人手不足を補うために、特定技能の外国人を受け入れたい。けれど、何から始めればよいのか、どんな書類や届出が必要なのかが分からない。初めて外国人材を採用する会社では、こうした悩みがよく聞かれます。
特定技能の受け入れは、採用して終わりではありません。在留資格の申請、生活面の支援、受け入れた後の届出まで、会社が担う手続きが続きます。全体の流れを先に知っておくと、準備の抜けや遅れを防げます。
この記事では、特定技能の受け入れ手続きを、海外から呼ぶ場合と国内に住んでいる人を雇う場合に分けて整理します。受入れ機関の基準、支援計画、受け入れ後の届出、国籍ごとの確認事項、費用の考え方もまとめました。
特定技能とは|1号と2号の違い
特定技能は、人手不足が深刻な産業分野で、一定の専門性や技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。出入国在留管理庁の資料では、特定技能1号は次のように説明されています。
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」
特定技能2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。同じ資料によると、対象となる分野は1号が19分野、2号が11分野です(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
1号の在留期間は通算で5年が上限です。技能と日本語の水準は試験などで確認され、技能実習2号を修了した人は試験が免除される仕組みがあります。1号の外国人には会社による支援が義務づけられていますが、2号には支援の義務はありません(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
| 比べる点 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能の水準 | 相当程度の知識または経験 | 熟練した技能 |
| 対象分野 | 19分野 | 11分野 |
| 技能の確認 | 試験等(技能実習2号の修了者は免除) | 試験等 |
| 会社による支援 | 義務あり | 義務なし |
受け入れる業務がどの分野に当たるかは、分野ごとの運用要領で確認します。分野によって、必要な試験や加入する団体が異なるためです。
特定技能の受け入れ手続きの全体の流れ
受け入れの流れは、外国人が海外にいるか、すでに日本に住んでいるかによって変わります。海外から呼ぶ場合は「在留資格認定証明書交付申請」、日本に住んでいる人を雇う場合は「在留資格変更許可申請」を行います(出典:出入国在留管理庁「受入れ機関の方」)。

海外から呼ぶ場合の流れ
出入国在留管理庁の資料をもとに、海外から呼ぶ場合の流れを整理すると次のとおりです(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
- 受入れ機関と外国人が雇用契約を結び、事前ガイダンスと健康診断を行う
- 外国人が技能試験と日本語試験に合格する(技能実習2号の修了者は免除)
- 受入れ機関が在留資格認定証明書交付申請を行い、証明書の交付を受ける
- 外国人が日本の在外公館で査証を申請し、発給を受けて入国する
- 在留カードが交付され、就労を始める
雇用契約から入国までには、試験や書類の準備、審査の期間がかかります。入社の時期から逆算して、早めに準備を始めることが大切です。
国内に住んでいる人を雇う場合の流れ
技能実習2号を修了した人や、留学生などすでに日本に住んでいる人を雇う場合は、雇用契約を結んだうえで在留資格変更許可申請を行います。許可されると新しい在留カードが交付され、就労を始められます(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
許可が出る前に、特定技能としての仕事を始めることはできません。今の在留資格でできる活動の範囲と、変更の許可が出る時期を確認しながら進めましょう。
| 比べる点 | 海外から呼ぶ場合 | 国内に住んでいる人を雇う場合 |
|---|---|---|
| 入管への申請 | 在留資格認定証明書交付申請 | 在留資格変更許可申請 |
| 入国の手続き | 在外公館で査証を申請 | 不要 |
| 主な対象 | 海外で試験に合格した人など | 技能実習の修了者、留学生など |
| 注意点 | 入国までの期間を見込む | 許可が出るまで特定技能の仕事はできない |
受入れ機関の基準と義務
特定技能の外国人を受け入れる会社(受入れ機関)には、満たすべき基準と、受け入れた後に果たす義務があります。
出入国在留管理庁の資料では、受入れ機関の基準として、雇用契約が適切であること(報酬額が日本人と同等以上など)、機関自体が適切であること(5年以内に出入国・労働法令の違反がないことなど)、外国人を支援する体制があること、支援の計画が適切であることが挙げられています(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
受け入れた後の義務は、雇用契約を確実に守ること、外国人への支援を適切に行うこと、出入国在留管理庁へ各種の届出を行うことの3つです。
分野ごとの協議会への加入
特定技能の外国人を受け入れる会社は、分野ごとに設けられた協議会に加入する必要があります。建設分野と工業製品製造業分野では、協議会への加入に加えて、分野を所管する省庁の登録を受けた法人への加入も必要とされています(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。加入の時期や方法は分野ごとに異なるため、受け入れる分野の情報を確認しましょう。
