人を採用したいけれど、求人広告に大きな費用はかけられない。そんなときに最初に検討されるのがハローワークです。一方で、初めて求人を出す場合は、どこから手続きを始めればよいのか、求人票に何を書けばよいのかが分かりにくいものです。
この記事では、ハローワークの求人の出し方を、申込みの方法、事業所登録から採用までの手順、求人票の書き方、応募の受け方に分けて整理します。守るべきルールや、高校生向けの求人の進め方、ハローワークだけで応募が集まらないときの考え方もまとめました。
ハローワークに求人を出す前に知っておきたいこと
ハローワーク(公共職業安定所)は、国が運営する職業紹介の窓口です。厚生労働省は、ハローワークが行うサービスはすべて無料であると案内しています。拠点は全国に500か所以上あります(出典:厚生労働省「ハローワークにおける人材募集」)。
求人は、窓口で求職者に紹介されるだけでなく、インターネットでも広く公開されます。
ハローワークでは、みなさまからいただいた求人をハローワークに求職登録いただいている全国の求職者の方をはじめ、インターネットを通じて広く提供し、ご希望に合う求職者の方をご紹介しています。
出典:ハローワークインターネットサービス「事業主の方へのサービス」
費用をかけずに求人を出せる一方で、求人票の書き方や応募への対応は、自社で工夫する必要があります。求人を出すだけで応募が集まるとは限らないため、ほかの会社の求人と並んだときに選ばれる書き方を意識します。
今の求人の状況
求人を出す前に、採用の市場がどのような状況かを確かめておきます。

厚生労働省によると、令和8年8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍、新規求人倍率(季節調整値)は2.06倍でした。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.00倍です(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」(令和8年10月2日))。求職者1人に対して1件以上の求人がある状況で、求職者は複数の求人を比べて応募先を選んでいます。地域や職種によって状況は大きく異なるため、自社の地域と職種の状況は、管轄のハローワークで確かめるとよいでしょう。
申込みの基本のルール
求人は、事業所の所在地を管轄するハローワークに申し込みます。原則として雇用保険の適用事業所の単位で申し込み、職種別、就業場所別、雇用形態別、フルタイム・パート別に求人を作ります。法令違反を含むもの、雇用関係にないもの、必要な条件が明示されていないものは受理されません(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。
ハローワークの求人の申込み方法
申込みの方法は、窓口で手続きする方法と、会社のパソコンなどからオンラインで手続きする方法があります(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。
| 方法 | 手続きの流れ | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 窓口(端末で入力) | 館内の端末で求人情報を仮登録し、窓口で本登録する | 職員に相談しながら作りたい |
| 窓口(紙の申込書) | 求人申込書に記入して、窓口で登録する | 端末での入力が難しい |
| オンライン | 求人者マイページで仮登録し、ハローワークの確認を経て本登録する | 何度も求人を出す、来所の時間を取りにくい |
オンラインで手続きするには、求人者マイページの開設が必要です(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。マイページを開設しておくと、求人の内容の変更や、応募者とのやりとりもオンラインで行えるようになります。
求人者マイページの開設の流れ
初めて求人を出す事業所向けのハローワークの手順書では、ハローワークインターネットサービスで「事業所登録・求人申込み(仮登録)」を選び、メールアドレスを登録するところから始める流れが案内されています。パスワードを設定し、メールに届く認証キーを入力するとアカウントの登録が完了し、事業所情報と求人情報の入力に進みます(出典:ハローワーク米子「求人者マイページの登録手順書(初めてハローワークに求人を出す事業所向け)」)。
仮登録が終わったあとは、ハローワークへの連絡を求める表示が出ることがあります。表示の指示に従い、管轄のハローワークに連絡します(出典:ハローワーク米子「求人者マイページの登録手順書(初めてハローワークに求人を出す事業所向け)」)。操作が分からない場合の問い合わせ先も、手順書やハローワークインターネットサービスに載っています。
事業所登録から採用までの7つのステップ
ハローワークの案内に沿って、求人を出してから採用するまでの流れを整理します。

ステップ1:事業所情報を登録する(初回のみ)
会社の特長、事業内容、社会保険や福利厚生などの基本情報を登録します。登録した内容は、今後申し込む求人票に共通して掲載されます(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。会社の紹介の欄は、どの求人票にも載るため、時間をかけて書いておく価値があります。
ステップ2:求人情報を入力する(仮登録)
職種、仕事内容、賃金、労働時間などの求人情報を入力します。入力した条件は採用後の労働条件になることが期待されるため、求職者が誤解しない表現にします。フルタイムかパートかは、雇用形態や給与の形態ではなく、労働時間で区別します(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。
ステップ3:ハローワークで内容を確認する
ハローワークが求人の内容を確認したうえで受理し、公開します。初めて申し込む場合などは、職員が事業所を訪問したり、電話で申込みの内容を確認したりすることがあります(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。
