求人広告を出しているのに、応募が集まらない。応募はあるのに、採用まで進まない。広告費を増やすべきか、原稿を直すべきか、媒体を変えるべきかが分からない。こうした悩みの多くは、効果測定の指標を決めていないことから生まれます。

求人広告の効果は、「応募が何件来たか」だけでは判断できません。どの段階で人が減っているのかを数字で見ると、直すべき場所が分かります。

この記事では、求人広告の効果測定で見るべき指標を、計算式つきで整理します。採用手段ごとの採用コストの目安、数字から原因を見つける手順、求人原稿を直すときの法律上の注意点もまとめました。

求人広告の効果測定が必要な理由

求人広告の効果測定とは、掲載した求人がどれだけ見られ、応募され、採用と定着につながったかを数字で確かめることです。

採用をめぐる環境は、求人を出す会社にとって楽ではありません。厚生労働省によると、令和8年8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍、正社員の有効求人倍率は1.00倍でした(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」)。求職者1人に対して1件以上の求人がある状態で、求人を出せば応募が集まるとは限りません。

また、採用したあとの定着も見る必要があります。令和7年の雇用動向調査では、常用労働者の入職率は14.7%、離職率は13.7%でした(出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」)。採用できても早く辞めてしまえば、再び募集の費用と手間がかかります。就業形態別にみると、一般労働者の入職率は12.0%、離職率は11.4%、パートタイム労働者の入職率は21.7%、離職率は19.9%でした(出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」)。

効果測定をすると、次のことが分かります。

  • 応募が少ない原因が、求人の見られ方なのか、原稿の中身なのか
  • どの媒体や手段が、費用に見合った採用につながっているか
  • 広告費を増やすべきか、原稿や選考の進め方を直すべきか
  • 採用した人が定着しているか

求人広告の効果測定で見るべき指標

求人広告の指標は、求職者の動きに合わせて「見られる」「応募される」「選考が進む」「採用・定着する」の4つの段階に分けると整理しやすくなります。

求人広告の効果測定の指標を、見られる、応募される、選考が進む、採用・定着するの4つの段階に分けて示した図

段階1:見られる(表示回数・閲覧数・クリック率)

まず、求人がどれだけ求職者の目に触れたかを見ます。媒体の管理画面で確認できることが多い数字です。

  • 表示回数:検索結果や一覧に求人が表示された回数
  • 閲覧数:求人の詳細ページが見られた回数
  • クリック率:表示回数のうち、詳細ページが開かれた割合

表示回数が少ない場合は、掲載の仕方や職種名の付け方に原因があることが多くなります。表示は多いのにクリック率が低い場合は、一覧に出る職種名や給与、写真などの第一印象を見直します。

段階2:応募される(応募数・応募率・応募単価)

次に、求人を見た人がどれだけ応募したかを見ます。

  • 応募数:一定期間に届いた応募の件数
  • 応募率:閲覧数のうち、応募した人の割合
  • 応募単価:応募1件あたりにかかった費用

閲覧数は多いのに応募率が低い場合は、仕事内容や条件の書き方、応募の手続きの手間に原因があることが考えられます。

段階3:選考が進む(面接設定率・面接参加率・内定承諾率)

応募が来ても、選考の途中で人が減ることがあります。

  • 面接設定率:応募のうち、面接の日程が決まった割合
  • 面接参加率:面接が決まった人のうち、実際に来た人の割合
  • 内定承諾率:内定を出した人のうち、承諾した人の割合

この段階の数字が低い場合は、広告よりも、応募後の連絡の早さや面接の進め方、条件の伝え方を見直します。

段階4:採用・定着する(採用数・採用単価・定着率)

最後に、採用につながったか、採用した人が定着しているかを見ます。

  • 採用数:入社した人の数
  • 採用単価:1人を採用するためにかかった費用
  • 定着率:入社した人のうち、一定期間(3か月、1年など)後も働いている人の割合
  • 採用までの日数:募集の開始から採用が決まるまでにかかった日数