支援計画と義務的支援の内容
特定技能1号の外国人を受け入れる場合は、仕事だけでなく生活面の支援が必要です。出入国在留管理庁は、支援計画について次のように説明しています。
特定技能1号を受け入れる場合は、1号特定技能外国人支援計画を作成し、入管への申請時に提出する必要があります。
出典:出入国在留管理庁「受入れ機関の方」
支援計画には、次の10の支援を盛り込みます(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
これらの支援は、自社で行うこともできますし、登録支援機関に全部または一部を委託することもできます。外国人が理解できる言語で支援できる人がいない場合や、生活面の支援に慣れていない場合は、委託を検討するとよいでしょう。
定期的な面談については、出入国在留管理庁が、2024年1月1日から原則として対面で行う必要があると案内しています(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度」)。
受け入れた後に必要な届出
受け入れた後は、出入国在留管理庁やハローワークへの届出が続きます。忘れやすいところなので、担当者と期限を決めておきましょう。
出入国在留管理庁への定期届出と随時届出
受入れ機関は、受け入れの状況や支援の実施状況を定期的に届け出ます。この定期届出は、以前は四半期に1度でしたが、制度の見直しで1年に1回になりました。
四半期に1度の定期届出の提出は、2025年4月15日までに提出するもので最後です。
出典:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」
同じページでは、次回以降の定期届出は2026年4月以降に1年に1回となり、提出期間は翌年5月31日までと案内されています(出典:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」)。
このほか、雇用契約の変更や終了、支援計画の変更などがあったときは、随時の届出が必要です。外国人が退職した場合や、1か月以上働けない事由が生じた場合は、その事由が生じた日から14日以内に届け出るよう示されています(出典:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」)。
ハローワークへの外国人雇用状況の届出
外国人を雇い入れたときや離職したときは、ハローワークへの外国人雇用状況の届出も必要です。厚生労働省は、この届出はすべての事業主が行う必要があり、届出を怠ったり虚偽の届出をしたりした場合は30万円以下の罰金の対象になると案内しています(出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出」)。
国籍ごとの手続きと在留者数
特定技能では、国によって、相手国側で必要な手続きが決まっていることがあります。出入国在留管理庁は、国ごとの情報をまとめたページを設けています(出典:出入国在留管理庁「特定技能に関する各国別情報」)。受け入れる人の国籍が決まったら、まずこのページで確認しましょう。
ミャンマーの人を受け入れる場合
ミャンマーとは、2019年3月28日に特定技能に関する協力覚書が署名・交換され、2024年4月1日から5年間更新されています。出入国在留管理庁のページでは、ミャンマー政府が認定する送出機関の情報が掲載され、ミャンマー側の手続きについては相手国の窓口に問い合わせるよう案内されています(出典:出入国在留管理庁「ミャンマーに関する情報」)。
同じページには、ミャンマー側の手続きを行ったことを証明する書類を、日本の在留申請で提出する必要はないとも書かれています。ただし、相手国側の手続きそのものが不要になるわけではないため、送出機関や相手国の窓口とあわせて進めることが大切です。
ミャンマーの人材を日本の企業に送り出す機関と連携した支援を使う方法もあります。たとえばミャンマーの送出し機関と連携した外国人材の採用支援のように、相手国側との調整を含めて相談できるサービスもあります。
特定技能の在留者数
出入国在留管理庁によると、2026年6月末時点(速報値)の特定技能の在留外国人数は444,256人で、前年12月末から13.8%増えました。内訳は1号が425,961人、2号が18,295人です(出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数のポイント」)。

1号を国籍別に見ると、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、中国の順に多くなっています。受け入れの実績が多い国ほど、送出しの仕組みや支援の経験が積み重なっている面があります。
受け入れの前に確認したいチェックリスト
手続きを始める前に、次の点を確認しておくと、途中で止まることを防げます。

- 受け入れる業務が、特定技能の対象分野と業務の範囲に当たる
- 報酬を、同じ仕事をする日本人と同等以上に設定できる
- 過去5年以内に、出入国や労働に関する法令の違反がない
- 外国人が理解できる言語で支援できる体制がある、または委託先がある
- 分野ごとの協議会への加入方法と時期を確認した
- 住居の確保や生活オリエンテーションの準備ができる
- 入管とハローワークへの届出の担当者と期限を決めた
- 相手国側の手続きが必要かどうかを確認した
受け入れる職場で準備しておくこと
