顧客が自社の商品やサービスをどう感じているのかを知りたい。解約や離反の理由をつかみたい。そうした目的で、顧客満足度調査を検討する企業は多くあります。

ただ、調査の方法は一つではありません。目的に合わない方法を選ぶと、手間をかけても使える結果が得られません。この記事では、顧客満足度調査の指標と手法の選び方、進め方、質問例、分析のやり方、よくある失敗までを順に解説します。

顧客満足度調査とは

顧客満足度調査は、顧客が商品やサービス、対応の質にどの程度満足しているかを調べるものです。CS調査とも呼ばれます。CSは英語の「Customer Satisfaction」の略です。

調査の目的は、大きく3つに分かれます。1つ目は、改善すべき点を見つけることです。2つ目は、施策の前後で満足度がどう変わったかを確かめることです。3つ目は、不満を持つ顧客を早めに見つけ、離反を防ぐことです。

会社の想定と顧客の実際の評価は、ずれていることがあります。「価格が高いから選ばれない」と思っていたら、実は「問い合わせの返事が遅い」ことが不満の中心だった、というのはよくある例です。調査は、そのずれを埋めるための手段です。

総務省統計局の学習サイトでも、顧客の満足な点と不満な点を把握し、どの不満から優先的に対応するかを判断する材料を得るために行われるのが顧客満足度調査だと説明されています(出典:総務省統計局「なるほど統計学園 顧客満足度の把握」)。

BtoBとBtoCでの違い

個人向けの商品では、顧客の数が多く、Webアンケートで多くの回答を集める方法が向いています。法人向けのサービスでは、顧客の数が限られる一方、1社あたりの取引が大きくなります。そのため、少ない回答でも深く聞けるインタビューを組み合わせる方法がよく使われます。

法人向けの場合は、誰に聞くかも大切です。契約を決めた担当者と、実際にサービスを使う現場の人とでは、満足している点も不満も異なることがあります。

顧客満足度を測る主な指標

調査を始める前に、何を数字で追うかを決めます。よく使われる指標は次のとおりです。

顧客満足度を測る4つの指標(CSAT、NPS、CES、総合満足度と個別満足度)の特徴を比べた図
指標聞き方の例分かること向いている場面
CSAT(顧客満足度)今回のサービスにどの程度満足しましたか(5段階など)特定の商品や対応への満足の度合い購入直後、サポート対応の後
NPS(推奨度)この商品を親しい人にどの程度勧めたいですか(0〜10の11段階)会社や商品への総合的な好意の度合い定期的な関係の確認
CES(顧客努力指標)手続きはどの程度簡単でしたか手続きや問い合わせの負担の大きさ申し込み、解約、問い合わせの後
総合満足度と個別満足度全体の満足度と、価格・品質・対応などの項目ごとの満足度どの項目が全体の満足に影響しているか改善の優先順位を決めたいとき

NPSは、9〜10を付けた人の割合から、0〜6を付けた人の割合を引いて計算します。指標は一つに絞る必要はありません。ただ、毎回同じ聞き方で続けないと比べられないため、最初に決めた指標を変えないことが大切です。

業種をまたいだ比較としては、公益財団法人日本生産性本部が「JCSI(日本版顧客満足度指数)」として、約40業種の顧客満足度を調べています(出典:公益財団法人日本生産性本部「顧客満足度調査(JCSI)」)。自社の業種が含まれていれば、自社の数字を読むときの参考になります。

顧客満足度調査の方法の種類

調査の方法は、数を集めて傾向を見る「定量調査」と、少数に深く聞いて理由を探る「定性調査」に分かれます。主な方法を比べます。

方法種類長所短所
Webアンケート(メールやサイトで案内)定量費用を抑えて多くの回答を集めやすい回答する人が偏りやすい
購入や対応の直後に自動で送るアンケート定量記憶が新しいうちに聞ける送りすぎると負担になる
店頭や会場での紙のアンケート定量その場の体験について聞ける集計に手間がかかる
電話での聞き取り定量・定性回答の理由まで聞ける人手と時間がかかる
インタビュー(対面・オンライン)定性不満の背景や言葉にしにくい要望が分かる人数が限られ、全体の傾向は分かりにくい
口コミや問い合わせ内容の分析定性顧客が自分から発した声を拾える声を上げない顧客の意見は分からない

