介護、製造、建設、外食などの現場で、ミャンマー人材の採用を検討する企業が増えています。一方で、ミャンマーからの受け入れには、日本側の在留資格の手続きとは別に、ミャンマー側の手続きが必要です。この違いを知らずに進めると、入社予定日に間に合わないこともあります。

この記事では、出入国在留管理庁や厚生労働省、在ミャンマー日本国大使館の公表資料をもとに、ミャンマー人を特定技能で採用する方法を、現地から呼び寄せる場合と、日本に住んでいる人を採用する場合に分けて整理します。

あわせて、費用の目安、送り出し機関や支援先を選ぶ判断基準、受け入れ前に確認したいチェックリスト、ミャンマー人材の採用が向いていないケースも解説します。

ミャンマー人材の採用が増えている背景

厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況(令和7年10月末時点)によると、日本で働くミャンマー人は163,311人です。前年からの増加率は42.5%で、国籍別で最も高い伸びでした(出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況【概要版】(令和7年10月末時点)」)。

日本で働くミャンマー人163,311人の在留資格別の内訳で、特定技能と技能実習がそれぞれ約3万7千人と多いことを示す棒グラフ

在留資格別の内訳を見ると、現場業務に関わる在留資格の割合が大きいことが分かります(出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況表一覧(令和7年10月末時点)」)。

在留資格の区分人数
特定技能37,619人
技能実習36,986人
資格外活動(留学生のアルバイトなど)34,809人
特定活動31,882人
技術・人文知識・国際業務15,835人
身分に基づく在留資格4,540人

特定技能と技能実習を合わせると7万人を超え、現場の人材としての受け入れが広がっています。特定活動の人も多く、働ける範囲は指定された活動によって異なるため、採用時は一人ずつ確認が必要です。

日本とミャンマーは、特定技能の制度について協力覚書(MOC)を結んでいます。2019年3月28日に署名され、出入国在留管理庁は2024年の更新について次のように公表しています。

2024年3月29日、日本国法務省、外務省、厚生労働省及び警察庁は、ミャンマー労働・入国管理・人口省との間で文書を署名・交換し、ミャンマーとの特定技能に関するMOCの継続期間を2024年4月1日から5年間更新しました。

出典:出入国在留管理庁「ミャンマー(特定技能に関する二国間の協力覚書)」

この覚書に沿って、ミャンマー側の手続きが定められています。覚書の期間は2029年3月まで続く見込みですが、現地の情勢や制度の変更によって手続きの進み方が変わることもあるため、受け入れ企業は最新の情報を追い続ける必要があります。

特定技能の基本を確認する

特定技能は、人手不足が深刻な分野で、一定の技能と日本語力を持つ外国人を受け入れる在留資格です。令和8年1月23日に分野別運用方針が閣議決定され、介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、物流倉庫、外食業、資源循環など19分野の別紙が示されています(出典:出入国在留管理庁「基本方針・分野別運用方針」)。

項目特定技能1号特定技能2号
技能水準相当程度の知識・経験熟練した技能
在留期間通算で5年まで上限なし(更新は必要)
日本語の水準A2.2相当以上(JFT-Basic、JLPTのN4など)B1相当以上(JLPTのN3など)
家族の帯同原則不可要件を満たせば可能
支援計画受け入れ企業に実施義務あり義務なし

在留期間と日本語の水準は、出入国在留管理庁の資料で示されている内容です(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」)。特定技能1号には学歴の要件はありませんが、日本語試験と技能試験に合格する必要があります。技能実習2号を良好に修了した人は、同じ分野へ移る場合に試験が免除されます。

受け入れ企業には、同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬が求められます(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」)。分野ごとの協議会への加入や、支援計画の実施も必要です。支援は自社で行うか、登録支援機関に委託できます。

なお、外食業分野は、令和8年4月13日以降に受理した在留資格認定証明書の交付申請を不交付とする措置がとられています(出典:出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』に係る在留資格認定証明書交付の一時停止措置について」)。採用を検討する分野の受け入れ状況は、事前に確認してください。

