福利厚生を充実させたい。けれども、社員の年齢や家族の状況、働き方がさまざまで、全員に喜ばれるメニューを選ぶのが難しい。そんなときに検討されるのがカフェテリアプランです。

カフェテリアプランは、会社が社員にポイントを配り、社員が用意されたメニューから好きなものを選んで使う福利厚生の仕組みです。選べる自由がある一方で、税金の扱いがメニューごとに変わるなど、導入前に確かめたい点があります。

この記事では、カフェテリアプランの仕組みと、パッケージ型の福利厚生との違い、メリットとデメリットを整理しました。国税庁の質疑応答事例で示された税金の考え方と、中小企業が導入するときの手順もまとめています。

制度を一から整えるのが負担になる場合の考え方や、カフェテリアプランを導入しなくてよいケースも取り上げます。

カフェテリアプランとは

カフェテリアプランは、社員が自分に合った福利厚生を選べる仕組みです。名前は、好きな料理を選んで取るカフェテリア式の食堂に由来しています。

一般的な流れは次のとおりです。

  1. 会社が、社員一人ひとりに一定のポイントを付与する
  2. 会社が、ポイントで使えるメニューを用意する
  3. 社員が、メニューの中から自分に合うものを選び、ポイントを使う
  4. 会社が、使われたポイントに応じて費用を負担する

国税庁の質疑応答事例では、全従業員に年間50,000ポイント(50,000円相当)を付与し、約50のメニューから選んで使え、残ったポイントの繰り越しや現金での精算はできない、という制度が例として取り上げられています(出典:国税庁「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」)。ポイントの額やメニューの数は会社が決めるもので、この例は一つの形です。

パッケージ型の福利厚生との違い

福利厚生の外部サービスには、会員になると決まったメニューを割引などで使えるパッケージ型もあります。違いを整理します。

項目カフェテリアプランパッケージ型
仕組みポイントを配り、社員が選んで使う会員として、決まったメニューを使う
メニュー会社が選んで組み合わせるサービスが用意したものを使う
費用の決まり方付与するポイントの額と、運用の費用会員の数に応じた料金が多い
向いている会社社員の希望に合わせて設計したい手間をかけずに種類を増やしたい

カフェテリアプランの運用を外部のサービスに任せる会社もあります。その場合も、ポイントの額やメニューの選び方は、会社として決める必要があります。

福利厚生にかけている費用の目安

カフェテリアプランを検討するときは、いま福利厚生にどれだけの費用をかけているかを確かめておきます。参考になるのが、厚生労働省の就労条件総合調査です。

令和3年の調査では、常用労働者1人1か月平均の労働費用総額は408,140円で、そのうち現金給与以外の労働費用は73,296円でした。現金給与以外の労働費用のうち、社会保険料などの法定福利費は50,283円、会社が任意で行う法定外福利費は4,882円です(出典:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査 結果の概況(労働費用)」)。

常用労働者1人1か月平均の法定外福利費を、企業規模別に示した棒グラフ

法定外福利費を企業規模別にみると、1,000人以上が5,639円、300〜999人が4,567円、100〜299人が4,546円、30〜99人が4,414円でした(出典:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査 結果の概況(労働費用)」)。

法定外福利費の内訳では、住居に関する費用が2,509円と半分ほどを占め、医療保健に関する費用が729円、食事に関する費用が493円、文化・体育・娯楽に関する費用が373円と続きます(出典:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査 結果の概況(労働費用)」)。

これらは令和2年(または令和元会計年度)の1年間の費用をもとにした数字で、調査の対象や時期によって変わります。自社の費用を考えるときの目安として見てください(出典:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査の概況」)。カフェテリアプランを導入するときは、いまの福利厚生の費用を洗い出し、その範囲で置きかえるのか、新しく予算を足すのかを先に決めます。

カフェテリアプランのメリットとデメリット

カフェテリアプランには、選べる仕組みならではのメリットと、運用面のデメリットがあります。

区分内容
メリット年齢や家族の状況が違う社員も、自分に合うメニューを選べる
メリットポイントで管理するため、1人あたりの費用の上限が分かりやすい
メリットメニューの選び方で、会社が力を入れたいこと(健康、学び、育児など)を伝えられる
デメリットメニューの設計、ポイントの管理、精算などの手間がかかる
デメリットメニューによって課税と非課税が分かれ、事務の確認が増える
デメリット使い方が分かりにくいと、ポイントが使われずに終わる

