「新しいお客様が増えない」「一度来たお客様が戻ってこない」。店舗を運営していると、集客の悩みは尽きません。

店舗の集客には、地図検索やSNSなどのオンラインの方法と、チラシや看板などのオフラインの方法があります。どれも一定の効果が期待できますが、すべてを同時に行うのは、人手も予算も限られる店舗には現実的ではありません。

この記事では、店舗集客の主な方法を12に整理し、客層と商圏に合わせた選び方、費用の考え方、法律上の注意点、効果の測り方を解説します。

「何から手をつけるか」を決めるための材料として使ってください。

店舗集客は「知ってもらう・来てもらう・また来てもらう」の3段階で考える

店舗の集客は、一つの方法で完結するものではありません。お客様が店を知り、来店し、また来店するまでの流れを、3つの段階に分けて考えると整理しやすくなります。

店舗集客を知ってもらう、来てもらう、また来てもらうの3段階で整理し、それぞれの主な方法を示した図

1. 知ってもらう(認知)

店の存在を知らない人に、店を見つけてもらう段階です。地図検索、SNS、チラシ、看板などが当てはまります。

2. 来てもらう(来店)

店を知った人が、実際に足を運ぶきっかけをつくる段階です。営業時間や場所が正しく伝わっているか、口コミで安心できるか、初回来店のきっかけがあるかが影響します。

3. また来てもらう(再来店)

一度来たお客様に、次の来店を促す段階です。会員の仕組み、メールやメッセージアプリでのお知らせ、接客の質が関わります。

集客に悩む店舗の多くは、1の「知ってもらう」ばかりに力を入れがちです。実際には、2や3の段階で取りこぼしていることも少なくありません。どの段階に課題があるかを先に見極めることが、方法を選ぶ出発点です。

店舗集客の方法12選

店舗集客の主な方法を、オンラインとオフラインに分けて整理します。

方法主な段階始めやすさ向いている店舗
地図検索の店舗情報の整備知ってもらう・来てもらう始めやすいほぼすべての店舗
口コミの管理と返信来てもらう始めやすい飲食・美容・医療など比較されやすい業種
SNSでの発信知ってもらう・また来てもらう始めやすいが継続が必要写真で魅力が伝わる業種
自社のWebサイト来てもらう準備が必要予約やメニューの説明が必要な店舗
予約・グルメなどのポータルサイト知ってもらう掲載費がかかることが多い新規客を多く必要とする店舗
ネット広告知ってもらう費用と運用の知識が必要短期間で認知を広げたい店舗
チラシ・ポスティング知ってもらう準備が必要商圏が狭く、地域の住民が主な客層
看板・店頭の表示知ってもらう・来てもらう一度つくれば続く人通りの多い立地
地域の情報誌・新聞知ってもらう掲載費がかかる年齢層の高い客層
紹介の仕組み来てもらう始めやすい常連客が多い店舗
イベント・体験会来てもらう準備が必要体験で価値が伝わる業種
会員・メール・メッセージでのお知らせまた来てもらう始めやすいが継続が必要来店の周期がある業種

オンラインの方法

オンラインの方法は、少ない費用から始められるものが多いのが特長です。

総務省の調査では、インターネット利用者のうちSNSを利用している人は令和7年に82.3%でした。インターネットの利用目的では、検索サービスの利用が77.5%にのぼります(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」)。店を探す人の多くが、まず検索や地図、SNSで情報を確かめると考えられます。

地図検索に出る店舗情報(営業時間、写真、メニュー、定休日)を正しく保つことは、費用をかけずにできる最初の一歩です。情報が古いままだと、せっかく見つけてもらっても来店につながりません。

口コミは、初めての来店を迷っている人の判断材料になります。低い評価にも丁寧に返信することで、店の姿勢が伝わります。

自社のWebサイトは、メニューや料金、予約の方法を詳しく伝えられる場所です。地図検索やSNSで店を知った人が、来店前に最後に確認する先になることもあります。

ポータルサイトは、店を探している人が多く集まる場所に掲載できる一方、掲載費がかかることが多く、近くの店と並べて比べられます。掲載の条件と、1来店あたりの費用を確かめてから判断します。

