合」「自己の電子メールアドレスをインターネットで公表している者(個人の場合は、営業を営む場合の個人に限る。)に送信する場合」などが挙げられています(出典:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」)。
新規開拓で多いのは、展示会などで名刺を交換した相手と、Webサイトでメールアドレスを公表している会社です。ただし、アドレスを公表していても、あわせて広告や宣伝のメールを受け取らない旨を表示している場合は、例外に当たりません。ガイドラインは次のように説明しています。
ただし、電子メールアドレスの公表と併せて特定電子メールの受信を拒否する旨を表示している場合には、事前の同意のない特定電子メールの受信を受信者が許容していないことが明確であり、特定電子メールの送信を認めないことが適当である
出典:総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」
相手の会社のWebサイトで連絡先を見つけたときは、「営業目的のメールはお断りします」のような表示がないかを確かめます。表示がある場合は、メールでの連絡を控えます。
メールに表示する項目
広告や宣伝のメールには、表示が必要な項目があります。パンフレットでは、送信者などの氏名または名称、受信拒否の通知ができる旨、受信拒否の通知を受けるための電子メールアドレスまたはURLなどが挙げられています(出典:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」)。ガイドラインでは、送信者の住所や、苦情や問合せを受け付ける電話番号などの表示も求められています(出典:総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」)。

| 表示する項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 送信者などの氏名または名称 | 会社名と担当者名を署名に入れる |
| 受信拒否の通知ができる旨 | 「今後のご案内が不要な場合はお知らせください」と書く |
| 受信拒否の通知先 | 受付用のメールアドレスまたはURLを書く |
| 送信者の住所 | 署名に会社の所在地を入れる |
| 苦情・問合せの受付先 | 電話番号やメールアドレスを書く |
表示の場所について、ガイドラインは、送信者の氏名・名称と受信拒否の通知先は受信者が容易に認識できる場所に、住所や電話番号などはリンク先を含む任意の場所に表示するとしています(出典:総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」)。署名にまとめて書いておくと、毎回の書き漏れを防げます。
同意を得ずに送られる広告宣伝目的のメールについては、迷惑メール相談センターが相談を受け付けています(出典:迷惑メール相談センター「相談窓口」)。法律の解釈に迷うときは、総務省の迷惑メール対策のページから、ガイドラインや法律の本文を確かめてください(出典:総務省「迷惑メール対策」)。
同意を得てメールを送る場合は、同意を得たことの記録の保存も求められています。パンフレットでは、保存期間は記録に係る広告宣伝メールを最後に送信した日から1か月(法律に基づく措置命令を受けた場合は1年間)とされています(出典:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」)。名刺を受け取った日やきっかけも、送信先の一覧に記録しておくと、あとから確かめやすくなります。
営業メールの基本の構成
新規開拓の営業メールは、次の順番で書くと、短くても必要なことが伝わります。

| 順番 | 内容 | 書くときのポイント |
|---|---|---|
| 1 | 件名 | 誰から、何の連絡かが分かるようにする |
| 2 | 宛名 | 会社名、部署名、氏名を正確に書く |
| 3 | 名乗りと連絡の理由 | 自社の紹介は1〜2文にし、連絡した理由を書く |
| 4 | 提案の要点 | 相手の課題と、自社でできることを短く書く |
| 5 | 次の行動 | 資料の送付や打合せなど、相手の負担が小さい依頼を1つ |
| 6 | 署名 | 会社名、所在地、連絡先、受信拒否の通知先 |
本文は、スマートフォンでも読み切れる長さを意識します。1文を短くし、段落ごとに1つのことを書きます。提案の内容を詳しく書きすぎると、読まれる前に閉じられることがあります。詳しい説明は資料や打合せに回し、メールでは「なぜ連絡したか」と「次に何をしてほしいか」をはっきり伝えます。