ステップ4:求人が公開される
求職者に情報が提供され、希望に応じてハローワークインターネットサービスにも公開されます(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。
ステップ5:応募を受ける
応募の経路は3つあります。窓口紹介、オンラインハローワーク紹介、オンライン自主応募です(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。
| 応募の経路 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 窓口紹介 | ハローワークから希望者について連絡が入る | 条件の確認や面接日の調整に対応する |
| オンラインハローワーク紹介 | 求職者がオンラインで応募すると紹介状が発行され、通知が届く | マイページを開設している求人が対象 |
| オンライン自主応募 | ハローワークの紹介を経ずに、求職者が直接応募する | 紹介状は発行されない |
オンライン自主応募で採用した場合は、職業紹介を要件とする特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金、地域雇用開発助成金の対象外になります。これらの助成金の活用を考えている場合は、入力時に自主応募を受け付けない設定にできます(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。
ステップ6:採用選考を行う
能力や適性に基づく公正な選考を行います。選考で困ったことがあれば、ハローワークに相談できます(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。
ステップ7:採否を連絡する
選考の結果は、応募者だけでなくハローワークにも連絡します。
採用・不採用を決定したら、結果に関わらず速やかに応募者とハローワークに連絡してください。
出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」
採用した人には労働条件通知書を交付します。ハローワーク以外からの応募で採用が決まった場合も、求人の取消しの連絡が必要です(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。
求人の有効期限
求人の有効期限は、原則として受理された月の翌々月末までです。例えば4月1日に受理された求人は、6月30日までとなります(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。期限を過ぎても募集を続ける場合は、そのまま更新するのではなく、応募が集まらなかった理由を考えて求人の内容を見直します。
応募が集まる求人票の書き方
ハローワークの求人票は、項目が決まっているため、どの会社の求人も似た見た目になります。その中で選ばれるには、それぞれの項目を具体的に書くことが大切です。

仕事内容を具体的に書く
ハローワークの求人担当の案内では、求人票の重要なポイントは仕事内容であり、できるだけ具体的に書くことが勧められています(出典:ハローワーク三沢「バズる求人へ」(令和6年5月))。「一般事務」とだけ書くのではなく、扱う書類、使うソフト、1日の流れ、電話や来客の対応の頻度などを書きます。入社後の1日を想像できる書き方を目指します。
検索結果に表示される部分を工夫する
同じ案内では、検索結果に表示される要約の部分で会社の魅力を伝えることや、働く様子が分かる画像を登録することも紹介されています(出典:ハローワーク三沢「バズる求人へ」(令和6年5月))。求職者は多くの求人を一覧で見て、気になったものだけを開きます。最初に目に入る部分で、仕事の特徴や働きやすさが伝わるようにします。
独自の取り組みは特記事項で伝える
福利厚生や、子育て・介護との両立を支える取り組みなど、自社ならではの点は、特記事項やメッセージの欄で伝えます(出典:ハローワーク三沢「バズる求人へ」(令和6年5月))。「休暇の相談可」「時短勤務可」など、実際に使われている制度を具体的に書きます。
賃金は実際に払う金額で書く
ハローワークは、求人票の「賃金」欄に記載した金額を守るよう求めています(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み、採用・選考にあたっての留意事項」)。採用したい気持ちから、実際より高い金額や、ごく一部の人しか届かない金額を書くことは避けます。手当の条件や、試用期間中の賃金が異なる場合は、その旨も書きます。
必要な経験や資格は、本当に必要なものに絞る
必要な経験や資格を多く並べると、応募できる人が減ります。入社後に身につけられるものは「あれば尚可」に回し、仕事に欠かせない条件だけを必須にします。ハローワークは、必要な経験などの条件を途中で安易に変更しないよう求めています(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み、採用・選考にあたっての留意事項」)。最初に条件を決めるときに、現場の担当者と一緒に確かめておくことが大切です。
求人を出すときに守るべきルール
求人の内容には、法律のルールがあります。職業安定法は、求人や募集の情報について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を禁じています。また、募集の際には、従事すべき業務の内容や賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません(出典:職業安定法(e-Gov法令検索))。
採用の選考でも、守るべきことがあります。
労働者の募集・採用については、性別や年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければなりません
出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み、採用・選考にあたっての留意事項」