オフラインの方法

オフラインの方法は、商圏が狭い店舗や、インターネットをあまり使わない客層に届けたいときに力を発揮します。

チラシやポスティングは、配る範囲を店の周辺に絞れるのが利点です。看板や店頭の表示は、通りがかった人に「入ってみよう」と思ってもらうための入り口になります。

地域の情報誌や新聞は、年齢層の高い客層に届けやすい媒体です。イベントや体験会は、店の雰囲気や商品の価値を直接知ってもらえる機会になります。

常連客からの紹介は、信頼を伴うため来店につながりやすい方法です。紹介した人と紹介された人の両方に特典を用意する場合は、後で触れる景品の規制に注意します。

客層と商圏から方法を選ぶ

同じ方法でも、店舗の客層や商圏によって効果は変わります。方法を選ぶときは、次の3つの観点で考えます。

客層の年齢

SNSの利用率は年齢によって差があります。総務省の調査では、20〜29歳は93.1%、40〜49歳は91.3%、60〜69歳は78.3%、70〜79歳は67.9%でした(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」)。

年齢階層別のSNS利用率を示す棒グラフ。20から29歳は93.1%、70から79歳は67.9%

若い世代が中心の店舗ではSNSが有力な手段になります。年齢層の高い客層が中心の店舗では、SNSだけに頼らず、チラシや地域の情報誌、店頭の表示を組み合わせるほうが届きやすくなります。

商圏の広さ

徒歩や自転車で来る人が中心の店舗は、商圏が狭く、地図検索やチラシ、看板の効果が出やすくなります。車で遠くから来る人が多い店舗や、専門性の高い店舗は、Webサイトや口コミで比較されることが多くなります。

来店の動機

「近いから行く」店舗と、「わざわざ行く」店舗では、伝えるべきことが違います。前者は場所と営業時間、後者は他の店との違いや専門性を伝えることが重要です。

費用の考え方:1来店あたりで比べる

集客の方法を比べるときは、かかった費用を、それによって増えた来店数で割り、1来店あたりの費用で比べます。

たとえば、チラシの印刷と配布にかかった費用を、チラシを見て来店した人数で割れば、チラシの1来店あたりの費用が分かります。ポータルサイトの掲載費や、ネット広告の費用も同じように比べられます。

このとき、お店の人が使った時間も費用として考えます。SNSの投稿や口コミへの返信は、お金はかからなくても、毎日の時間を使います。複数の店舗がある場合は、店ごとの情報の更新や口コミの確認に、思った以上の時間がかかります。

また、一度来たお客様が何回来店してくれるかも重要です。新規客の獲得に費用がかかっても、再来店が多ければ回収できます。逆に、再来店が少ない店舗では、新規客を増やす前に、また来てもらう仕組みを見直すほうが効率的なことがあります。

集客で守るべき法律のルール

店舗の集客では、広告の表示、景品、メールの送り方などに法律のルールがあります。知らずに違反しないよう、基本を押さえておきます。

広告の表示(景品表示法)

商品やサービスの内容を実際より良く見せたり、価格や取引条件を実際より有利に見せたりする表示は、景品表示法で禁止されています。消費者庁は、有利誤認表示について次のように示しています。

取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示

出典:消費者庁「表示規制の概要」

「本日限り半額」と書きながら、実際は毎日同じ価格で売っている場合などが問題になりえます。内容についても、実際のものより著しく優良であると示す表示は優良誤認表示として禁止されています(出典:消費者庁「表示規制の概要」)。

口コミの依頼とステルスマーケティング

令和5年10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法違反となりました。消費者庁は、規制の対象について次のように説明しています。