採用単価が低くても、すぐに辞めてしまう人が多ければ、結果として費用がかさみます。採用単価と定着率は、あわせて見ることが大切です。

主な指標の計算式

主な指標の計算式は次のとおりです。費用には、広告の掲載料だけでなく、必要に応じて原稿作りや選考にかかった社内の手間も含めて考えると、実態に近くなります。

クリック率、応募率、応募単価、面接設定率、内定承諾率、採用単価、定着率の計算式をまとめた表
指標計算式主に分かること
クリック率閲覧数 ÷ 表示回数 × 100一覧での第一印象
応募率応募数 ÷ 閲覧数 × 100原稿の中身と応募のしやすさ
応募単価広告費 ÷ 応募数応募を集める効率
面接設定率面接設定数 ÷ 応募数 × 100応募後の対応の早さ・質
内定承諾率内定承諾数 ÷ 内定数 × 100条件や魅力の伝わり方
採用単価採用にかかった費用 ÷ 採用数採用全体の費用の効率
定着率一定期間後も在籍している人数 ÷ 採用数 × 100採用した人と仕事の相性

指標は多ければよいわけではありません。最初は「閲覧数」「応募数」「採用数」「採用単価」の4つから始め、慣れてきたら段階ごとの割合を加えていくと続けやすくなります。

採用手段ごとの採用コストの目安

自社の採用単価が高いのか低いのかを判断するには、目安となる数字があると便利です。厚生労働省の委託調査では、求人企業に、採用手段ごとの1件あたりの平均採用コストを聞いています(出典:厚生労働省「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」(令和3年度厚生労働省委託調査))。

正社員の採用1件あたりの平均採用コストを、スカウトサービス、紹介会社、求人情報サイト、求人情報誌など採用手段ごとに比べた棒グラフ

正社員の採用1件あたりの平均採用コストは、民間職業紹介事業者(紹介会社)が85.1万円、求人情報誌・チラシが11.3万円でした(出典:厚生労働省「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」(令和3年度厚生労働省委託調査))。その他の手段は次のとおりです。

採用手段1件あたりの平均採用コスト(正社員)
スカウトサービス91.4万円
民間職業紹介事業者(紹介会社)85.1万円
インターネットの求人情報サイト28.5万円
求人情報誌・チラシ11.3万円
新聞広告・屋外広告7.1万円
インターネットの求人情報まとめサイト6.4万円
知り合い・社員等からの紹介(縁故)4.4万円
自社HP等からの直接応募2.8万円
SNS0.9万円

この数字は令和3年に実施された調査で、回答した企業の平均です(出典:厚生労働省「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」(令和3年度厚生労働省委託調査)、厚生労働省「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査」)。回答数が少ない手段もあり、職種、地域、採用の難しさによって費用は大きく変わります。あくまで目安として使い、自社の過去の数字と比べることを優先してください。

費用が安い手段がよいとは限りません。応募の数、求める人材に出会えるか、採用後に定着するかまで含めて比べます。

数字から原因を見つけて改善する手順

効果測定は、数字を集めて終わりではありません。次の手順で、改善につなげます。

  1. 目標を決める:採用したい人数と時期、使える予算から、必要な応募数と閲覧数を逆算します。
  2. 数字を記録する:媒体ごと、求人ごとに、毎週または毎月、同じ形式で数字を記録します。
  3. 人が減っている段階を見つける:段階ごとの割合を目標や過去の数字と比べ、最も落ち込んでいる段階を探します。
  4. 原因の仮説を立てて1つずつ直す:原稿、条件、写真、選考の進め方のうち、1つだけを変えて結果を比べます。
  5. 結果を比べて、続けるか戻すかを決める:一定の期間をおいて数字を比べ、良くなった変更を残します。

目標の逆算は、自社の過去の数字を使います。たとえば、過去の実績で応募から採用までの割合が10%、閲覧から応募までの割合が2%だった会社が1人を採用したい場合、必要な応募は10件、必要な閲覧は500件が目安になります。この数字は説明のための仮の例で、実際の割合は職種や地域、時期によって変わります。