方法を選ぶ判断基準

  1. 知りたいことが「どのくらい」か「なぜ」か:割合や傾向なら定量、理由なら定性
  2. 顧客の数:数百人以上なら定量が向き、数十社ならインタビューを組み合わせる
  3. 連絡の手段:メールアドレスがあるか、電話がつながるか、来店があるか
  4. 社内の手間:集計や聞き取りに割ける人と時間はどのくらいか
  5. 続けやすさ:毎年、または毎回同じ方法で実施できるか

迷う場合は、Webアンケートで全体の傾向をつかみ、気になる回答をした顧客の一部にインタビューする組み合わせが使いやすい方法です。

顧客満足度調査の進め方

1. 目的と仮説を決める

「解約の理由を知りたい」「新しいサポート体制の評価を確かめたい」など、調査の目的を一つに絞ります。あわせて、「おそらく問い合わせの対応に不満があるのではないか」といった仮説を立てると、聞くべきことが絞れます。

2. 対象者とタイミングを決める

新規の顧客か、長く使っている顧客か、解約した顧客かで、聞ける内容は変わります。タイミングも大切です。購入直後、利用開始から1か月後、問い合わせの対応後など、顧客との接点に合わせて送ると、具体的な回答が集まりやすくなります。

3. 方法と指標を決める

先ほどの判断基準をもとに、調査の方法と、追いかける指標を決めます。前回と比べたい場合は、同じ方法と同じ聞き方を続けます。

4. 調査票をつくる

最初に総合的な満足度を聞き、次に項目ごとの満足度、最後に自由記述を置く順番が答えやすい構成です。Webアンケートなら、スマートフォンで5分ほどで答えられる量に収めます。質問の作り方は次の章で解説します。

5. 実施する

案内文では、調査の目的、所要時間、回答の期限、回答の使い道を伝えます。回答期間は1〜2週間ほどが一般的です。期限の数日前に一度だけ案内を送り直すと、回答が集まりやすくなります。

6. 集計・分析する

全体の傾向を見たうえで、顧客の種類ごとの違いや、総合満足度に影響している項目を探します。分析の方法は後の章で紹介します。

7. 改善し、顧客と社内に伝える

改善の取り組みを決めたら、担当と期限を決めます。強い不満を書いた顧客には、できるだけ早く連絡を取ります。改善した内容をお知らせなどで顧客に伝えると、「声を聞いてくれる会社」という印象につながり、次の調査にも協力してもらいやすくなります。

質問の作り方と質問例

質問づくりの基本

  • 1つの質問で1つのことだけを聞く。「価格と品質に満足していますか」は2つに分ける
  • 社内の用語や業界の専門用語を使わない
  • 「とても良い対応でしたか」のように、答えを誘導する聞き方をしない
  • 回答の選択肢は、良い方と悪い方が同じ数になるようにする
  • 自由記述は1〜2問に絞り、必須にしない

質問例

分野質問の例回答の形式
総合当社のサービス全体にどの程度満足していますか5段階
推奨当社のサービスを親しい人や取引先にどの程度勧めたいですか0〜10の11段階
品質商品やサービスの品質にどの程度満足していますか5段階
価格価格は内容に見合っていると感じますか5段階
対応問い合わせへの返答の早さにどの程度満足していますか5段階
手続き申し込みの手続きはどの程度簡単でしたか5段階
継続今後も当社のサービスを使い続けたいと思いますか5段階
理由上の評価の理由を教えてください自由記述
要望改善してほしい点があれば教えてください自由記述

このほか、利用の頻度、使っている機能、契約の期間などを聞いておくと、顧客の種類ごとの違いを分析できます。法人向けの場合は、回答者の役割(決裁者か、現場の利用者か)を聞くと、立場による評価の違いが見えてきます。

結果の分析方法

集計した結果は、全体の平均を見るだけでは次の打ち手が決まりません。改善の優先順位を決める代表的な方法が、CSポートフォリオ分析です。

CSポートフォリオ分析で重要度と満足度の高低により項目を4つの区分に分ける考え方を示した図

CSポートフォリオ分析で優先順位を決める

総務省統計局の学習サイト「なるほど統計学園」では、顧客満足度を把握する方法として、CSポートフォリオ分析が紹介されています(出典:総務省統計局「なるほど統計学園 顧客満足度の把握」)。総合満足度と、項目ごとの満足度を聞いたうえで、2つの数字を使って項目を整理する方法です。

