テレアポの成果が、担当者によって大きく違う。新しく入った人が、何を話せばよいか分からずに電話をためらっている。こうした悩みを解決する手段の一つが、トークスクリプト(電話で話す内容と順番をまとめた台本)です。

とはいえ、台本をそのまま読み上げるだけでは、相手に機械的な印象を与えてしまいます。相手の反応に合わせて話を進められるよう、話す順番と分かれ道を整理しておくことが大切です。

この記事では、テレアポのトークスクリプトの作り方を5つのステップで整理します。基本の構成と例文、断られたときの返し方、改善の回し方もまとめました。

電話の営業で確かめておきたい法令とマナー、スクリプトを作り込む前に見直したいこともあわせて紹介します。

トークスクリプトとは|テレアポで使う理由

トークスクリプトとは、電話で話す内容を、話す順番に沿ってまとめたものです。名乗り方、用件の伝え方、質問の内容、断られたときの返し方、日程の決め方などを、パートごとに書いておきます。

テレアポでトークスクリプトを使う理由は、主に次の3つです。

  • 成果のばらつきを減らす:成果を上げている人の話し方を型にすることで、誰が電話をしても一定の質で話せます。
  • 新しい担当者が早く慣れる:何をどの順番で話すかが決まっているため、電話への不安が減ります。
  • 改善の手がかりになる:どのパートで話が止まるかを記録すると、直すべき箇所が分かります。

一方で、スクリプトは作って終わりではありません。電話の結果を見ながら、言い方を直し続けることで、はじめて役に立つものになります。

トークスクリプトの作り方|5つのステップ

トークスクリプトは、いきなり台本の文章を書き始めるのではなく、誰に何を伝えて何を決めるかを固めてから作ります。次の5つのステップで進めます。

テレアポのトークスクリプトの作り方を、ゴールと相手を決める、話の流れを決める、聞く項目を決める、言葉にする、試して直すの5段階で示した図

ステップ1:ゴールと相手を決める

まず、この電話で何を決めたいのかを決めます。商談の日程を決めるのか、資料を送る許可をもらうのか、担当者の名前を知るのか。ゴールによって、話す内容も長さも変わります。

あわせて、電話をかける相手を具体的にします。業種、会社の規模、話したい担当者の役職、相手が抱えていそうな困りごとを書き出します。相手が具体的なほど、相手に合った言葉を選べます。

ステップ2:話の流れを決める

次に、名乗りから日程の調整までの、話のパートと順番を決めます。パートごとに目的を決め、次のパートに進む条件をはっきりさせます。

相手の反応で話が分かれる場面では、分かれ道を書いておきます。ただし、分かれ道を増やしすぎると、使う人が迷います。1つのパートで想定する反応は、2〜3つに絞るのが目安です。

ステップ3:聞く項目を決める

アポイントの後の商談に必要な情報を考え、電話で聞く項目を決めます。たとえば、いまのやり方、困っている点、検討の時期、決める人などです。

電話の時間は限られています。聞きたいことを全部並べるのではなく、優先順位をつけて、電話で聞くことと商談で聞くことを分けます。

ステップ4:話し言葉にする

流れと聞く項目が決まったら、実際に話す言葉にします。1文を短くし、声に出して読んだときに自然かどうかを確かめます。

専門用語や長い説明は避け、相手が電話口で聞いてすぐに分かる言葉を選びます。自社の商品の説明よりも、相手の困りごとに関係する話を先にすると、聞いてもらいやすくなります。

ステップ5:試して直す

スクリプトができたら、社内で練習してから実際の電話で使います。電話の結果を記録し、どのパートで話が止まっているかを確かめて直します。改善の回し方は、後の章で詳しく説明します。

トークスクリプトの基本の構成と例文

テレアポのトークスクリプトは、次の5つのパートで組み立てるのが基本です。

テレアポのトークスクリプトの基本の構成を、名乗りとあいさつ、受付への用件の説明、担当者への用件の説明、質問と課題の確認、日程の調整の5つのパートで示した表
パート目的話す内容の例
名乗りとあいさつ誰からの電話かを伝える会社名、名前、用件の種類
受付への説明担当者につないでもらうどの部署の、どんな件か
担当者への説明話を聞く理由を伝える相手の業種でよくある困りごと
質問と確認状況と課題を知るいまのやり方、困っている点、時期
日程の調整次の約束を決める候補の日時を示し、案内の送り先を確かめる