一度に多くのことを変えると、どの変更が効いたのかが分からなくなります。小さく変えて比べることを繰り返すのが基本です。

原稿を作ったり更新したりする時間が取れず、何年も同じ求人を出し続けている場合は、ツナグバ掲載の求人媒体の運用代行による採用支援のように、運用を任せる方法もあります。

段階別の主な原因と見直す点

落ち込んでいる段階考えられる原因見直す点
表示回数・閲覧数が少ない職種名が検索されにくい、掲載の枠や期間が合っていない職種名、掲載する媒体と期間
クリック率が低い一覧での第一印象が弱い職種名、給与の見せ方、写真
応募率が低い仕事内容や条件が伝わらない、応募の手間が多い仕事内容、1日の流れ、応募の手続き
面接設定率・参加率が低い応募後の連絡が遅い、日程の候補が少ない連絡の早さ、面接の日程と方法
内定承諾率が低い条件や職場の様子が十分に伝わっていない面接での説明、職場見学の機会
定着率が低い求人の内容と実際の仕事が違う原稿の書き方、入社後の受け入れ

求人原稿を直すときの法律上の注意点

応募を増やしたいからといって、事実と違う内容を書くことはできません。2022年10月1日に施行された改正職業安定法では、求人等に関する情報の的確な表示が義務化されました(出典:厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」)。

職業安定法は、広告などで求人の情報を提供するときについて、次のように定めています。

労働者の募集を行う者及び募集受託者は、この法律に基づく業務に関して広告等により労働者の募集に関する情報その他厚生労働省令で定める情報を提供するときは、正確かつ最新の内容に保たなければならない。

出典:e-Gov法令検索「職業安定法」

同じ条文は、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないことも定めています(出典:e-Gov法令検索「職業安定法」)。厚生労働省の求人企業向けのリーフレットは、誤解を生じさせる表示について次のように説明しています。

虚偽の表示ではなくとも、一般的・客観的に誤解を生じさせるような表示は、「誤解を生じさせる表示」に該当します。

出典:厚生労働省「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」

同じリーフレットでは、実際の賃金よりも高額な賃金の求人を掲載すること、「正社員」とうたいながら実際にはアルバイト・パートの求人であることなどが、虚偽の表示に該当する場合があるとしています(出典:厚生労働省「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」)。募集を終了したり内容を変更したりしたら、速やかに求人情報の提供を終了・変更することも求められています(出典:厚生労働省「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」)。

同じリーフレットは、誤解を生じさせる表示の例として、次のようなものを挙げています(出典:厚生労働省「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」)。

  • 営業職中心の業務を「事務職」と表示するなど、実際の業務の内容と著しく離れた職種名を用いる
  • 固定残業代を採用する場合に、基礎となる労働時間数などを明示せず、基本給に含めて表示する
  • モデル収入の例を、必ず支払われる基本給のように表示する
  • 優れた実績を持つグループ会社の情報を大きく載せるなど、求人企業とグループ企業が混同されるように表示する

効果測定で応募率が低いと分かっても、条件を実際より良く見せる直し方はしてはいけません。仕事内容や職場の様子を具体的に書く、写真を変える、応募の手続きを簡単にするといった、事実にもとづく改善を選びます。

応募者のデータを分析するときの注意

効果測定では、応募者の情報を記録して分析することがあります。改正職業安定法では、求職者の個人情報を収集する際に、業務の目的を明らかにしなければならないとされています(出典:厚生労働省「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」)。

リーフレットでは、労働者の募集のために必要な範囲で個人情報を収集・使用・保管する必要があるとしたうえで、選考過程の分析のために個人情報を匿名化・統計処理することは、目的の範囲内の使い方の例として示されています(出典:厚生労働省「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」)。効果測定のための集計は、個人が分からない形の数字で行うのが安全です。