件名の書き方
件名は、受信箱で開くかどうかを決める部分です。新規開拓では、次の点を意識します。
- 会社名を入れて、誰からの連絡かを分かるようにする
- 何についての連絡かを、具体的な言葉で書く
- 「重要」「緊急」など、内容と合わない言葉で注意を引かない
- 長くしすぎず、受信箱で途中まで見ても内容が分かるようにする
件名の例として、「【〇〇株式会社】営業事務の入力作業を減らす方法のご案内」「展示会でご挨拶した〇〇です(資料送付のご相談)」のように、差出人と用件が分かる形があります。名刺を交換した相手には、どこで会ったかを件名に入れると思い出してもらいやすくなります。
新規開拓の営業メールの文例
文例は、相手と連絡のきっかけに合わせて書き換えて使います。ここでは、Webサイトで公表されている問い合わせ用のアドレスに送る場合と、展示会で名刺を交換した相手に送る場合の流れを示します。
Webサイトで公表されているアドレスに送る場合
- 件名:【〇〇株式会社】請求書の発行作業を減らす方法のご案内
- 冒頭:突然のご連絡失礼いたします。〇〇株式会社の△△と申します。
- 連絡の理由:貴社のWebサイトで、〇〇の事業を拡大されていると拝見し、ご連絡しました。
- 提案の要点:同じ規模の会社では、請求書の発行に毎月時間がかかっているという声をよく伺います。弊社では、その作業を減らす仕組みのご提案をしています。
- 次の行動:ご興味があれば、概要の資料をお送りします。ご返信いただければ幸いです。
- 結び:今後のご案内が不要な場合は、お手数ですが下記までお知らせください。
展示会で名刺を交換した相手に送る場合
- 件名:〇〇展でご挨拶した〇〇株式会社の△△です
- 冒頭:先日は〇〇展の弊社ブースにお立ち寄りいただき、ありがとうございました。
- 連絡の理由:お話の中で、〇〇の作業に時間がかかっているとお聞きしました。
- 提案の要点:同じ課題をお持ちの会社で使われている方法を、資料にまとめました。
- 次の行動:30分ほどのオンラインでの打合せで、詳しくご説明できればと考えています。ご都合のよい日時をいくつかお知らせいただけますか。
どちらの文例も、提案の内容よりも、なぜその相手に連絡したのかを先に書いています。相手が自分に関係のある連絡だと分かれば、続きを読んでもらいやすくなります。
返信がないときのフォローと効果の確かめ方
新規開拓の営業メールは、1通目で返信が来ないことのほうが多いものです。間を空けて、別の切り口で1〜2回フォローの連絡をします。同じ内容を繰り返すのではなく、事例の紹介や、相手の業界に関係する情報など、相手にとって役立つ内容を加えます。
ただし、相手から受信を拒否する旨の連絡があったときは、それ以降は送りません。特定電子メール法では、送信に同意した相手であっても、受信拒否の通知を受けた場合には、以後の送信が禁止されています(出典:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」)。社内で送信先の一覧を管理し、拒否の連絡を受けた相手を記録しておきます。
効果を確かめるときは、送った件数、返信の件数、打合せにつながった件数を記録します。件名や連絡の理由の書き方を変えて比べると、自社の相手に合う書き方が見えてきます。送信の件数が多くなり、手作業での管理が難しくなった場合は、メール配信や顧客管理のツールを使う方法もあります。
届かない・怪しまれないための注意
新規開拓の営業メールは、相手のメールの仕組みに迷惑メールと判断されて届かないことがあります。近年は、なりすましメールへの対策が強まっています。送る前に、次の点を確かめておきます。

総務省は通信事業者の団体に対し、なりすましメール対策として有効なDMARCの導入やポリシーの設定を行うよう要請しています(出典:総務省「フィッシングメール対策の強化について(要請)」(令和7年9月1日))。自社のドメインで送信ドメイン認証の設定ができているかを、社内の担当者や利用しているメールサービスに確かめておくと安心です。
受け取る側も、不審なメールへの警戒を強めています。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」の組織編では、「ビジネスメール詐欺」が10位に入っています(出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」)。知らない会社からのメールに、いきなり添付ファイルや短縮URLが入っていると、不審に思われることがあります。初回のメールでは添付ファイルを避け、資料は相手の返信を受けてから送るほうが安心です。
