バナー、チラシ、資料、SNSの投稿画像など、企業で必要になるデザインの仕事は少なくありません。

社内にデザイナーがいない場合、その都度外部に頼むと、見積もりや発注のやり取りだけで時間がかかってしまいます。

こうした悩みに応える方法の一つが、デザインを月額の定額で外注するサービスです。

この記事では、デザイン外注の定額制の仕組みと都度発注との違い、費用の考え方、向いている会社と向いていないケース、契約前に確認すべき項目までを順に解説します。

デザイン外注の定額制とは

デザイン外注の定額制とは、毎月決まった金額を支払い、決められた範囲の中でデザインの制作を依頼できる仕組みです。

デザイン外注の定額制の4つの型として、件数型、稼働時間型、同時進行型、業務まとめ型をまとめた図

「デザインのサブスク」「月額制のデザイン外注」と呼ばれることもあります。

1件ごとに見積もりを取って発注する都度発注と違い、月の中で必要になった制作物を、その都度まとめて依頼できる点が特徴です。

定額制で依頼できることが多い制作物

  • Web広告のバナー、SNSの投稿画像
  • チラシ、パンフレット、ポスター
  • 営業資料や提案書、ホワイトペーパーの体裁づくり
  • 名刺、封筒、ロゴまわりの展開物
  • Webサイトの画像、ランディングページのデザイン
  • 展示会のパネルや店頭の販促物

依頼できる制作物の種類や、1か月に依頼できる量は、サービスによって異なります。ロゴの新規制作やWebサイトの構築など、規模の大きい制作は対象外か、別料金になっていることも多くあります。

定額制の主な仕組み

定額制の料金の決まり方には、主に次のような型があります。

型仕組み注意点
件数型1か月に依頼できる制作物の件数が決まっている1件の大きさ(ページ数など)の上限を確認する
稼働時間型1か月に使える作業時間が決まっている1件にかかる時間の目安を確認する
同時進行型同時に進められる依頼の数が決まっていて、終わり次第次を依頼できる1件あたりの納期の目安を確認する
業務まとめ型デザインに加えて、マーケティングやSNS運用など周辺の業務も含むデザイン以外の業務の範囲を確認する

都度発注との違い

項目定額制都度発注
費用毎月一定。使わない月も同じ金額がかかる依頼した分だけかかる
発注の手間見積もりや契約のやり取りが少ない依頼のたびに見積もりと発注が必要
依頼のしやすさ小さな修正や急ぎの依頼を出しやすい小さな依頼ほど割高に感じやすい
デザインの一貫性同じ担当者や体制で続けやすく、統一感を保ちやすい依頼先が変わると、統一感が崩れやすい
向いている発注頻度毎月一定量の依頼がある依頼が年に数回、または月によって大きく変わる

定額制の最大の利点は、発注の手間と、依頼のたびの判断を減らせることです。

一方で、依頼が少ない月にも費用がかかるため、発注の量が安定しているかどうかが判断の分かれ目になります。

デザイン外注の費用の考え方

定額制が見合うかどうかは、自社の過去の外注の実績から判断します。次の4つの手順で、定額制と都度発注を同じ条件で比べます。

定額制と都度発注の費用を比べる4つの手順を示す図

都度発注の費用の目安

定額制が見合うかを判断するには、まず都度発注した場合の費用と比べます。

以下は、フリーランスに依頼する場合の目安です。デザイン料金について公的な統計で示された相場はないため、2026年時点で公開されている解説記事の相場をもとにしています。情報量、修正の回数、著作権の扱いなどで大きく変わります。制作会社に依頼する場合は、これより高くなることが一般的です。

制作物都度発注の目安(フリーランス)金額が変わる主な条件
バナー(1枚)5,000〜2万円程度サイズ展開の数、枚数
チラシ(A4)1万〜5万円程度片面か両面か、掲載する情報の量
名刺5,000〜2万円程度印刷の手配まで含むか
ランディングページ(1ページ)5万〜20万円程度原稿づくりやコーディングを含むか
ロゴ3万〜20万円程度提案の案数、商標の確認の有無