カフェテリアプランは、社員の数がある程度多く、ニーズがばらばらな会社ほど、選べるメリットが生きます。社員が少なく、希望がそろっている会社では、使いたいメニューを直接用意するほうが手間がかからないこともあります。

税金の扱い|国税庁の質疑応答事例から

カフェテリアプランでもっとも注意したいのが税金の扱いです。福利厚生として非課税になるか、給与として課税されるかは、どのように判断されるのでしょうか。

カフェテリアプランのポイントにかかる税金の考え方を、判断の時点、全体が課税になる場合、メニュー別の例でまとめた表

判断するのは、ポイントを使ったとき

国税庁の質疑応答事例では、ポイントを付与した時点ではなく、使った時点で判断するとしています。

原則として従業員がそのポイントを利用してサービスを受けたときに、そのサービスの内容によって課税・非課税を判断することになります。

出典:国税庁「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」

つまり、同じカフェテリアプランの中でも、社員が選んだメニューによって、課税になるものと非課税になるものが分かれます。メニューごとに扱いを整理しておく必要があります。

制度全体が課税になる場合

同じ質疑応答事例では、次の場合は、すべてのメニューが課税の対象になるとされています(出典:国税庁「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」)。

  • 役員や従業員の地位、報酬の額に比例してポイントが付与される場合
  • ポイントを現金に換えられるなど、換金性がある場合

非課税とされる福利厚生は、均等な給付であることが必要で、非課税となる経済的利益は現物給付に限られるためです(出典:国税庁「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」)。ポイントは全員に同じ基準で付与し、現金での精算はできないようにしておくことが基本になります。

メニューごとの例

旅行やレジャーの費用を補助するメニューについて、国税庁は次のように回答しています。

いずれのメニューも、利用したポイントに相当する金額について、そのポイントを利用した時の給与等として課税対象となります。

出典:国税庁「カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合」

会社が企画して全員に一律に提供するレクリエーション行事と違い、ポイントを使った社員だけに提供されるため、個人の趣味や娯楽の費用を補うものと判断されています。ただし、契約施設の一般料金と割引料金の差額については、全従業員が一律に受けるものであれば課税しなくてよいとされています(出典:国税庁「カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合」)。

一方、健康サポートのメニューのうち、従業員の健康管理のために一般的に行われる健康診断にあたるものは、課税しなくてよいとされています(出典:国税庁「カフェテリアプランによる医療費等の補助を受けた場合」)。

会社が企画する社員旅行については、旅行の期間が4泊5日以内であることや、参加した人数が全体の50%以上であることなどの要件を満たせば、原則として給与として課税しなくてよいとされています(出典:国税庁「タックスアンサーNo.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行」)。ポイントで個人が選ぶ旅行の補助とは、扱いが違う点に注意します。

質疑応答事例は、示された事実関係を前提とした一般的な回答です。実際のメニューの扱いは、顧問の税理士や税務署に確認してください(出典:国税庁「質疑応答事例 源泉所得税 目次一覧」)。

導入の進め方|4つの手順

カフェテリアプランは、メニューを選ぶ前に、目的と予算を決めることから始めます。

カフェテリアプランの導入を、目的と予算の決定、メニューとポイントの設計、税務と規程の確認、周知と見直しの4つの手順で示した図

手順1:目的と予算を決める

何のために制度を入れるのかを決めます。社員の定着、健康づくり、学びの支援、子育てとの両立など、目的によって用意するメニューが変わります。あわせて、1人あたりの年間のポイントの額と、全体の予算を決めます。

目的を決めておくと、導入後に制度がうまくいっているかを判断する基準にもなります。たとえば定着が目的なら離職の状況、健康づくりが目的なら健康に関するメニューの利用の状況を見る、というように、確かめる数字を先に決めておきます。

