評価の時期が近づくと、面談で何を話せばよいか迷う管理職は少なくありません。評価の結果を伝えるだけで終わってしまう。部下の自己評価と上司の評価が大きく違い、話がかみ合わない。こうした悩みは、面談の目的と進め方が共有されていないことから生まれます。
評価面談は、評価の結果を伝える場であると同時に、部下の成長と次の仕事につなげるための話し合いの場です。準備と進め方を少し変えるだけで、面談の手応えは大きく変わります。
この記事では、評価面談の進め方を、面談の種類、事前の準備、当日の流れ、評価の伝え方、納得してもらえないときの対応の順に整理します。
国の人事評価で使われている面談の考え方も参考にしながら、中小企業で取り入れやすい形にまとめました。面談の前の確認に使ってください。
評価面談とは|期首・期中・期末の3つの面談
評価面談は、上司と部下が1対1で、評価の期間の目標や結果について話し合う面談です。評価の期間の始め、途中、終わりに行うのが一般的で、それぞれ役割が違います。
国家公務員の人事評価では、期首と期末に面談を行う仕組みが定められています。内閣人事局と人事院のマニュアルは、期首面談の目的を、評価期間中の業務上の目標などを明確にして、評価者と被評価者の認識の共有化を図ることとしています(出典:内閣人事局・人事院「人事評価マニュアル」)。
期末面談については、評価結果とその根拠となる事実に基づく指導・助言を通じて、職員の能力開発やスキルアップを図り、組織のパフォーマンスの向上につなげることが目的とされています(出典:内閣人事局・人事院「人事評価マニュアル」)。

| 種類 | 時期 | 目的 | 主に話すこと |
|---|---|---|---|
| 期首面談 | 評価期間の始め | 目標を明確にし、認識をそろえる | 今期の目標、達成の基準、期待する役割 |
| 期中の面談 | 評価期間の途中 | 進み具合を確かめ、軌道を直す | 進捗、困っていること、目標の見直し |
| 期末面談 | 評価期間の終わり | 結果と根拠を伝え、次につなげる | 自己評価、評価結果と根拠、来期の課題 |
「評価面談」というと期末の面談を指すことが多いですが、期末の面談がうまくいくかどうかは、期首にどれだけ目標と基準をそろえておけたかで決まります。期首に目標があいまいなままだと、期末に何を基準に評価したのかを説明できません。
人事院は、人事評価を、職員が職務を遂行するにあたり発揮した能力と挙げた業績を把握したうえで行われる勤務成績の評価と説明しています(出典:人事院「人事評価と評価結果の活用」)。能力と業績のどちらを、どのように見るのかを、期首の時点で伝えておくことが大切です。
評価面談の目的|処遇を決めるためだけではない
評価面談の目的を、給与や賞与を決めるための手続きと考えると、面談は結果を伝えるだけの場になりがちです。内閣人事局の面談ガイドラインは、人事評価の意義について次のように述べています。
人事評価は、処遇への活用のみでなく、人材の育成・組織パフォーマンス向上に大きく寄与するものです
出典:内閣人事局「面談ガイドライン」
同じガイドラインは、期末面談では評価結果を素材として、被評価者の更なる成長のため、今後の行動などの改善や意欲の向上を図るよう努めることを求めています(出典:内閣人事局「面談ガイドライン」)。
中小企業の評価面談でも、目的は次の3つに整理できます。
- 評価の結果と根拠を伝え、処遇への納得感を高める
- 強みと課題を確かめ、次の期間の成長につなげる
- 本人の考えや困っていることを聞き、仕事の進め方や配置を見直す材料にする
面談の時間の多くを、結果の説明ではなく、次の期間に向けた話し合いに使うことを意識すると、面談の手応えが変わります。
評価面談の前の準備
評価面談の質は、準備でほぼ決まります。面談の前に、次の準備を済ませておきます。
期首に決めた目標を見直す
期首に合意した目標と、達成の基準を読み直します。期の途中で目標を変えた場合は、変えた理由と時期も確かめておきます。