手続きと並行して、受け入れる職場の準備も進めます。書類がそろっても、職場の準備が遅れると、入社後の定着に影響します。
- 仕事の手順書や安全のルールを、やさしい日本語や図で分かるようにする
- 仕事を教える担当者と、困ったときに相談できる担当者を決める
- 雇用契約や労働条件を、本人が理解できる言語で説明できるようにする
- 住居、通勤の手段、銀行口座や携帯電話の契約など、生活の立ち上げを手伝う流れを決める
- 職場の日本人社員に、受け入れの目的や配慮してほしいことを伝える
特に最初の数か月は、仕事と生活の両方で分からないことが多い時期です。支援計画に書いた内容を実際に行えるよう、担当者の時間をあらかじめ確保しておきましょう。定期的な面談の記録を残しておくと、届出や支援の見直しにも役立ちます。
費用の考え方と、向いていないケース
特定技能の受け入れには、さまざまな費用がかかります。主なものは、紹介や送出しにかかる費用、在留資格の申請にかかる費用、住居の準備にかかる費用、登録支援機関に支援を委託する場合の費用、来日時の渡航費などです。
費用は、海外から呼ぶか国内の人を雇うか、相手国の制度、支援を自社で行うか委託するか、住居を会社で用意するかによって大きく変わるため、一律の目安はありません。見積もりを比べるときは、次の点を確認しましょう。
- 初めにかかる費用と、毎月かかる費用が分けて示されているか
- 支援の10項目のうち、どこまでが委託の範囲に含まれるか
- 外国人本人に費用の負担が生じないか(相手国の制度もあわせて確認)
- 途中で退職した場合の扱いが決められているか
特定技能の受け入れが向いていないケース
特定技能は、人手不足の分野で即戦力となる人材を受け入れる制度です。次のような場合は、受け入れの前に見直したほうがよいことがあります。
- 任せたい業務が、対象分野の業務の範囲に当たらない
- 社内で生活面の支援や相談に対応できる人がおらず、委託の予算もない
- 日本人と同等以上の報酬を設定することが難しい
- 受け入れた後の届出や記録を管理する担当者を置けない
特定技能以外にも、外国人を雇う在留資格はいくつかあります。仕事の内容によっては、別の在留資格のほうが合っている場合もあるため、出入国在留管理庁の情報や専門家への相談で確かめることが大切です。
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対応している在留資格や支援の範囲は、資料で確認できます。採用したい人材の国籍や職種に合わせて、比べてみてください。
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主な特徴は次のとおりです。
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- 在留資格の手続きを含めて相談できる:外国人材が日本で働くには、在留資格の手続きが必要です。手続きに必要な書類や流れについて、事業者に相談しながら進められます。
- 入国後の受け入れ準備も相談できる:住まいや生活の案内など、入国後の準備について相談できる場合があります。支援の範囲は事業者によって違うため、資料で確認してください。
資料で確かめたいことの例です。
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- 対象になる在留資格の種類と、自社の業種・職種で採用できるか
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- 採用後の手続きの相談先を確認できる:外国人材の採用では在留資格の手続きが必要です。どこまで支援があるかは製品によって違うため、資料で確認してください。
資料で確かめたいことの例です。
- 料金の考え方(掲載料か、採用が決まったときの費用か)
- 在留資格の手続きをどこまで支援してもらえるか
- 募集したい職種が、就労できる在留資格に当てはまるか
よくある質問
特定技能の受け入れには、どのくらいの期間がかかりますか?
海外から呼ぶか国内の人を雇うか、試験の合格の状況、相手国側の手続き、入管の審査の状況によって変わるため、一律には言えません。海外から呼ぶ場合は、入国までに試験や書類の準備、審査、査証の手続きが必要になるため、入社の時期から逆算して早めに準備を始めましょう。
支援はすべて自社で行わなければなりませんか?
自社で行うこともできますが、登録支援機関に全部または一部を委託することもできます。外国人が理解できる言語で支援できる人がいない場合などは、委託を検討するとよいでしょう。委託する場合も、受入れ機関としての責任はなくなりません。
定期届出は今も3か月に1回ですか?
出入国在留管理庁の案内では、四半期に1度の定期届出は2025年4月15日までに提出するもので最後となり、以後は1年に1回の定期届出になりました。提出期間は翌年5月31日までです。最新の様式や手続きは、出入国在留管理庁のページで確認しましょう。
日本に住んでいる人を雇うときに確認することはありますか?
在留カードで、今の在留資格と在留期間を確認します。技能実習2号を修了した人であれば、試験の免除の対象になるかも確かめましょう。在留資格変更許可申請を行い、許可が出るまでは特定技能としての仕事を始められないため、入社日は許可の時期を見込んで決めることが大切です。前の勤務先での届出の状況なども、本人と一緒に確認しておくと手続きが進めやすくなります。
特定技能2号の人にも支援は必要ですか?
出入国在留管理庁の資料では、1号の外国人には支援が義務づけられていますが、2号には支援の義務はありません。ただし、雇用契約の履行や届出の義務は受入れ機関に残ります。