文面の下書きに生成AIを使う会社も増えています。総務省の令和8年版情報通信白書では、生成AIを利用している日本企業のうち、「議事録・メール作成補助」での活用を回答した割合が約7割と最も高くなっています(出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」生成AIの業務利用状況)。一方で、同じ白書では、懸念されるリスクとして「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」と回答した割合が最も高くなっています(出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」懸念されるリスク及びリスク対策のための取組状況)。相手の個人情報や社内の情報を入力しないことや、出力をそのまま送らずに人が読み直すことを、社内のルールとして決めておきます。
メールで新規開拓をしなくてよいケース
営業メールは、少ない費用で始められる方法ですが、すべての会社に向いているわけではありません。
商品やサービスの説明に実物や実演が欠かせない場合や、地域の限られた会社が相手で、訪問や電話のほうが早い場合は、メール以外の方法を優先してもよいでしょう。連絡できる相手の情報が少なく、同意や公表の条件を満たすアドレスが集まらない場合も、無理にメールで進める必要はありません。
反対に、相手の業種や規模がはっきりしていて、多くの会社に順番に連絡したい場合は、メールが向いています。送信先の選び方、文面、送信の記録をそろえて仕組みにしておくと、担当者が変わっても続けられます。
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- どの企業に優先して営業すべきか、判断する材料がない
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- 決裁者の情報を含む企業データを使える:企業の基本情報に加えて、決裁者に関する情報を含むデータベース(情報をまとめた一覧)を使えます。収録されている情報の範囲は製品によって違うため、資料で確認してください。
- 条件をしぼって営業先を探せる:業種や地域、規模などの条件で企業を探せます。リストを一から作る手間を減らせます。
- 決裁者への連絡につなげられる:決裁者に直接連絡するための手段を用意しているものがあります。連絡の方法や回数の上限は製品によって違います。
資料で確かめたいことの例です。
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- 営業とマーケティングのツールをまとめて使える:Webサイト作成、メール配信、顧客管理などを組み合わせて提供します。顧客の情報を一か所で見やすくなります。
- 導入と活用の支援がつく:ツールの提供に加えて、設定や使い方の支援を受けられます。支援の範囲は製品によって違うため、資料で確認してください。
- 必要な機能から始められる場合がある:すべての機能を一度に使う必要はなく、優先する業務から始める形が一般的です。段階的に広げることで、社内の負担を抑えられます。
資料で確かめたいことの例です。
- 初期費用、月額料金、支援費用の内訳
- いま使っているツールからの乗り換えやデータ移行ができるか
- 支援の範囲(設定代行か、使い方の説明か)
よくある質問
法人のメールアドレスなら、同意がなくても営業メールを送ってよいですか?
法人のアドレスであっても、広告や宣伝のメールは原則として同意が必要です。名刺などの書面でアドレスを通知された場合や、Webサイトでアドレスを公表している場合などは例外になりますが、受信を拒否する旨の表示がある場合は送れません。
営業メールは、何時ごろに送るのがよいですか?
決まった正解はありません。相手の業務の時間帯に届くように送るのが基本です。送る時間を変えて返信の件数を比べると、自社の相手に合う時間が分かります。
同じ相手に何回までフォローしてよいですか?
回数の決まりはありませんが、間を空けて1〜2回にとどめるのが一般的です。受信を拒否する連絡があった場合は、それ以降は送りません。
一斉送信とひとりずつの送信では、どちらがよいですか?
新規開拓では、相手に合わせて連絡の理由を書き換えられる、ひとりずつの送信が向いています。件数が多い場合は、配信のツールで差し込みの機能を使う方法もあります。複数の相手に送るときは、宛先が他の受信者に見えないように注意します。