公正な採用選考との関係

あわせて、採用の基準は公正である必要があります。厚生労働省は、公正な採用選考の基本として次のように説明しています。

応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行うことです。

出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」

効果測定で応募者を絞り込みたいと考えたときも、仕事に必要な適性や能力と関係のない条件で応募を制限しないよう注意します。

効果測定を自社で行うか、外部に任せるかの判断基準

効果測定と改善は、自社でも行えます。判断の目安は次のとおりです。

  • 自社で行うのに向いている:募集する職種が少ない、採用担当者が数字の記録と原稿の更新に時間を割ける
  • 外部の支援を検討してよい:複数の媒体や職種を同時に運用している、原稿を何年も更新できていない、広告費を増やしても応募が増えない

外部に任せる場合も、どの指標を、どのくらいの頻度で、どんな形で報告してもらえるかを確かめます。運用の費用と広告費が別にかかるか、契約期間の縛りや解約の条件も、比べるときの大切な点です。

反対に、採用の予定が年に1人か2人で、応募も一定数来ている場合は、外部に任せず、応募後の連絡を早くするなど自社でできる改善から始めるほうが合っていることもあります。

あわせて読みたい

ツナグバで、求人媒体の運用支援を比べる

ツナグバは、法人向けサービスを無料で探し、複数のサービスの資料をまとめて請求できるサイトです。

採用支援の分野では、広告費を増やすのではなく、求人媒体の運用を見直して応募数を増やす採用支援サービスを掲載しています。求人原稿の内容や掲載の仕方を見直し、閲覧数や応募数などの数字を確認しながら、原稿や条件の見せ方を調整していくのが一般的です。求人原稿の作成や更新を代行してもらえるため、採用担当者が他の業務に時間を使いやすくなります。

結果は職種や地域によって変わります。月額の運用費と広告費の関係、対応している求人媒体、報告の頻度と形、契約の条件は、資料で確認できます。

こんな課題があれば

  • 求人を出しても応募が集まらず、何を直せばよいか分からない
  • 求人原稿を作る時間がなく、何年も同じ内容のまま出している
  • 広告費を増やしてみたが、応募数が思うように増えていない

掲載サービスでできること

  • 求人媒体の運用を見直す:求人原稿の内容や掲載の仕方を見直し、応募につながりやすい形に整えます。広告費を増やす前に、今の掲載を改善する考え方です。
  • 応募の数字を見ながら改善する:閲覧数や応募数などの数字を確認しながら、原稿や条件の見せ方を調整していくのが一般的です。結果は職種や地域によって変わります。
  • 原稿作成や更新の手間を任せられる:求人原稿の作成や更新を代行してもらえます。採用担当者が他の業務に時間を使いやすくなります。

資料で確かめたいこと

  • 月額の運用費と、広告費が別にかかるかどうか
  • 対応している求人媒体の種類
  • 改善の報告がどのくらいの頻度で、どんな形で届くか
  • 契約期間の縛りと、解約の条件

ほかの分野のサービスも見る

よくある質問

効果測定は、どれくらいの期間で判断すればよいですか?

職種や媒体によって違いますが、掲載してすぐの数日だけで判断するのは早すぎます。少なくとも数週間は同じ条件で数字を記録し、変更の前と後を同じ長さの期間で比べると判断しやすくなります。

応募数と採用単価は、どちらを重視すべきですか?

目的によって変わります。まず応募が少ない段階では、閲覧数と応募数を重視します。応募が一定数集まるようになったら、採用単価と定着率を重視して、費用に見合った採用になっているかを確かめます。

媒体の管理画面で数字が見られない場合はどうすればよいですか?

応募数、面接数、内定数、採用数、入社後の在籍状況は、社内で記録できます。求人ごと、媒体ごとに表計算ソフトで記録するだけでも、どの段階で人が減っているかは分かります。閲覧数が分からない場合は、媒体の担当者に確認してください。

応募を増やすために、給与を高めに書いてもよいですか?

実際の賃金よりも高い金額を書くことは、虚偽の表示にあたる場合があります。モデル収入を示す場合も、必ず支払われる基本給と誤解されないように書く必要があります。給与以外の魅力や仕事の内容を具体的に伝える方法を検討してください。

参考資料