会社の電話番号を増やしたい。社員の個人の携帯電話の番号を、取引先に教えたくない。そんなときに候補にあがるのが、050から始まる電話番号です。

050番号は、費用を抑えて手早く使い始められる一方で、市外局番から始まる固定電話の番号とは決まりが違います。違いを知らずに代表番号にすると、思わぬところで困ることがあります。

この記事では、050番号の仕組み、法人で使うメリットとデメリット、固定電話の番号との違い、選び方の基準を、総務省の資料をもとに整理します。050番号が向いていないケースもあわせてまとめました。

050番号とは|IP電話に割り当てられる電話番号

050番号は、インターネットの技術を使って音声をやり取りする「IP電話」に割り当てられる電話番号です。国の電話番号のルールでは「特定IP電話番号」と呼ばれています。

050番号、市外局番の固定電話番号、携帯電話番号の違いを、場所との結びつき、使う機器、緊急通報、相手からの見え方で比べた表

総務省が定める電気通信番号計画では、050番号は、利用者の端末をインターネットプロトコルでつなぐ音声の通信サービスと、その端末を識別するための番号とされています(出典:総務省「電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)」)。同じ計画の中で、050番号は、固定電話番号や携帯電話番号とは別の種類の番号として定められています(出典:総務省「電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)」)。

050に続く4けたは、総務大臣が事業者ごとに指定します(出典:総務省「電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)」)。総務省の審査基準では、050番号を事業者に指定するときの単位は1万番号とされています(出典:総務省「電気通信事業法関係審査基準(抄)」)。法人が050番号を使うときは、こうした指定を受けた事業者や、その事業者の番号を使ってサービスを提供する事業者と契約することになります。

市外局番の固定電話番号・携帯電話番号との違い

法人の電話番号は、主に次の3種類から選びます。違いを表にまとめました。

比べる点050番号市外局番の固定電話番号(03など)携帯電話番号(070・080・090)
番号と場所の結びつきなしあり(地域ごとの番号)なし
使う機器スマートフォンのアプリ、パソコン、対応した電話機など固定の電話機(IP電話を含む)携帯電話
緊急通報(110番・119番など)できないサービスがあるできることが条件できる
取り始めるまでの手間少ないことが多い回線の工事などが必要な場合がある端末の契約が必要
相手からの見え方個人や営業の電話と受け取られることがある所在地のある会社と受け取られやすい個人の電話と受け取られやすい

固定電話番号は、電気通信番号計画で、番号の区画に端末の設置場所が含まれることが使用の条件とされています(出典:総務省「電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)」)。つまり「03」なら東京の番号の区画で使う、という結びつきがあります。050番号には、このような場所の条件はありません。

なお、固定電話番号でも、光回線を使うIP電話のように、インターネットの技術で通話するサービスがあります。「IP電話=050番号」とは限らない点に注意してください。情報通信審議会の答申によると、従来の固定電話の網(公衆交換電話網)は、2025年1月にIP網への移行を終える見込みとされていました(出典:情報通信審議会「IP網への移行等に向けた電気通信番号制度の在り方 最終答申」)。

法人が050番号を使うメリット

050番号には、法人にとって次のような利点があります。どれも、番号が場所に結びついていないことと、インターネットで通話する仕組みから生まれるものです。

法人が050番号を使うメリット3つと、デメリット・注意点3つをまとめた図

スマートフォンやパソコンで会社の番号を使える

050番号の多くは、スマートフォンのアプリやパソコンで発信と着信ができます。社員の個人のスマートフォンにアプリを入れれば、個人の番号を出さずに、会社の番号で取引先とやり取りできます。

場所を選ばずに使える

番号が場所に結びついていないため、事務所の外でも、自宅でのテレワークでも同じ番号を使えます。事務所を移転しても、番号を変えずに済む点も利点です。

電話機や工事の費用を抑えやすい

アプリで使う050番号は、専用の電話機や回線の工事が要らないことが多くあります。そのため、使い始めるまでの費用と時間を抑えやすくなります。部署ごと、用途ごとに番号を分けたい場合にも使いやすい方法です。

番号を用途ごとに分けやすい

問い合わせ用、採用の連絡用、キャンペーン用など、用途ごとに番号を分けると、どこからの電話かが分かりやすくなります。期間限定の用途で使い、終わったら解約する、といった使い方もしやすくなります。

050番号のデメリットと注意点

便利な一方で、050番号には固定電話の番号とは違う弱点があります。代表番号として使うかどうかを決める前に、次の点を確かめます。

緊急通報ができないサービスがある

電気通信番号計画では、固定電話番号を使う条件の一つとして、利用者が緊急通報を行えることが定められています(出典:総務省「電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)」)。一方、050番号の使用の条件には、この項目は含まれていません(出典:総務省「電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)」)。

実際に、110番や119番に発信できない050番号のサービスもあります。事務所や店舗で、050番号の電話しか置かないという使い方は避け、緊急時に使える電話を別に確保しておきます。