採用の2つのパターン:現地から呼ぶか、国内で採用するか

ミャンマー人を特定技能で採用する方法は、大きく2つに分かれます。どちらを選ぶかで、手続きの量と入社までの期間が大きく変わります。

ミャンマーから呼び寄せる場合と日本に住んでいる人を採用する場合の違いを、送り出し機関・ミャンマー側の手続き・日本側の手続き・期間で比べた表
項目ミャンマーから呼び寄せる日本に住んでいる人を採用する
主な対象現地で試験に合格した人、日本語を学んだ人技能実習の修了者、留学生、ほかの企業で特定技能として働く人
送り出し機関ミャンマー政府の認定を受けた機関を通す通す必要はない
ミャンマー側の手続き求人票の承認、海外労働身分証(OWIC)の取得など原則として不要
日本側の手続き在留資格認定証明書の交付申請在留資格の変更許可申請
入社までの目安数か月から半年程度1〜3か月程度

期間はツナグバ編集部が一般的な進め方から整理した目安です。ミャンマー側の手続きの状況や審査期間によって長くなることがあります。

ミャンマーから呼び寄せる場合の手続きの流れ

現地に住んでいる人を新たに受け入れる場合、一般的には次の流れになります。日本側の審査と、ミャンマー側の出国の手続きが並行して進むのが特徴です。

ミャンマーから特定技能人材を呼び寄せる流れを、送り出し機関との契約、求人票の承認と面接、認定証明書の申請、OWICと査証の取得の4段階で示した図
  1. ミャンマー政府が認定した送り出し機関と契約し、求人の条件を伝える
  2. 送り出し機関を通じて求人票を提出し、ミャンマー側の確認・承認を受ける
  3. 候補者と面接し、雇用契約を結ぶ
  4. 受け入れ企業が、地方出入国在留管理官署へ在留資格認定証明書の交付を申請する
  5. 証明書の交付後、本人がミャンマー労働省に海外労働身分証(OWIC、スマートカード)を申請する
  6. 本人が在ミャンマー日本国大使館で査証を取得する
  7. 出国時にOWICを提示して出国し、来日後は支援計画に沿って生活の立ち上げを支える

注意したいのは、在留資格認定証明書(COE)には有効期間があり、その間にOWICが取れないと入国できない点です。在ミャンマー日本国大使館は、送出制度の改革や中部での震災の影響でOWICの発給が遅れていることを踏まえ、ミャンマー国籍の人の就労目的のCOEについて、有効期間を作成から3か月とする扱いを6か月に延ばす措置を案内しています(出典:在ミャンマー日本国大使館「ミャンマー国籍の方の在留資格認定証明書の有効期間の延長について」)。

この延長には、受け入れ機関などが「活動内容どおりの受入れが引き続き可能」とする文書を出すことなどの条件があります。登録支援機関が文書を作ることもでき、様式は任意とされています(出典:同資料)。6か月を過ぎたCOEは再申請が必要になるため、申請時点の取り扱いを確認してください。

送り出し機関は、出入国在留管理庁のサイトに掲載されている「ミャンマー政府が認定した送出機関の一覧」で確認できます。認定を一定期間無効とされた機関の一覧もあわせて掲載されています(出典:出入国在留管理庁「ミャンマー(特定技能に関する二国間の協力覚書)」)。掲載情報が最新でない場合もあるため、契約前に最新の状況を確認しておくと安心です。

現地の送り出し機関とのやり取りや、ミャンマー側の手続きの進め方に不安がある場合は、ミャンマーの送り出し機関と連携した採用支援のようなサービスを使う方法もあります。

日本に住んでいるミャンマー人を採用する場合の流れ

日本に住んでいるミャンマー人を採用する場合は、送り出し機関を通す必要がなく、受け入れ企業が直接採用活動を行えます。OWICも不要です。

  1. 求人を出し、応募者の在留カードで在留資格・在留期限・就労制限を確認する
  2. 特定技能の試験の合格、または技能実習2号の良好な修了を確認する
  3. 雇用契約を結び、支援計画を作る
  4. 必要に応じて、本人が在日ミャンマー大使館でパスポートの更新などを行う
  5. 在留資格の変更許可を申請し、許可を受けてから働き始める

在留カードは、出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」でICチップ内の情報を読み取り、券面と見比べて偽変造を確認できます(出典:出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」)。

技能実習を修了した人は、日本の職場や生活に慣れているため、入社後の立ち上がりが早い傾向があります。ただし、技能実習から特定技能へ移る場合は、技能実習の職種と特定技能の分野の対応関係を確認する必要があります。特定活動で在留している人は、指定された活動の内容によって働けるかどうかが異なるため、旅券に添付された指定書もあわせて確認します。