  1. 項目ごとの満足度の平均を出し、縦軸にとる
  2. 総合満足度と各項目の満足度の相関係数を出し、「重要度」として横軸にとる
  3. 各項目を図に置き、4つの区分に分ける
  4. 重要度が高いのに満足度が低い項目を、最優先で改善する

この方法を使うと、「満足度が低い項目」の中でも、全体の満足に強く影響しているものから手を付けられます。表計算ソフトでも計算できます。

4つの区分のうち、どこから手を付けるべきかについて、統計局の解説は次のように述べています。

右下のエリア(第4象限)は、重要度が高いのにも関わらず、顧客の満足度は低いエリアであることから、ここに属する項目は、最優先に改善すべき項目と判断することができます。

出典:総務省統計局「なるほど統計学園 顧客満足度の把握」

一方、重要度も満足度も高い項目は、強みとして維持し強化すべき項目とされています。改善点だけでなく、顧客に選ばれている理由が分かる点もこの分析の利点です。同じ考え方は、熊本県の統計調査課の資料でも紹介されています(出典:熊本県 統計調査課「顧客満足度の把握」(総務省統計局「なるほど統計学園」より抜粋))。

顧客の種類ごとに比べる

全体の平均だけを見ると、課題が埋もれることがあります。新規と既存、利用頻度の高い顧客と低い顧客、業種や規模などで分けて比べると、特定の層に偏った不満が見えてきます。

自由記述と数字をつなげて読む

自由記述は、内容ごとに分類して件数を数えます。そのうえで、低い評価を付けた顧客がどんな理由を書いているかを読むと、数字の背景が分かります。具体的な言葉は、社内で改善を進める際の説得材料にもなります。

よくある失敗と注意点

調査は、やり方を誤ると実態とずれた結果になったり、顧客の信頼を損ねたりします。よくある失敗に加えて、個人情報と謝礼のルールも確認しておきます。謝礼を用意する場合は、景品表示法の景品規制に照らして確認します(出典:消費者庁「景品規制の概要」)。

景品表示法にもとづく総付景品と一般懸賞の景品類の限度額をまとめた表

よくある失敗

  • 質問が多すぎて、途中でやめる人が増える
  • 満足している顧客にだけ送ってしまい、結果が実際より良く見える
  • 毎回聞き方を変えてしまい、前回と比べられない
  • 不満を書いた顧客に何の連絡もしない
  • 結果を報告書にまとめて終わり、改善の担当が決まらない

個人情報の扱い

顧客のメールアドレスなどを使って調査を案内する場合は、個人情報保護法のルールに沿って扱います。個人情報は、取得の際に特定・通知した利用目的の範囲で使うのが原則です(出典:e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」第17条・第21条)。調査に使うことが利用目的に含まれているか、プライバシーポリシーなどで確かめておきます。外部の会社に調査を任せる場合は、委託先の管理体制も確認します。個人情報保護法は、個人データの取扱いを委託する場合、委託先に対して必要かつ適切な監督を行うよう求めています(出典:e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」第25条)。

利用目的の範囲について、法律は次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。

出典:e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」第18条第1項

たとえば、商品の発送のためとだけ示して取得したメールアドレスを調査の案内に使う場合は、利用目的に含まれるかを確かめます。含まれない場合は、本人の同意を得る方法などを検討します。具体的な考え方は、個人情報保護委員会のガイドラインで確認できます(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」)。

大がかりな調査を急がなくてよいケース

  • 顧客が数社しかなく、担当者が直接話を聞ける
  • 問い合わせやクレームの記録を、まだ整理していない
  • 結果を受けて改善に動ける体制がない

この場合は、まず手元にある問い合わせの記録を分類したり、主要な顧客に直接話を聞いたりする方が早く課題をつかめます。顧客の数が増えて、直接聞くのが難しくなった段階で、アンケートを取り入れる方法もあります。

実施前のチェックリスト

  • 調査の目的と仮説を一文で書ける
  • 対象者を偏りなく選んだ(満足している顧客だけになっていない)
  • 追いかける指標と聞き方を決め、次回も同じにする
  • スマートフォンで5分ほどで答えられる量に収めた
  • 誘導的な質問や、1問で2つを聞く質問がない
  • 個人情報の利用目的に調査が含まれているか確認した
  • 強い不満が書かれたときに、誰が連絡するかを決めた
  • 改善の担当者と、結果を社内で共有する日を決めた