通話の品質がネットの環境に左右される

050番号の事業者には、総務大臣が告示で定める通話の品質の基準(特定総合品質)を満たすことが求められています(出典:総務省「電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)」)。ただし、実際の聞こえ方は、使う側のインターネットの環境にも左右されます。電波の弱い場所や、回線が混み合う時間帯には、声が途切れたり遅れたりすることがあります。

停電や回線の障害のときに使えないことがある

電話機やアダプター、ルーターなどで050番号を使う場合、停電でこれらの機器が止まると通話ができなくなります。インターネットの回線に障害が起きたときも同じです。スマートフォンのアプリで使う場合は、モバイル回線に切り替えて使い続けられることがありますが、電池の残りや電波の状況に左右されます。災害や障害のときの連絡手段を、050番号だけに頼らないようにしておきます。

相手によっては信用されにくいことがある

050番号は、個人でも手軽に取れるため、取引先によっては、所在地のある会社の番号として受け取ってもらえないことがあります。金融機関の手続きや、取引先の登録の書類で、固定電話の番号を求められる場面もあります。

背景には、050番号が特殊詐欺に悪用されてきた事情もあります。総務省の情報通信審議会の答申は、050番号のIP電話の悪用について次のように述べています。

契約者が不明な050IP電話(いわゆる050アプリ電話)の特殊詐欺利用が大きく増加し、これについても携帯電話不正利用防止法の本人確認義務の対象とした結果、減少傾向となってきている。

出典:情報通信審議会「IP網への移行等に向けた電気通信番号制度の在り方 最終答申」

事業者の団体がまとめた資料では、2023年末までに利用停止などの対応をとった050番号のIP電話の番号は9,482件とされています(出典:総務省「IP網への移行等に向けた電気通信番号制度の在り方 最終答申(案)概要」)。こうした事情から、知らない050番号からの電話に慎重になる人がいることは知っておきましょう。

契約のときに本人確認がある

アプリで使う050番号は、2024年4月から、契約のときの本人確認が義務になりました。総務省の案内資料には、次のように書かれています。

いわゆる050アプリ電話を提供する事業者についても本人確認を義務づけることを内容とする携帯電話不正利用防止法施行規則の改正が行われました。(令和6年4月施行)

出典:総務省「携帯電話不正利用防止法とは?(案内資料)」

法人で契約するときは、登記の書類や担当者の本人確認の書類などが必要になることがあります。申し込みの前に、何が必要かを事業者に確かめておくと手続きが滞りません。

番号を他社に持ち運べるかは事業者による

固定電話の番号は、2025年1月から、事業者の間で双方向に番号を持ち運べるようになりました。総務省のガイドラインは、その目的を次のように説明しています。

本ガイドラインは、令和7年1月に双方向番号ポータビリティが実現することを踏まえて、電気通信事業者間の公正競争及び利用者利便を確保し、番号ポータビリティの円滑かつ確実な実施を図ることを目的として、固定電話番号使用事業者が遵守すべき事項を示すものである。

出典:総務省「固定電話番号の番号ポータビリティの実施に関するガイドライン」

これは固定電話番号についての仕組みです。総務省の標準電気通信番号使用計画でも、番号ポータビリティについての記載が必要とされているのは、固定電話番号、携帯電話番号、0120などの番号の場合に限られています(出典:総務省「標準電気通信番号使用計画(令和元年総務省告示第7号)」)。050番号を別の事業者に移せるかどうかは、契約する事業者ごとに確かめる必要があります。名刺や広告、ホームページに長く載せる番号ほど、事業者を替えたときに番号がどうなるかを先に確かめておきます。

一部の番号に発信できないことがある

サービスによっては、緊急通報のほか、フリーダイヤルなど一部の番号に発信できないことがあります。取引先の窓口がこうした番号を使っている場合は、ほかの電話で発信する必要があります。どの番号に発信できるかは、契約前に一覧で確かめます。

050番号と固定電話番号、どちらを選ぶか|判断の基準

050番号と固定電話番号は、どちらかが優れているというより、使い道で選ぶものです。次の点を順に確かめると、自社に合う番号が見えてきます。

050番号と固定電話番号のどちらを選ぶかを判断するための7つの確認点をまとめたチェックリスト
  • その番号を、会社の代表番号として登記の書類や名刺に載せるか
  • 取引先や金融機関から、固定電話の番号を求められる業種か
  • 事務所や店舗で、緊急通報ができる電話をほかに確保できるか
  • 社員が外出先や自宅で、会社の番号を使う必要があるか
  • 近いうちに事務所を移転する予定があるか
  • インターネットの環境は、通話に十分な安定性があるか
  • 用途ごとに番号を分けたい、期間限定で使いたいなどの事情があるか

代表番号は固定電話番号のまま残し、社員の外出用や用途別の番号に050番号を使う、という組み合わせもよく選ばれます。050番号だけで始めた会社が、取引が増えてから固定電話番号を追加するケースもあります。