面談ガイドラインは、期首面談の前に、提出された今期の目標を4つの観点から事前に確認することを示しています(出典:内閣人事局「面談ガイドライン」)。期末の評価で困らないよう、期首の時点で、目標が具体的で、達成したかどうかを判断できる形になっているかを確かめておくことが大切です。
本人に自己評価を書いてもらう
面談の前に、本人に自己評価を書いてもらいます。国家公務員の人事評価でも、自らの行動や業務の達成状況などを振り返る機会として、自己申告を行うとされています(出典:内閣人事局・人事院「人事評価マニュアル」)。
上司は、自己評価を面談の前に読み、自分の評価とどこが同じで、どこが違うかを確かめておきます。違いが大きい項目は、面談で時間をかけて話す必要があります。
評価の根拠となる事実を書き出す
評価の理由を説明するために、期間中の具体的な出来事や数字を書き出します。「よく頑張った」「もう少し主体性がほしい」といった印象ではなく、いつ、どの仕事で、どんな行動があったかを書き出すことが大切です。
期の途中から記録を残しておくと、期末の直前の出来事だけで評価してしまうことを防げます。
評価の基準をそろえる
評価の基準があいまいだと、上司によって評価が変わり、面談で説明しにくくなります。厚生労働省の職業能力評価基準は、仕事をこなすために必要な知識と技術・技能に加え、成果につながる職務行動例を、業種別、職種・職務別に整理したものです(出典:厚生労働省「職業能力評価基準」)。人材育成や人事評価などに活用できるとされており、自社の基準をつくるときの参考になります。
評価面談の進め方|当日の流れ
当日は、話す順番を決めておくと、面談がぶれにくくなります。期末の評価面談は、次の流れで進めるのが基本です。

1. 面談の目的と流れを伝える
最初に、面談の目的と、今日話すことの順番を伝えます。時間の見通しがあると、部下も話しやすくなります。
2. 本人の自己評価を聞く
上司の評価を伝える前に、本人の振り返りを聞きます。面談ガイドラインは、傾聴の姿勢について次のように示しています。
被評価者が話し始めたら、途中で口を挟むことのないよう、被評価者の話をよく聞きます
出典:内閣人事局「面談ガイドライン」
本人がうまくいったと考えていること、うまくいかなかったと考えていること、その理由を聞きます。上司が知らなかった事情や工夫が分かることもあります。
3. 評価の結果と根拠を伝える
次に、上司の評価と、その根拠を伝えます。面談ガイドラインは、評価結果の伝え方について次のように述べています。
具体的な「秀でている点(強み)や改善点(弱み)」を事実に即して示し、来期・将来に向けてどのようなところを伸ばすべきかや伸ばすためのヒントをしっかりフィードバックし、被評価者の成長を支援します
出典:内閣人事局「面談ガイドライン」
強みを先に伝え、改善点は1〜2つに絞ると、受け止めやすくなります。どちらも、準備の段階で書き出した事実をもとに伝えます。
4. 原因を一緒に考える
目標を達成できなかった項目は、結果だけを取り上げるのではなく、なぜそうなったのかを一緒に考えます。面談ガイドラインも、結果の良し悪しよりも原因に目を向け、プロセスを十分に分析して話し合うよう求めています(出典:内閣人事局「面談ガイドライン」)。
原因が本人の行動にあるのか、仕事の割り振りや時期、ほかの部署との連携など、本人だけでは変えられないことにあるのかを分けて考えます。後者であれば、上司や会社が直すべきことです。
5. 次の期間の目標と行動を合意する
最後に、次の期間に伸ばすことと、そのための具体的な行動を決めます。「頑張る」ではなく、「月に1回、顧客への提案書を自分で作る」のように、行動の形で決めると、次の期首面談につなげやすくなります。
面談の内容は、その日のうちに記録し、本人と共有しておきます。
評価の伝え方で気をつけたいこと
評価面談では、伝え方を誤ると、部下の意欲を下げたり、関係を損ねたりすることがあります。次の点に気をつけます。
| 避けたい伝え方 | 言い換えの例 |
|---|---|
| 「全体的に物足りない」 | 「3つの目標のうち、2つ目の提案件数が基準に届かなかった」 |
| 「もっと主体的に動いてほしい」 | 「会議で決まった作業を、担当を決める前に自分から引き受けてほしい」 |