手順2:メニューとポイントのルールを決める

社員にアンケートなどで希望を聞き、メニューを選びます。ポイントの付与の時期、有効期限、繰り越しの可否、使わなかったポイントの扱いも決めます。

メニューの例としては、健康づくり、自己啓発、育児や介護の支援、旅行やレジャー、身だしなみのケアなどがあります。選んだメニューが社員の希望とずれていると、ポイントが使われません。

手順3:税務と規程を確認する

メニューごとに課税の扱いを確かめます。課税になるメニューは、給与として源泉徴収の対象になるため、給与計算の担当者とも流れを確認します。

対象者の範囲も決めます。短時間・有期雇用労働法では、通常の労働者が利用できる福利厚生施設のうち、健康の保持や業務の円滑な遂行に役立つものとして省令で定めるものは、短時間・有期雇用の社員にも利用の機会を与えなければならないとされています(出典:e-Gov法令検索「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)。カフェテリアプランの対象者を正社員に限る場合は、その理由を説明できるようにしておきます。

手順4:周知して見直す

社員に制度の内容と使い方を案内します。使える期間やメニューの一覧、申請の方法を、分かりやすくまとめます。運用を始めたら、メニューごとの利用の状況を確かめ、年に1回は見直します。見直しのときは、利用の多さだけでなく、手順1で決めた目的に役立っているかもあわせて確かめます。

メニュー設計で確かめたい点

メニューの選び方で、制度が使われるかどうかが決まります。メニューを決める前に、次の点を確かめます。

  • 社員の年齢や家族の状況、働き方(在宅勤務、交代勤務など)に合っているか
  • 特定の社員だけが使えるメニューに偏っていないか
  • メニューごとの課税・非課税の扱いを整理したか
  • 使える店舗や施設が、社員の住む地域や勤務地から使いやすいか
  • 申請の手続きが簡単で、スマートフォンなどから手軽に使えるか
  • 会社として力を入れたいテーマ(健康、学び、育児など)が入っているか

身だしなみや健康に関するメニューを入れる場合は、効果を約束するような案内をしないように注意します。社員に案内するときは、サービスの内容と使い方、費用の負担の方法を中心に伝えます。

利用を増やすための周知の工夫

制度を作っても、社員が知らなければ使われません。導入した直後だけでなく、年間を通じて案内を続けることが大切です。

  • 入社時の説明で、制度の内容とポイントの使い方を伝える
  • ポイントの有効期限が近づいたら、残りのポイントを知らせる
  • よく使われているメニューや、新しく加えたメニューを社内で紹介する
  • 使いにくかった点を、アンケートなどで定期的に聞く

利用の状況は、メニューごとに集計しておくと見直しに役立ちます。ほとんど使われないメニューは入れ替え、希望の多い分野のメニューを増やします。

中小企業がカフェテリアプランを検討するときの考え方

カフェテリアプランは、大きな会社の仕組みという印象を持たれがちです。中小企業が検討する場合は、次の点を考えます。

  • 社員の数が少ないうちは、メニューを絞って始める
  • 運用の手間がかかる部分(ポイントの管理や精算)は、外部のサービスを使うことも検討する
  • 課税になるメニューが多くなりすぎないようにする
  • まずは、社員の希望が多い分野の福利厚生を一つ加え、反応を見る

カフェテリアプランという形にこだわらず、社員の希望が多いメニューを個別に用意する方法もあります。たとえば、旅行の希望が多い会社なら、旅行に特化した福利厚生サービスを使う方法があります。ツナグバ掲載の旅行と組み合わせた福利厚生サービスは、社員が旅行や宿泊を割安に利用できる、旅行に特化した福利厚生サービスです。

カフェテリアプランを導入しなくてよいケース

  • 社員が数人で、全員の希望を直接聞いて対応できる
  • 社員の希望がほぼそろっていて、選べる仕組みがなくても満足が得られる
  • ポイントの管理や税務の確認に、担当者の時間をとれない

こうした場合は、希望の多いメニューを一つずつ加えるほうが、手間と費用を抑えやすくなります。

あわせて読みたい

ツナグバで、福利厚生のサービスを比べる

ツナグバは、法人向けサービスを無料で探し、複数のサービスの資料をまとめて請求できるサイトです。

福利厚生の分野では、社員が旅行や宿泊を割安に利用できる、旅行に特化した福利厚生サービスを掲載しています。社員の満足度を高めたい企業に向けたサービスです。

あわせて、社員が利用できるセルフホワイトニングのサービスも掲載しています。福利厚生のメニューの一つとして導入できるもので、メニューを増やしたい企業が検討できます。