定額制と都度発注を比べる計算

比べ方は単純です。過去6か月から1年の間に外注した制作物の件数と費用を書き出し、1か月あたりの平均を出します。

たとえば、バナーを月8枚、チラシを2か月に1枚、営業資料の修正を月2件ほど依頼している場合、都度発注での1か月の費用の目安が分かります。

この金額と定額制の月額を比べ、さらに、発注のやり取りにかかっていた社内の時間も加えて判断します。

定額制の月額は、依頼できる量や業務の範囲によってサービスごとに大きく異なります。複数のサービスの資料で、依頼できる範囲と月額を見比べてください。

見落としやすい費用

  • 初期費用や、最低契約期間の縛り
  • 1か月の上限を超えた分の追加料金
  • 写真やイラストなどの素材の購入費
  • 印刷費や、Webサイトへの組み込みの費用
  • 著作権の譲渡を希望する場合の追加費用

定額制が向いている会社

  • バナーやSNSの画像など、毎月一定量のデザインの依頼がある
  • 社内にデザイナーがいない、または一人で手が回っていない
  • 小さな修正や急ぎの依頼が多く、都度の見積もりが負担になっている
  • 制作物のデザインの統一感を保ちたい
  • デザインだけでなく、SNS運用やマーケティングの業務もまとめて任せたい

デザインと周辺の業務をまとめて任せる

デザインを外注しても、何を作るかを決める人がいなければ、制作物は増えません。

社内にマーケティングの担当者がいない場合は、マーケティング、制作物の作成、SNS運用などを定額で依頼できるサービスを使う方法もあります。ツナグバ掲載のマーケティング・制作・SNS運用を定額で任せられるサービスも、比較の候補になります。

定額制が向いていないケース

  • デザインの依頼が年に数回しかない
  • 月によって依頼の量が大きく変わる
  • Webサイトの全面的な作り直しやロゴの新規制作など、大きな制作が中心
  • 特定の業界の専門的な表現や、特定のデザイナーの作風にこだわりたい
  • 社内に依頼の内容をまとめ、確認する担当者がいない

こうした場合は、都度発注の方が費用を抑えやすくなります。大きな制作は、内容に合わせて制作会社やデザイナーに個別に依頼する方が適しています。

自社で作るという選択肢

テンプレートを使えるデザインツールを使えば、簡単なSNSの画像や社内向けの資料は、社内でも作れます。

定型の制作物は社内で、広告や営業資料など成果に直結する制作物は外部に、と分けて考える方法もあります。

契約前に確認したい項目

確認すること理由
1か月に依頼できる量と、その数え方上限を超えたときの扱いが分からないと、追加費用が発生する
依頼できる制作物の種類と、対象外のもの必要な制作物が対象外のことがある
1件あたりの納期の目安急ぎの依頼に対応できるかが変わる
修正の回数と範囲大幅な方向転換は追加費用になることがある
担当者の体制と、窓口担当者が変わるとデザインの統一感が崩れることがある
著作権の扱いと、データの受け渡し契約終了後に自社で修正・再利用できるかが変わる
最低契約期間と、解約・休止の条件依頼が少ない時期に費用だけがかかることがある
使う素材(写真・フォント)の商用利用の可否権利の問題を防ぐ

著作権とデータの扱い

著作権法では、著作物を創作した者が著作者になるのが原則です(出典:e-Gov法令検索「著作権法」)。外部に依頼したデザインの著作権は、契約で譲渡を定めない限り、原則として制作した側に残ります。

長く使うロゴや、繰り返し改変する資料のテンプレートは、著作権の譲渡や利用の範囲を契約で明確にしておくことが大切です。

編集できる元データを受け取れるかどうかも確認してください。元データがないと、契約が終わった後に自社や別の依頼先で修正できなくなります。

ロゴを作るときは商標も確認する

ロゴは、著作権に加えて商標の確認も必要になります。特許庁は、商標を次のように説明しています。

商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。

出典:特許庁「商標制度の概要」

商標権は、出願して審査を経て登録されることで発生し、存続期間は設定登録の日から10年です(出典:特許庁「商標制度の概要」)。デザインが気に入っても、他社がすでに登録している商標と似ていると、使えなくなるおそれがあります。