在留資格の変更・更新の手数料は、令和8年10月1日から、許可される在留期間の区分に応じた額に改定されています(出典:出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」)。

ミャンマー人の特定技能採用にかかる費用の目安

費用は、採用パターン、分野、支援の委託範囲によって大きく変わります。以下は、民間の事業者が公表している料金でよく見られる幅をもとにした目安です。公的な統計ではありません。

費用項目目安かかる条件
送り出し機関への費用機関・人数・契約内容で異なる現地から呼び寄せる場合。見積もりで内訳を確認
人材紹介手数料1人あたり数十万円程度のことが多い国内の紹介会社を使う場合
在留資格申請の代行10万〜30万円程度行政書士などに申請を依頼する場合
登録支援機関への委託1人あたり月1万〜4万円程度支援計画の実施を委託する場合
渡航費数万〜十数万円程度現地から呼び寄せる場合
住居の初期費用十数万〜30万円程度会社が住居を用意する場合

支援の費用については、出入国在留管理庁のQ&Aに次の記載があります。

これらの支援を実施するためにかかった費用については本人に負担させることは認められません。

出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」

給与からの天引きや、別の名目での回収もできないため、受け入れ企業の費用として見込んでおきます。登録支援機関に委託する場合は、支援委託手数料の内訳を説明する書面の様式が出入国在留管理庁から示されているため、項目ごとの金額を書面で出してもらうと比べやすくなります(出典:出入国在留管理庁「参考様式第2-8号 支援委託手数料に係る説明書」)。

送り出し機関の費用は、本人が払う分も確認が必要です。出入国在留管理庁が令和4年に公表した技能実習生への調査では、送出機関に支払った費用の平均は52万1,065円で、来日前に母国で借金をしている人は約55%でした(出典:出入国在留管理庁「技能実習生の支払費用に関する実態調査」結果)。特定技能とは制度が異なりますが、送り出しの段階で本人がどれだけ費用を負担しているかは、受け入れ企業としても把握しておきたい点です。本人から不当に高い手数料を取っていないかも、選ぶ際の確認点になります。

外国人労働者の職場環境を整える企業には、厚生労働省の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)もあります。令和8年10月1日の改正で、支給額は20万円(上乗せ措置を実施した場合は25万円)とされています(出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」)。

送り出し機関・支援先を選ぶ判断基準

ミャンマーからの受け入れでは、送り出し機関や支援先の質が、採用の成否を大きく左右します。次の基準で比べると判断しやすくなります。

  • ミャンマー政府の認定を受けた送り出し機関か、認定が無効とされていないか
  • 費用の内訳(企業負担分と本人負担分)を書面で示してくれるか
  • 候補者の日本語教育や事前研修の内容を説明できるか
  • ミャンマー側の手続きの進み具合を、定期的に報告してくれるか
  • 入国後の支援(生活オリエンテーション、相談対応、定期面談など)を誰が担うか明確か
  • 母国語で相談できる体制があるか

登録支援機関の体制にも変更があります。令和9年4月1日からは、支援を行う事業所ごとに、常勤の役員または職員から支援責任者と支援担当者をそれぞれ1名以上選ぶことなどが求められます(出典:出入国在留管理庁「支援体制に係る要件の改正について」)。委託先がこの改正に対応できるかも、確認しておくと安心です。

受け入れ前のチェックリスト

  • 自社の業務が特定技能の対象分野・業務区分に入っているか
  • 分野ごとの受け入れ停止などの措置が出ていないか
  • 同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬を設定しているか
  • 分野ごとの協議会への加入手続きを確認したか
  • 支援計画を自社で行うか、登録支援機関に委託するか決めたか
  • 住居の確保と、入国直後の生活の立ち上げを誰が手伝うか決めたか
  • 在留資格認定証明書の有効期間とOWICの取得時期の見通しを確認したか
  • 雇用契約書や就業規則の重要な部分を、本人が理解できる言語で説明できるか

ミャンマー人材を受け入れるときの注意点

現地の手続きに時間がかかることを前提にする

ミャンマー側の手続きは、制度の変更や現地の状況によって時間がかかることがあります。入社予定日は余裕を持って設定し、遅れたときの人員計画もあらかじめ考えておきます。