使い分けの例

一般的によく見られる使い分けを挙げます。自社の状況に近いものを参考にしてください。

  • 事務所があり、来客や取引先からの電話が多い会社:代表番号は固定電話番号、営業担当の外出用に050番号
  • 事務所を持たずに始めたばかりの会社:まず050番号で始め、取引が増えたら固定電話番号を追加
  • 店舗を持つ会社:店舗の電話は固定電話番号、予約や採用の連絡など用途別に050番号
  • テレワークが中心の会社:在宅の社員が会社の番号で受けられるよう、050番号やクラウド電話を使う

市外局番の番号をスマートフォンやパソコンで使いたい場合は、クラウド電話という選択肢もあります。電話機や工事の費用を抑えながら会社の番号を外で使いたい場合は、ツナグバ掲載の中小企業向けのクラウド電話サービスも比較の候補になります。

法人で050番号を導入する手順

050番号は手早く始められますが、会社で使う以上、ルールを決めてから配ることが大切です。次の順で進めます。

  1. 用途を決める:代表番号、外出用、問い合わせ用など、何に使う番号かを決めます。
  2. 必要な数と機能を洗い出す:番号の数、内線、転送、録音、営業時間外の案内など、必要な機能を書き出します。
  3. 事業者を比べる:料金の決まり方、発信できない番号、通話の品質、法人での契約の条件を比べます。
  4. 試して確かめる:実際の職場や外出先で通話し、聞こえ方や着信の遅れを確かめます。
  5. 社内のルールを決める:誰がどの番号を使うか、退職や異動のときの扱い、私用の通話の扱いを決めます。

番号が増えるほど、どの番号を誰が使っているかが分からなくなりがちです。番号、用途、使っている人、契約している事業者を一覧にし、担当者が替わったときに更新する決まりにしておきます。使わなくなった番号は、早めに解約して費用の無駄を防ぎます。

社員の個人のスマートフォンで会社の番号を使う場合は、端末の紛失や、退職のときのアプリの扱いも決めておきます。総務省は、中小企業の担当者向けに「中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)」を公開しています(出典:総務省「テレワークにおけるセキュリティ確保」)。社外で業務の端末を使うときのルールづくりの参考になります。

費用の考え方

050番号の費用は、事業者やプランによって大きく違います。比べるときは、次の要素に分けて考えます。金額は各事業者の最新の料金表で確かめてください。

  • 初期の費用:契約の手数料、電話機やアダプターが必要な場合はその費用
  • 月ごとの基本料:番号の数や利用する人数で変わることが多い
  • 通話料:かける先(固定電話、携帯電話、同じ事業者の番号など)と時間で変わる
  • オプションの費用:録音、転送、自動音声の案内など

月の基本料が安くても、通話が多い会社では通話料が大きくなります。直近の通話の明細から、発信の件数と時間を確かめてから比べると、実際にかかる費用に近い見積もりになります。

050番号が向いていないケース

050番号は便利ですが、次のような場合は、固定電話番号や携帯電話番号のほうが向いていることがあります。

  • 事務所や店舗に、050番号の電話しか置けない(緊急通報の手段がなくなる)
  • 取引先や業界の慣習で、地域の固定電話番号が信用の目安になっている
  • 電話での受注が中心で、通話の途切れが売上に直結する
  • 職場や外出先のインターネットの環境が不安定
  • 電話の件数が少なく、いまの電話で困っていない

最後の場合は、無理に番号を増やす必要はありません。番号が増えると、管理の手間も増えます。困りごとがはっきりしてから検討しても遅くはありません。

よくある質問

050番号を会社の代表番号にしても問題ありませんか?

代表番号にすること自体はできます。ただし、緊急通報ができないサービスがあることや、取引先によっては信用されにくいことを踏まえて判断します。代表番号は固定電話番号にし、050番号は外出用や用途別に使う組み合わせもあります。

050番号から110番や119番にかけられますか?

かけられないサービスがあります。固定電話番号には緊急通報ができることが条件として定められていますが、050番号の使用の条件には含まれていません。緊急時に使える電話を別に用意しておきます。

法人で050番号を契約するのに、本人確認は必要ですか?

アプリで使う050番号は、2024年4月から契約のときの本人確認が義務になっています。法人の場合は、登記の書類や担当者の本人確認書類などを求められることがあるため、事業者に必要な書類を確かめてください。

050番号と、スマートフォンで使えるクラウド電話は何が違いますか?

050番号はIP電話に割り当てられる番号の種類のことです。クラウド電話は、インターネット上の仕組みで会社の電話を動かすサービスのことで、050番号のほか、市外局番の番号を使えるものもあります。番号の種類と、サービスの仕組みは分けて考えると整理しやすくなります。

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  • 電話機や工事の費用を抑えやすい:インターネットを使う仕組みのため、専用の電話機や配線工事が要らないものが一般的です。必要な機器は製品によって違うため、資料で確認してください。
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資料で確かめたいこと

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