ロゴの新規制作が定額の範囲外になりやすいのは、こうした確認や提案に手間がかかるためでもあります。長く使うロゴは、商標の確認まで含めて個別に依頼する方が安心です。

定額制のサービスを比べる手順

  1. 依頼したい制作物を書き出す:過去の外注と、これから必要になりそうな制作物を一覧にする
  2. 月の依頼量を見積もる:多い月と少ない月の両方を書き出す
  3. 候補を絞る:依頼したい制作物が定額の範囲に入るサービスを選ぶ
  4. 資料と見積もりを取り寄せる:依頼量の見積もりを伝え、上限を超えた場合の費用も確認する
  5. 試しに依頼する:試用や短い契約期間があれば、実際の制作物で品質と納期を確かめる
  6. 社内の体制を決める:依頼をまとめる担当者と、確認の流れを決める

比べるときは月額だけでなく、1件あたりの納期、修正の対応、担当者とのやり取りのしやすさも見てください。定額制は長く付き合うことが前提のため、やり取りのしやすさが満足度を大きく左右します。

社内にデザイナーがいる場合の使い方

社内にデザイナーがいる場合でも、定額制の外注が役に立つことがあります。

たとえば、社内のデザイナーはブランドの方針づくりや重要な制作物に集中し、バナーのサイズ展開や定型の資料の修正などを外部に任せる分担です。

この場合は、社内のデザイナーがデザインのルールをまとめ、外部への依頼の確認役を担うと、品質をそろえやすくなります。

定額制のデザイン外注でよくある失敗

失敗起こること防ぎ方
依頼の量を見積もらずに契約する上限を使い切れない、または超えて追加費用がかかる過去の外注の件数から月の依頼量を見積もる
依頼の内容が曖昧修正が増え、納期が延びる目的・媒体・サイズ・伝えたいことをまとめて伝える
社内の確認役がいない確認が遅れ、制作物が使われない依頼をまとめて確認する担当者を決める
元データを受け取っていない契約終了後に修正できない元データの受け渡しを契約で決める
何を作るかが決まらない月の上限を使わずに費用だけがかかる月の初めに制作の予定を立てる

依頼するときの法令上の注意

デザインを外部に委託するときは、相手が個人か会社か、会社の規模はどうかによって、守るべき法律が変わります。主に関わるのは、フリーランス・事業者間取引適正化等法と、取適法(中小受託取引適正化法)です。

デザインを外注するときに関わるフリーランス法、取適法、著作権法、商標の確認点をまとめた表

個人のフリーランスにデザインを委託する場合は、2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法のルールを守る必要があります(出典:公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」)。公正取引委員会は、取引条件の明示について次のように説明しています。

フリーランスに対して業務委託をした場合、直ちに書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ等)で取引条件を明示する義務があります。

出典:公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」

示す内容は、業務の内容・報酬の額・支払期日などです。口頭での依頼だけでは足りません。この義務は、従業員を使用していない発注者にも求められます。

従業員を使用する事業者が発注する場合は、報酬の支払期日を、受け取った日から数えて60日以内のできる限り短い期間内で定める必要があります(出典:公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」)。1か月以上の委託では、受領拒否、報酬の減額、買いたたき、不当なやり直しなど7つの行為が禁止されています。条文はe-Gov法令検索で確認できます(出典:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)。

定額制のサービスでも、相手が個人の場合は対象になり得ます。契約書や発注書で、業務の範囲と報酬、支払期日を明確にしておいてください。

制作会社に委託する場合(取適法)

2026年1月1日から、下請代金支払遅延等防止法(下請法)は改正され、中小受託取引適正化法(取適法)として施行されています(出典:公正取引委員会「取適法」)。対象になるかどうかは、事業者の資本金や従業員数の基準と、取引の内容によって決まります(出典:公正取引委員会「取適法の概要」)。

対象になる場合、発注の際は直ちに発注内容を書面などで明示する必要があります(出典:公正取引委員会「委託事業者の義務」)。支払期日については、次のように定められています。

物品等を受領した日(役務提供委託の場合は、中小受託事業者が役務の提供をした日)から起算して60日以内でできる限り短い期間内で定める

出典:公正取引委員会「委託事業者の義務」

定額制のサービスでは、月額をまとめて支払う形が一般的です。支払いのタイミングが、制作物を受け取った日から60日を超えないかを、請求と支払いのサイクルで確認しておくと安心です。

このほか、取引の内容や代金の額などを記載した書類を作成して2年間保存する義務や、支払期日までに支払わなかった場合に年率14.6%の遅延利息を支払う義務も定められています(出典:公正取引委員会「委託事業者の義務」)。発注書と請求書を、取引ごとに保管しておく運用を決めておきます。