自社で行うか、外部に任せるか

顧客満足度調査は、無料のフォーム作成ツールを使えば自社でも始められます。一方で、調査票の設計や分析に慣れた人がいない場合は、外部のサービスを使う方が結果を活かしやすくなります。

進め方向いているケース費用の考え方
自社で無料ツールを使うまず小さく試したい、質問が少ないツール代はほぼかからないが、設計・集計に社内の時間がかかる
アンケートの専用ツールを使う定期的に実施し、推移を追いたい回答数や機能に応じた月額・年額が多い
設計から分析まで外部に任せる分析できる人がいない、第三者の視点がほしい対象者数、調査の方法、報告の内容で変わる

料金は提供会社や調査の内容で大きく変わるため、見積もりは同じ条件でそろえて比べます。対象者の数、インタビューの有無、報告書の形式、改善策の提案まで含むかどうかを確かめておくと、比べやすくなります。

顧客の声と社員の声は、つながっていることが少なくありません。厚生労働省の「令和元年版 労働経済の分析」でも、ワーク・エンゲイジメントと顧客満足度に正の相関がみられると分析されています(出典:厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析」)。対応する社員の働きやすさが、顧客への対応の質に表れることもあります。両方をあわせて見たい場合は、顧客と従業員へのアンケートを集めて分析し、満足度や改善点を見える化するサービスを使う方法もあります。

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ツナグバは、法人向けサービスの資料を無料でまとめて請求できるサイトです。気になるサービスを選ぶと、資料を一度に取り寄せられます。

調査の分野では、顧客や従業員へのアンケートを集めて分析し、満足度や改善点を見える化するサービスを掲載しています。顧客満足と従業員満足を高めたい企業に向けたサービスです。調査の進め方や報告の形を、資料で確かめてみてください。

こんな課題があれば

  • お客様の不満が、解約やクレームになってから初めて分かっている
  • 社員の満足度を聞く機会がなく、退職の理由を後から知ることが多い
  • アンケートを取っても集計に手間がかかり、結果を改善に生かせていない

掲載サービスでできること

  • アンケートの作成から回収までをまとめて行える:質問の作成、配信、回答の回収を一つの仕組みで行えます。紙や手作業の集計に比べて、回収後の手間を抑えられます。
  • 結果をグラフなどで見える化できる:回答結果を、部署別や時期別などに分けて見られます。どのような分析ができるかは製品によって違うため、資料で確認してください。
  • 改善点を見つける材料になる:満足度の変化や、不満の多い項目を把握できます。何から手を付けるかを社内で話し合う材料として使えます。

資料で確かめたいこと

  • 顧客向けと従業員向けのどちらに使えるか、両方使えるか
  • 質問を自社で自由に作れるか、決まった設問を使うのか
  • 匿名で回答できる仕組みがあるか
  • 回答者数や配信回数による料金の違い
  • 結果の読み方や改善の進め方を相談できるか

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よくある質問

回答は何件あれば十分ですか

目的によって変わります。全体の傾向を見るなら、ある程度まとまった数があると安定した結果になります。顧客の種類ごとに比べたい場合は、それぞれの区分で回答が集まるようにします。数が集まりにくい法人向けのサービスでは、インタビューで理由を深く聞く方法を組み合わせます。

回答のお礼に謝礼を出してもよいですか

回答率を上げるために、ポイントやクーポンなどの謝礼を用意する方法はあります。ただし、謝礼が目的の回答が増えると、内容が雑になることもあります。金額は控えめにし、景品に関するルールにも注意します。景品表示法の景品規制では、懸賞によらずもれなく提供する「総付景品」の最高額は、取引価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2とされています(出典:消費者庁「景品規制の概要」)。謝礼が景品類に当たるかどうかは提供の条件によって変わるため、迷う場合は消費者庁の資料で確認します。

どのくらいの頻度で行えばよいですか

全体の満足度を見る調査は年1回が一般的です。購入や問い合わせのたびに送る短いアンケートは、送りすぎると負担になります。同じ顧客に届く回数に上限を設けるなど、配慮が必要です。

NPSとCSATはどちらを使えばよいですか

特定の購入や対応の満足度を知りたいならCSAT、会社や商品との関係を総合的に見たいならNPSが向いています。両方を聞き、場面に応じて使い分ける企業もあります。

参考資料