景品表示法で規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです。

出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」

消費者庁は、広告には企業がインフルエンサーなどの第三者に依頼・指示するものも含まれ、SNS投稿やレビュー投稿なども対象になるとしています(出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)。お客様に口コミを依頼するときに、特典と引き換えに高い評価を書かせるといった方法は避けてください。口コミは、お客様が自由に書けるようにお願いするのが基本です。

来店特典や抽選(景品の規制)

来店した人全員に配る特典(総付景品)には、上限があります。消費者庁によると、取引価額が1,000円未満の場合は200円、1,000円以上の場合は取引価額の10分の2が景品類の最高額です(出典:消費者庁「景品規制の概要」)。

来店特典などの総付景品と抽選による一般懸賞の景品の最高額を整理した表

抽選で賞品を出す場合(一般懸賞)にも上限があり、取引価額が5,000円未満のときは取引価額の20倍、5,000円以上のときは10万円が最高額です。一般懸賞には、賞品の総額にも上限があります(出典:消費者庁「景品規制の概要」)。キャンペーンを企画するときは、消費者庁の解説で条件を確かめてください。

メールでのお知らせ(特定電子メール法)

会員にメールでお知らせを送る場合は、特定電子メール法のルールに従います。原則として、あらかじめ同意した人にだけ広告宣伝メールを送ることができ、同意を得た記録を保存する必要があります(出典:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」)。

メールには、送信者の氏名または名称、受信拒否ができる旨、受信拒否の連絡先を表示します(出典:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」)。

お客様の情報の扱い

会員登録や予約で集めたお客様の情報は、個人情報として扱います。利用目的を決めて伝えること、安全に管理することなど、基本的な考え方は個人情報保護委員会のガイドラインで確認できます(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」)。

効果の測り方

集客の方法は、効果を測らないと、続けるべきか、やめるべきかを判断できません。

  • 初めて来店したお客様に「何で知りましたか」と聞き、記録する
  • チラシやSNSごとに別のクーポンを用意し、使われた数を数える
  • 地図検索の店舗情報の閲覧数や、経路の検索数を確かめる
  • 予約の経路(電話、Webサイト、ポータルサイト)を記録する
  • 月ごとの新規客数と再来店客数を分けて数える

数字は月に一度まとめ、効果が低い方法は内容を変えるか、やめる判断をします。少ない人数で運営する店舗ほど、効果の低い方法を続ける余裕はありません。

手間を減らす工夫とツール

店舗の集客で負担になりやすいのが、日々の更新と確認の作業です。特に、口コミの確認と返信、地図検索の店舗情報の更新は、複数の店舗を運営するほど手間が増えます。

こうした作業をまとめたい場合は、ツナグバに掲載している店舗の口コミ管理と集客をまとめて効率化するツールも選択肢になります。店舗の口コミの管理や、地図検索での表示対策など、店舗集客にかかる作業をまとめて効率化するツールです。表示の順位を約束するものではないため、どの作業を楽にしたいのかを決めてから検討すると、合う・合わないを判断しやすくなります。

ツールを入れる前に、まず手作業で一通り行ってみるのも一つの方法です。どの作業にどれだけ時間がかかっているかが分かると、ツールに任せる範囲を決めやすくなります。

補助金を使える場合もある

小規模事業者がチラシの作成や広告の掲載などの販路開拓に取り組む場合、小規模事業者持続化補助金を使える場合があります。

中小企業庁のミラサポplusでは、小規模事業者が自ら経営計画を策定し、地域の商工会議所・商工会の支援を受けながら行う販路開拓などの取組を支援する制度として紹介されています。チラシ作成や広告掲載、店舗改装など、幅広い販路開拓の経費が対象になるとされています(出典:中小企業庁 ミラサポplus「小規模事業者持続化補助金」)。

申請には、地域の商工会議所・商工会への相談と計画書の確認が必要です(出典:中小企業庁 ミラサポplus「小規模事業者持続化補助金」)。補助率や上限額は枠や公募回によって変わるため、公式の公募要領で確かめてください。