定額制のデザイン外注をうまく使うコツ

依頼の伝え方をそろえる

依頼のたびに、目的、使う場所(媒体とサイズ)、伝えたいこと、参考にしたいデザイン、納期をまとめて伝えます。

社内で依頼の書式を決めておくと、担当者が変わっても伝え方がそろい、修正の回数も減ります。

デザインのルールを共有する

ロゴの使い方、使う色、文字の種類などのルールをまとめておくと、制作物の統一感を保ちやすくなります。

ルールがない場合は、最初の数か月で依頼先と一緒に整える方法もあります。

月の上限を計画的に使う

月末に依頼が集中すると、納期が遅れることがあります。

月の初めに、その月に必要な制作物の予定を伝えておくと、依頼先も作業の計画を立てやすくなります。

依頼前のチェックリスト

  • 過去6か月から1年の外注の件数と費用を書き出している
  • 毎月どの程度の依頼があるかを見積もっている
  • 依頼したい制作物が、定額の範囲に含まれるかを確認している
  • 上限を超えた場合の扱いと追加料金を確認している
  • 修正の回数と範囲、納期の目安を確認している
  • 著作権の扱いと、元データの受け渡しを確認している
  • 最低契約期間と、解約・休止の条件を確認している
  • 社内で依頼をまとめ、確認する担当者を決めている

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ツナグバで、定額で任せられる制作・マーケティングのサービスを比べる

ツナグバは、法人向けサービスを無料で探し、複数のサービスの資料をまとめて請求できるサイトです。

営業支援の分野では、マーケティング、制作物の作成、SNS運用などを定額で依頼できる法人向けの業務代行サービスを掲載しています。

社内に担当者がいない企業に向いたサービスです。

依頼できる制作物の範囲や料金は、資料で確認できます。

自社の依頼の量と内容に合うかを、資料で確かめてから検討してください。

こんな課題があれば

  • マーケティングの担当者がおらず、社長が片手間で対応している
  • チラシやホームページの更新を、どこに頼めばよいか分からない
  • SNSを始めたものの、投稿が続かず止まっている

掲載サービスでできること

  • 幅広い業務を一つの窓口に頼める:マーケティングの相談、制作物の作成、SNS運用などをまとめて依頼できます。複数の外注先とやり取りする手間を減らせます。
  • 定額で費用の見通しを立てやすい:毎月の費用が決まっているため、予算を組みやすくなります。定額に含まれる作業の範囲は製品によって違うため、資料で確認してください。
  • 社内に担当者がいなくても進められる:外部の担当者が作業を進め、社内では確認や判断を中心に関わります。社内の負担を抑えながら取り組めます。

資料で確かめたいこと

  • 定額に含まれる作業の範囲と、範囲外の作業の費用
  • 依頼できる量の上限や、修正の回数
  • 担当者とのやり取りの方法と、連絡の頻度
  • 作った制作物やアカウントの権利が誰のものになるか
  • 契約期間と、途中で解約するときの条件

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よくある質問

デザインの定額制は、月にどのくらい依頼すれば元が取れますか?

サービスの月額と、依頼する制作物の種類によって変わるため、一概には言えません。

過去の外注の件数と費用から1か月あたりの平均を出し、定額制の月額と比べてください。発注のやり取りにかかっていた社内の時間も含めて判断します。

依頼しなかった月の分は、翌月に繰り越せますか?

繰り越しの可否は、サービスによって異なります。

依頼の量が月によって変わる場合は、繰り越しや一時休止ができるかを契約前に確認してください。

定額制でロゴやWebサイトも作れますか?

ロゴの新規制作やWebサイトの構築は、定額の範囲外か、別料金になっていることが多くあります。

定額の範囲に含まれる制作物を、契約前に一覧で確認してください。

作ってもらったデザインを、契約終了後も使えますか?

著作権や利用の範囲を契約でどう定めたかによります。著作権法では、著作物を創作した者が著作者になるのが原則のため、何も定めていないと自由に改変できないことがあります(出典:e-Gov法令検索「著作権法」)。

長く使う制作物は、著作権の譲渡や利用の範囲、元データの受け渡しについて、契約書で明確にしておくことをおすすめします。

参考資料