例として、法人向けのサービスを案内し、商談の日程を決めることをゴールにした場合の流れを示します。実際には、自社の商品と相手に合わせて言葉を変えてください。

  1. 名乗り:「お忙しいところ失礼いたします。〇〇株式会社の△△と申します。〇〇のご案内でお電話いたしました。」
  2. 受付への説明:「〇〇のご担当の方はいらっしゃいますか。〇〇の手間についての情報提供のお電話です。」
  3. 担当者への説明:「〇〇業の会社さまから、〇〇に時間がかかるというお声をよくうかがいます。御社では、いかがでしょうか。」
  4. 質問と確認:「いまは、どのような方法で〇〇をされていますか。」「見直しを考えている時期はありますか。」
  5. 日程の調整:「一度、30分ほどお時間をいただき、詳しくご説明できればと思います。来週の火曜日か木曜日の午後は、ご都合いかがでしょうか。」

日程の候補を示すときは、相手が選びやすいよう、2つほどの候補を挙げる方法がよく使われます。ただし、相手が迷っているのに強く迫ると、かえって不信感を持たれます。相手の反応を見て、資料を送ってから改めて連絡するなど、別の道も用意しておきます。

断られたときの返し方を用意する

テレアポでは、断られることのほうが多いものです。よくある断りの言葉と、その返し方を、あらかじめスクリプトに入れておきます。

よくある断りの言葉返し方の考え方
いまは忙しいかけ直してよい日時を聞く
資料を送っておいて送り先と担当者を確かめ、送った後に連絡してよいか聞く
間に合っているいまのやり方で困っている点がないかを1つだけ聞く
必要ない無理に続けず、お礼を伝えて電話を終える

返し方は、相手の考えを変えさせるためのものではありません。相手の状況を確かめ、本当に必要がなさそうなら、気持ちよく電話を終えることも大切です。はっきり断られた相手に食い下がると、会社の印象を損ないます。

スクリプトを改善する回し方

スクリプトは、使いながら直していくものです。改善するには、電話の結果を数字で記録します。

  • 電話がつながった件数
  • 担当者と話せた件数
  • 話を聞いてもらえた件数
  • アポイントが取れた件数

どの段階で話が止まっているかを見ると、直すべきパートが分かります。たとえば、受付で断られることが多いなら受付への説明を、担当者と話せても関心を持ってもらえないなら担当者への説明を見直します。

成果を上げている人の電話を聞いて、言い回しや間の取り方をスクリプトに反映させるのも効果的です。週ごとなど決まった間隔で振り返り、変えた点とその結果を記録しておくと、何が効いたのかが分かります。

スクリプトを細かく書きすぎると、読み上げるだけになり、相手の反応に合わせにくくなります。慣れてきたら、要点と分かれ道だけが見える形に整理し直すのもよい方法です。

スクリプトは、チームの全員が同じ最新版を使えるよう、置き場所を1か所に決めて共有します。直したときは、変えた日と理由を書き残しておくと、後から振り返りやすくなります。電話をかけないでほしいと言われた相手の一覧も、スクリプトと同じ場所で共有し、別の担当者が同じ相手に電話をかけてしまうことを防ぎます。

電話をかける相手のリストの質も、成果を大きく左右します。話したい担当者の役職や、相手の会社の状況が分かっていれば、スクリプトもより相手に合ったものにできます。決裁者の情報を含む企業のデータベースを使い、商談につながりやすい相手に直接連絡したい場合は、ツナグバ掲載の決裁者に直接アプローチできる企業データベースも比較の候補になります。

電話の営業で確かめておきたい法令とマナー

電話の営業では、相手に不信感を持たれないための配慮と、法令の確認が欠かせません。

テレアポのトークスクリプトで確かめたい法令とマナーの6つの点をまとめたチェックリスト

特定商取引法と電話勧誘販売

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、特定商取引法の対象の取引の一つとして、電話で勧誘し申込みを受ける「電話勧誘販売」が挙げられています(出典:消費者庁「特定商取引法ガイド」)。電話勧誘販売とは、事業者が消費者に電話をかけるなどして勧誘し、消費者が契約の申込みをする取引です(出典:消費者庁「電話勧誘販売|特定商取引法ガイド」)。

電話勧誘販売では、勧誘を始める前に伝えなければならない事項が決められています。

事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、勧誘に先立って、消費者に対して以下の事項を告げなければなりません。

出典:消費者庁「電話勧誘販売|特定商取引法ガイド」

告げる事項は、事業者の氏名(名称)、勧誘を行う者の氏名、販売しようとする商品(権利、役務)の種類、契約の締結について勧誘する目的である旨です(出典:消費者庁「電話勧誘販売|特定商取引法ガイド」)。また、断った相手への勧誘の続行や再勧誘も禁止されています。