宗教や生活習慣への配慮

宗教行事や食事、休暇の取り方などについて、本人の希望を聞いておくと、入社後のすれ違いを防げます。考え方や習慣には個人差があるため、国籍で決めつけず、一人ひとりに確認します。

日本語での指示の出し方を工夫する

特定技能の日本語試験に合格していても、職場特有の言葉や早口の指示は伝わりにくいことがあります。作業手順を写真や図で示す、指示を短い文で伝える、理解できたかを本人の言葉で確認するなどの工夫が有効です。

家族への送金や帰国の事情を理解する

本国の家族を支えるために働く人も少なくありません。一時帰国の希望や、給与の支払い方法に関する相談に応じられるよう、相談窓口をはっきりさせておくと安心です。

定期面談と届出を忘れない

特定技能1号の受け入れ企業には、支援計画に沿った定期的な面談や、出入国在留管理庁への各種届出が求められます。あわせて、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」も、雇入れと離職のたびに必要です。届出を怠ると30万円以下の罰金の対象になります(出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」)。

誰が、いつ、何を届け出るのかを一覧にしておくと、担当者が替わっても漏れを防げます。在留期限の管理も同じ一覧で行うと効率的です。

ミャンマー人材の採用が向いていないケースと、自社でできること

次のような場合は、現地からの受け入れを急ぐより、先に準備や別の方法を検討したほうがよいことがあります。

  • 数週間以内に人手が必要で、入社時期を遅らせられない
  • 自社の業務が特定技能の対象分野に当てはまらない
  • 受け入れ後に相談に乗る担当者を社内で決められない
  • 費用を抑えることが採用の主な目的になっている

自社でできることもあります。日本に住んでいる技能実習修了者や特定技能の転職希望者を、求人媒体やハローワークで募集する方法は、送り出し機関を通さずに始められます。支援計画を自社で実施できる体制があれば、委託費用を抑えることもできます。

現地からの受け入れや、ミャンマー側の手続きが関わる部分は、経験のある支援先に任せ、社内では受け入れ体制づくりに集中するという分担も現実的です。

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外国人採用の分野では、ミャンマーの人材を日本の企業に送り出す機関と連携した採用支援を掲載しています。外国人材の採用を検討している企業向けのサービスです。

現地からの受け入れの進め方や、支援の範囲を確認したい場合は、資料を取り寄せて自社の分野や受け入れ体制に合うかを比べてみてください。

こんな課題があれば

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掲載サービスでできること

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  • 在留資格の手続きを含めて相談できる:外国人材が日本で働くには、在留資格の手続きが必要です。手続きに必要な書類や流れについて、事業者に相談しながら進められます。
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資料で確かめたいこと

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  • 候補者の日本語の力や経歴を、どのように確認できるか
  • 入国までにかかる期間の目安と、手続きが進まなかったときの扱い
  • 入社後の生活支援や定着支援をどこまで行うか

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よくある質問

ミャンマーから呼び寄せる場合、必ず送り出し機関を通す必要がありますか?

ミャンマーから新たに受け入れる場合は、ミャンマー政府が認定した送り出し機関を通じて進めることが求められます。日本に住んでいるミャンマー人を採用する場合は、送り出し機関を通す必要はありません。

OWICとは何ですか?

ミャンマー人が海外で働くために必要な、ミャンマー労働省が発行する海外労働身分証明カードです。在留資格認定証明書の交付後に本人が申請し、出国時に提示します。日本に住んでいる人を採用する場合は不要です。

内定から入社まで、どのくらいかかりますか?

日本に住んでいる人なら1〜3か月程度、ミャンマーから呼び寄せる場合は数か月から半年程度が目安です。OWICの発給が遅れている状況もあるため、さらに時間がかかることもあります。

特定技能で来日する人の日本語力はどのくらいですか?

特定技能1号では、A2.2相当以上(国際交流基金日本語基礎テスト、日本語能力試験のN4など)が求められます。介護分野では、これに加えて介護日本語評価試験の合格も必要です。職場の専門用語には慣れていないことが多いため、入社後の指導の計画も立てておきます。

技能実習生として受け入れることもできますか?

技能実習は2027年4月1日に育成就労制度へ移行します。施行日時点で実習中の人などには経過措置がありますが、これから受け入れる場合は特定技能や育成就労を前提に計画するのが現実的です。

参考資料