| 「ほかの人はできている」 | 「この作業は、次の期にこの手順で進めてほしい」 |
| 評価だけ伝えて終わる | 評価の根拠と、次に何をすればよいかを合わせて伝える |
人格や性格を否定する言い方は避けます。職場のパワーハラスメントの防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることは事業主の義務とされ、中小企業の事業主にも2022年4月1日から義務化されています(出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」)。
同じページでは、職場のパワーハラスメントの典型例として6つの類型が整理されています(出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」)。評価面談は1対1で行うため、話し方が強くなりすぎていないかを、面談の前に意識しておくことが大切です。
評価のぶれを防ぐ|評価者が陥りやすい傾向
面談で評価の根拠を説明できるようにするには、評価そのもののぶれを減らしておく必要があります。評価をする人には、次のような傾向が出やすいとされています。
| 傾向 | 起きやすいこと | 防ぎ方の例 |
|---|---|---|
| 一つの印象に引きずられる | 目立つ長所や短所が、ほかの項目の評価にも影響する | 項目ごとに、別々の事実を根拠にする |
| 甘くなる・厳しくなる | 全員の評価が高め、または低めに偏る | 段階ごとの基準の例を、評価者の間でそろえる |
| 真ん中に集まる | 差をつけるのを避け、多くの人を中間の評価にする | 中間の評価にした理由も、事実で説明できるか確かめる |
| 直前の出来事に引きずられる | 評価期間の終わりごろの出来事だけで評価する | 期の途中から、事実の記録を残しておく |
こうした傾向は、評価をする人の性格の問題ではなく、誰にでも起こりうるものです。評価者が複数いる会社では、評価の前に同じ事例を全員で評価してみて、評価のずれを話し合う場を設けると、基準がそろいやすくなります。
評価の結果を確定する前に、評価者の上司や人事の担当者が全体を見て、極端な偏りがないかを確かめる仕組みも有効です。
評価に納得してもらえないとき
自己評価と上司の評価が大きく違うと、部下が評価に納得しないことがあります。その場で説得しようとすると、話し合いが平行線になりがちです。
次の順番で対応すると、落ち着いて話を進めやすくなります。
- 本人がなぜそう評価したのか、理由を最後まで聞く
- 上司が評価の根拠とした事実を、改めて示す
- 事実の受け止め方の違いなのか、基準の理解の違いなのかを確かめる
- 上司が知らなかった事実があれば、評価を見直すかどうかを検討する
- その場で結論が出ない場合は、日を改めて話す時間を設ける
上司が知らなかった事情が出てきた場合は、評価を見直す余地を残しておくことも大切です。評価の結果について、上司以外に相談できる窓口を社内に設けておくと、本人も安心して意見を伝えられます。
オンラインで評価面談を行うときの注意点
在宅勤務の社員と、オンラインで評価面談を行う会社も増えています。オンラインでは、表情や雰囲気が伝わりにくく、行き違いが起きやすくなります。
厚生労働省のテレワークのガイドラインは、働き方が変化する中でも、労働者や企業の状況に応じた適切なコミュニケーションを促進するための取組を行うことが望ましいとしています(出典:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」)。
オンラインで面談を行うときは、次の点に気をつけます。
- 通信の環境を事前に確かめ、途中で切れたときの連絡方法を決めておく
- カメラをつけ、相づちや確認の言葉を対面より多めにする
- 評価シートや目標を画面で共有し、同じ資料を見ながら話す
- 周りに人がいない場所で参加してもらい、話の内容が漏れないようにする
在宅勤務の社員は、仕事ぶりを直接見る機会が少なくなります。期の途中で短い面談を重ね、事実の記録を残しておくことが、期末の評価面談の準備にもなります。