福利厚生のメニューを増やしたい会社は、資料で内容と費用の負担の方法を確かめてください。

旅行と組み合わせた福利厚生サービス

こんな課題に向いています。

  • 福利厚生を増やしたいが、社員がどれを使うか分からず決められない
  • 旅行の補助を独自に作ろうとすると、手続きや管理に手が回らない
  • 社員の満足度を高めたいが、費用に見合うかが心配で踏み出せない

主な特徴は次のとおりです。

  • 旅行や宿泊を割安に使える:社員が旅行や宿泊を割引の価格などで利用できる仕組みです。対象となる施設や割引の内容は製品によって違うため、資料で確認してください。
  • 会社で制度を作る手間を抑えられる:予約や割引の仕組みはサービス側が用意する形が一般的です。会社が独自に制度を作るより、管理の手間を抑えられます。
  • 社員の家族と使える場合がある:家族での旅行に使えるサービスもあります。家族の利用範囲は製品によって違うため、事前に確認してください。

資料で確かめたいことの例です。

  • 会社が払う費用と、社員が払う費用の内訳
  • 対象となる施設や地域の範囲
  • 社員と家族が使える範囲

このサービスの詳細を見る

セルフホワイトニングを使った福利厚生サービス

こんな課題に向いています。

  • 福利厚生のメニューが少なく、社員から物足りないと言われている
  • 既存の福利厚生が一部の社員にしか使われていない
  • 採用の場面で、福利厚生として伝えられる特徴がない

主な特徴は次のとおりです。

  • 身だしなみのケアを福利厚生に加えられる:歯の見た目のケアに関心がある社員に向けて、新しいメニューとして用意できます。仕事で人と会う機会が多い社員にも案内しやすい内容です。
  • 社員が自分の都合に合わせて使える:店舗型や持ち帰り型など、利用の形は製品によって違います。勤務時間との兼ね合いを考えて選べます。
  • 会社の費用負担の方法を選べる場合がある:全額を会社が負担する方法や、一部を補助する方法などがあります。選べる形は製品によって違うため、資料で確認してください。

資料で確かめたいことの例です。

  • 会社と社員の費用負担の内訳と、利用1回あたりの費用
  • 利用できる場所や時間帯が、社員の働き方に合っているか
  • 利用前の注意事項や、体質に合わない場合の案内があるか

このサービスの詳細を見る

ほかの分野のサービスも見る

よくある質問

カフェテリアプランのポイントは、もらった時点で課税されますか?

国税庁の質疑応答事例では、原則として、ポイントを使ってサービスを受けたときに、そのサービスの内容で課税・非課税を判断するとしています。ただし、地位や報酬に比例して付与する場合や、換金できる場合は、すべてのメニューが課税の対象になります。

社員によってポイントの額を変えてもよいですか?

地位や報酬の額に比例してポイントを付与すると、すべてのメニューが課税の対象になるとされています。非課税の福利厚生として扱いたい場合は、全員に同じ基準で付与します。扱いに迷う場合は、税理士や税務署に確認してください。

使われなかったポイントは、どうなりますか?

会社が決めるルールによります。期限で失効させる方法や、翌年に繰り越せる方法があります。現金で精算できるようにすると、換金性があるとして制度全体が課税の対象になるため注意が必要です。

パートやアルバイトも対象にすべきですか?

対象者の範囲は会社が決めますが、短時間・有期雇用の社員との待遇の違いには、説明できる理由が必要です。法律で利用の機会を与えることが求められている福利厚生施設もあるため、対象者を決めるときは確認しておきます。

カフェテリアプランの導入には、どのくらいの費用がかかりますか?

社員に付与するポイントの額に加えて、外部のサービスを使う場合は運用の費用がかかります。費用は社員の数やメニューの数、任せる範囲によって変わり、公的な相場はありません。複数のサービスの資料で、条件をそろえて比べてください。

参考資料