やらなくてよい集客もある

すべての方法に手を出すと、どれも中途半端になります。次のような場合は、その方法を後回しにしてもかまいません。

  • 更新を続ける人がいないSNS:放置されたアカウントは、かえって「営業しているのか」という不安を与えることがある
  • 客層に合わない媒体への掲載:年齢層や地域が合わない媒体は、費用に見合う来店が見込みにくい
  • 再来店が少ないのに新規客ばかり集める施策:先に接客や再来店の仕組みを見直す

まず、地図検索の店舗情報を正しく整え、口コミに返信し、初めて来た人に何で知ったかを聞く。この基本ができてから、費用のかかる方法を加えていく順番が無理のない進め方です。

店舗集客を始める前のチェックリスト

  • 3段階(知ってもらう・来てもらう・また来てもらう)のどこに課題があるか
  • 主な客層の年齢と、来店の動機
  • 商圏の広さ(徒歩・自転車・車)
  • 集客に使える予算と、毎週使える時間
  • 地図検索の店舗情報(営業時間・定休日・写真)が最新か
  • 効果を測る方法(来店時の聞き取り、クーポン)を決めたか
  • 広告や特典の表示が、景品表示法のルールに沿っているか

あわせて読みたい

ツナグバで、店舗集客のツールを比べる

ツナグバは、法人向けサービスを無料で探し、複数のサービスの資料をまとめて請求できるサイトです。

営業支援の分野では、店舗の口コミの管理や、地図検索での表示対策など、店舗集客にかかる作業をまとめて効率化するツールを掲載しています。実店舗を運営する企業に向いています。

店舗数に応じた料金、対応している口コミサイトや地図サービスの範囲、導入時の支援の有無は、資料で確認できます。自社の店舗数と運営体制に合うかを比べてください。

こんな課題があれば

  • 口コミへの返信が追いつかず、低い評価が放置されている
  • 地図検索で自店がどう表示されているか、把握できていない
  • 複数の店舗の情報更新が店ごとにばらばらで、手間がかかっている

掲載サービスでできること

  • 口コミをまとめて確認・返信できる:店舗に寄せられた口コミを一つの画面で確認できるものが一般的です。返信の漏れを減らし、対応を管理しやすくなります。
  • 地図検索での表示を整える作業を支える:営業時間や写真など、地図検索に出る店舗情報の管理を助けます。表示の順位を約束するものではありません。
  • 複数店舗の情報をまとめて管理できる:店舗が複数ある場合も、情報の更新を一か所から行える形が一般的です。対応する範囲は製品によって違うため、資料で確認してください。

資料で確かめたいこと

  • 店舗数に応じた料金と、初期費用の有無
  • 対応している口コミサイトや地図サービスの範囲
  • 店舗ごとに担当者の権限を分けられるか
  • 分析の画面で確認できる項目
  • 導入時の設定や使い方の支援があるか

ほかの分野のサービスも見る

よくある質問

費用をかけずにできる店舗集客はありますか?

地図検索の店舗情報の整備、口コミへの返信、SNSでの発信、常連客への紹介のお願いなどは、費用をかけずに始められます。

ただし、続けるための時間はかかります。誰が、いつ、何をするかを決めてから始めてください。

チラシはもう効果がないのでしょうか?

商圏が狭く、地域の住民が主な客層の店舗では、チラシが有効なこともあります。配る範囲と時期を決め、チラシ専用のクーポンなどで効果を測りながら続けるかどうかを判断します。

お客様に口コミを書いてもらうお願いをしてもよいですか?

お願いすること自体は問題になりにくいものの、特典と引き換えに高い評価を書かせるような方法は避けてください。消費者庁は、事業者が第三者に依頼・指示する投稿も広告に含まれるとしています(出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)。

複数の店舗の集客を、少ない人数で管理するには?

店舗ごとの情報の更新や口コミの確認を一か所でまとめて行える仕組みを使うと、手間を減らせます。店舗ごとの担当者と本部の役割を分け、確認の頻度を決めておくことも大切です。

参考資料