評価面談の前のチェックリスト
最後に、評価面談の前に確かめておきたい項目をまとめます。

- 期首に決めた目標を見直した
- 評価の根拠となる事実を書き出した
- 本人の自己評価を事前に読んだ
- 強みと改善点を1〜2個に絞った
- 来期に期待することを決めた
- 個室など話しやすい場所を用意した
- 時間に余裕を持たせた
- 話すときの言葉づかいを確かめた
評価面談がうまくいかない原因が、面談の進め方ではなく、評価の制度そのものにあることもあります。評価の基準が仕事の内容と合っていない、評価の結果が処遇にどう反映されるかが説明されていない、といった場合は、面談の工夫だけでは解決しにくいものです。
社員が少なく、社長が全員の仕事ぶりを直接見ている会社では、まず期首の目標の合意と、期末の振り返りの面談を自社で始めるだけでも十分なことがあります。評価の基準づくりや、面談を担う管理職の育成まで含めて見直したい場合に、外部の支援を検討するとよいでしょう。
評価の基準づくりから運用の定着までを相談したい場合は、ツナグバ掲載の中小企業向けの人事評価制度づくりの支援も比較の候補になります。
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支援の範囲や料金は、資料で確認できます。資料を取り寄せ、自社の規模と課題に合うかを確かめてください。
こんな課題があれば
- 評価の基準がなく、社長や上司の感覚で昇給や賞与を決めている
- 社員から評価の理由を聞かれても、うまく説明できない
- 評価シートを作ったものの、忙しさに追われて運用が止まっている
掲載サービスでできること
- 会社の規模や業種に合わせて基準を作る:大企業の制度をそのまま当てはめず、自社の仕事内容に合った評価項目を一緒に考えます。社員が納得しやすい基準づくりを目指します。
- 評価と給与・等級のつながりを整理する:評価の結果を、昇給や賞与、役職にどう反映するかを整理します。ルールが見えることで、社員への説明がしやすくなります。
- 運用の定着まで伴走する支援が多い:この種のサービスは、制度を作ったあとの評価面談や見直しまで支援するものが一般的です。支援の範囲は製品によって違うため、資料で確認してください。
資料で確かめたいこと
- 制度設計だけか、運用の定着まで支援してもらえるか
- 費用の内訳(設計費、月額の支援費、追加費用の有無)
- 評価者向けの研修や面談の練習が含まれるか
- 今の給与規程や就業規則との整合を見てもらえるか
- 契約期間と、途中で終了する場合の条件
よくある質問
評価面談は、1人あたりどれくらいの時間が必要ですか?
決まった時間はありませんが、自己評価を聞き、評価と根拠を伝え、次の目標を話し合うには、ある程度まとまった時間が必要です。
話す内容に対して時間が足りないと、結果を伝えるだけで終わりがちです。次の予定との間に余裕を持たせて設定してください。
評価面談で、給与や賞与の額まで伝えるべきですか?
会社の制度によって異なります。評価の結果と処遇の決定を別の場で伝える会社もあります。
どちらの場合も、評価の結果が処遇にどう反映されるかの考え方は、あらかじめ説明しておくと、面談での行き違いを減らせます。
部下が面談で何も話してくれません。どうすればよいですか?
「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、「この期間で一番手応えがあった仕事は何ですか」のように、考えを話してもらう質問から始めます。
自己評価を事前に書いてもらい、その内容をもとに質問すると、話を引き出しやすくなります。
期中の面談は必要ですか?
制度で定められていなくても、期の途中で短い面談を行うことをおすすめします。目標の進み具合や困っていることを早めに確かめられ、期末の評価で大きな食い違いが起きにくくなります。
面談の記録は、どのように残せばよいですか?
話し合った内容、本人の意見、合意した次の目標と行動を、面談の当日に記録します。
記録は本人と共有し、内容に食い違いがないかを確かめておくと、次の期首面談や期中の面談で振り返りやすくなります。