ハローワークは、家族の状況や生活環境など、応募者の適性・能力と関係のない事柄を面接で質問しないよう求めています。性別や年齢を不採用の理由として告げることは法律違反にあたり、トラブルの原因になるとしています。また、求人票と異なる職種で採用したい場合は、別の求人として申し込むよう求めています(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み、採用・選考にあたっての留意事項」)。
高校生を採用する場合の進め方
高校を卒業する人を採用する場合は、一般の求人とは別のルールとスケジュールがあります。高校生向けの求人は、ハローワークで内容の確認を受けてから、学校に提出する流れが一般的です。
採用選考の期日は、全国高等学校長協会、主要な経済団体、文部科学省、厚生労働省などが参加する会議で毎年取りまとめられます。令和5年3月卒業者の取りまとめでは、ハローワークによる求人申込書の受付開始が6月1日、企業による学校への求人申込みと学校訪問の開始が7月1日、選考と採用内定の開始が9月16日でした(出典:厚生労働省「令和5年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考期日等を取りまとめました」)。
実際に採用を進める年は、その年の取りまとめと、管轄のハローワークの案内で最新の期日を確かめてください。高卒採用は時期と手順が決まっているため、初めて取り組む場合は、早めに準備を始めることが大切です。
ハローワークだけで応募が集まらないときの考え方
ハローワークは費用をかけずに求人を出せる便利な仕組みですが、職種や地域によっては、応募が集まりにくいこともあります。次のような状況が続く場合は、進め方を見直します。
- 求人を出して有効期限が切れても、応募がほとんどない
- 応募はあるが、求める経験や条件に合う人が少ない
- 若手の応募が少なく、求職者の年齢層が偏っている
見直しの順番としては、まず求人票の書き方を改善し、それでも足りない場合にほかの採用の手段を組み合わせます。求人サイトなどの媒体を使う場合は、広告費を増やす前に、媒体の運用のしかたを見直す方法もあります。求人媒体の運用代行による採用支援のように、媒体の運用を見直して応募数を増やすことを目的としたサービスもあります。
費用の考え方
ハローワークの利用は無料です(出典:厚生労働省「ハローワークにおける人材募集」)。一方で、求人サイトや運用代行などの外部の手段は、掲載期間、職種、支援の範囲によって費用が大きく変わります。外部の手段を検討する場合は、採用したい人数と時期、今の応募の状況を整理したうえで、複数のサービスの資料を比べると判断しやすくなります。
あわせて読みたい
ツナグバで、採用支援のサービスを比べる
ツナグバは、法人向けサービスを無料で探し、複数のサービスの資料をまとめて請求できるサイトです。
採用支援の分野では、求人媒体の運用代行による採用支援と、高校生の新卒採用の支援を掲載しています。ハローワークの求人と組み合わせて応募を増やしたい場合や、高卒採用を手順や時期に沿って進めたい場合の選択肢になります。
採用したい職種と人数、今の応募の状況をまとめたうえで、資料で詳細を確認してください。
求人媒体の運用代行による採用支援
こんな課題に向いています。
- 求人を出しても応募が集まらず、何を直せばよいか分からない
- 求人原稿を作る時間がなく、何年も同じ内容のまま出している
- 広告費を増やしてみたが、応募数が思うように増えていない
主な特徴は次のとおりです。
- 求人媒体の運用を見直す:求人原稿の内容や掲載の仕方を見直し、応募につながりやすい形に整えます。広告費を増やす前に、今の掲載を改善する考え方です。
- 応募の数字を見ながら改善する:閲覧数や応募数などの数字を確認しながら、原稿や条件の見せ方を調整していくのが一般的です。結果は職種や地域によって変わります。
- 原稿作成や更新の手間を任せられる:求人原稿の作成や更新を代行してもらえます。採用担当者が他の業務に時間を使いやすくなります。
資料で確かめたいことの例です。
- 月額の運用費と、広告費が別にかかるかどうか
- 対応している求人媒体の種類
- 改善の報告がどのくらいの頻度で、どんな形で届くか
高校生の新卒採用の支援
こんな課題に向いています。
- 高卒採用の進め方や、学校とのやり取りの決まりが分からない
- 求人を出しても応募がなく、どこに原因があるのか分からない
- 若手を採用したいが、大卒の採用では応募が集まりにくくなっている
主な特徴は次のとおりです。
- 高卒採用の流れに沿って進められる:高卒採用には、求人票を出す時期や応募の受け付け方などに決まりがあります。その流れに沿って、準備から選考までを相談しながら進められます。
- 求人票や会社の伝え方を相談できる:高校生や先生に伝わるよう、求人票や会社の紹介の仕方を相談できます。どこまで作成を手伝うかは事業者によって違うため、資料で確認してください。
- 学校とのやり取りについて相談できる:高卒採用では、学校の先生との関係づくりが大切になります。学校への訪問や連絡の進め方について相談できる場合があります。
資料で確かめたいことの例です。
- 支援の範囲(求人票の作成、学校訪問、選考の支援など)
- 費用が定額か、採用できたときにかかるのか
- 自社の地域の高校とのつながりがあるか
よくある質問
ハローワークに求人を出すのに費用はかかりますか?
かかりません。厚生労働省は、ハローワークが行うサービスはすべて無料であると案内しています。
求人を出してから公開されるまで、どのくらいかかりますか?
ハローワークが内容を確認してから受理し、公開します。初めて申し込む場合は、職員が事業所を訪問したり電話で確認したりすることがあるため、余裕を持って申し込むと安心です。具体的な日数は管轄のハローワークに確かめてください。
求人の内容は、公開後に変更できますか?
変更の手続きは可能です。求人者マイページを開設していれば、オンラインで変更の申込みができます。賃金などの条件を変える場合は、すでに応募している人への説明も必要になります。
雇用保険に入っていない事業所でも求人を出せますか?
求人は原則として雇用保険の適用事業所の単位で申し込みます。適用の状況によって扱いが異なるため、管轄のハローワークに相談してください。