特定商取引法は、電話勧誘販売に係る契約等を締結しない意思を表示した者に対する勧誘の継続や再勧誘を禁止しています。

出典:消費者庁「電話勧誘販売|特定商取引法ガイド」

このほか、勧誘の際に事実と違うことを告げること、故意に事実を告げないこと、相手を威迫して困惑させることも禁止されています(出典:消費者庁「電話勧誘販売|特定商取引法ガイド」)。

法人に向けたテレアポでは、営業のため、または営業として締結する取引は、特定商取引法の適用が除外される場合として挙げられています(出典:消費者庁「電話勧誘販売|特定商取引法ガイド」)。ただし、相手が個人事業主の場合など、営業のための取引に当たるかどうかの判断が難しいこともあります。法人向けの電話であっても、名乗る、目的を伝える、断られたら引く、といった基本は、スクリプトに入れておくのが安心です。

電話をかけるリストと個人情報

電話をかけるリストに、担当者の名前など個人の情報が含まれる場合は、個人情報保護法のルールに従います(出典:e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」)。個人情報保護委員会は、名簿業者から名簿を購入すること自体は禁止されていないとしつつ、適正な取得と、第三者から提供を受ける際の確認・記録の義務に留意する必要があるとしています(出典:個人情報保護委員会「よくある質問 Q4-2 名簿業者から個人の名簿を購入することは禁止されていますか」)。

購入する際は、相手方が個人データを取得した経緯などを確認・記録する必要があり、不正に取得されたことを知っていた、または容易に知ることができた場合は、法に違反するおそれがあるとされています(出典:個人情報保護委員会「よくある質問 Q4-2 名簿業者から個人の名簿を購入することは禁止されていますか」)。確認・記録の義務の詳しい内容は、個人情報保護委員会のガイドラインにまとめられています(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)」)。「個人情報保護委員会」から名簿などの個人データを入手していると偽る事業者についての注意喚起も出されています(出典:個人情報保護委員会「「個人情報保護委員会」から名簿等個人データを入手しているとかたる事業者等についての注意喚起」)。

電話の後に送るメール

電話の後に、案内や資料をメールで送ることもあります。広告や宣伝のメールは、原則として特定電子メール法の規制の対象になります(出典:総務省「迷惑メール対策」)。広告や宣伝のメールは、原則として、あらかじめ同意した相手にだけ送ることができ、送信者の名称や受信を拒否するための連絡先の表示も求められています(出典:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」)。電話で送付の了承を得たら、そのことを記録しておきます。

スクリプトを作り込む前に見直したいこと

トークスクリプトは、テレアポの成果を上げる手段の一つですが、万能ではありません。次のような場合は、スクリプトの作り込みより先に見直すことがあります。

  • 電話をかける相手が、自社の商品を必要としていない業種や規模に偏っている
  • 商品の強みや、相手にとっての利点が、社内で言葉になっていない
  • アポイントを取った後の商談の進め方が決まっていない
  • 電話以外の手段(メール、問い合わせのフォーム、展示会など)のほうが、相手に合っている

特に、相手に合わないリストに電話を続けても、スクリプトをいくら直しても成果は上がりにくくなります。電話の結果の数字を見て、スクリプトの問題なのか、リストの問題なのかを切り分けます。

営業の活動全体を見直す場合は、顧客の管理やメールの配信など、電話以外の仕組みとあわせて考えると、アポイントの後の商談までつながりやすくなります。

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よくある質問

トークスクリプトは、どのくらいの長さにすればよいですか?

1回の電話で話す内容を、パートごとに数行ずつにまとめるのが目安です。細かく書きすぎると、読み上げるだけになり、相手の反応に合わせにくくなります。慣れてきたら、要点と分かれ道が見える形に整理し直します。

受付で断られることが多い場合は、どうすればよいですか?

受付への説明のパートを見直します。誰に、どんな件で話したいのかを、短く具体的に伝えられているかを確かめます。用件をあいまいにしたり、事実と違う説明をしたりするのは避けてください。

法人向けのテレアポにも、特定商取引法は関係しますか?

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、営業のため、または営業として締結する取引は、適用が除外される場合として挙げられています。ただし、相手が個人事業主の場合など、判断が難しいこともあります。名乗る、目的を伝える、断られたら引く、といった基本は守っておくと安心です。

スクリプトはどのくらいの頻度で見直せばよいですか?

電話の件数にもよりますが、週ごとなど決まった間隔で結果を振り返るのが目安です。一度に多くの箇所を変えると、何が効いたのか分からなくなるため、変える箇所を絞って試します。

新しい担当者には、どのように教えればよいですか?

まずスクリプトを声に出して読み、社内で相手役を決めて練習します。次に、慣れた人の電話を横で聞き、実際の電話での言い回しや間の取り方を学びます。最初は件数よりも、名乗りや目的の伝え方などの基本を守れているかを確かめます。

参考資料